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私立中高進学通信

2021年7月号

私学だからできるオリジナル教育

武蔵野大学中学校

生徒と先生が一緒に作るPBLで
生きたディスカッションを学ぶ

2019年、2020年に「未来の教室(※1)」実証モデル校に認定され、さまざまな教育改革を実行中の同校。ディベートを取り入れた中3のPBL(※2)を取材しました。
先週の復習をする野澤先生。「自分の意見に説得力を持たせる方法」について、プロジェクターと板書を組み合わせて説明します。

先週の復習をする野澤先生。
「自分の意見に説得力を持たせる方法」について、プロジェクターと板書を組み合わせて説明します。

※1 未来の教室…教育(Education)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた「EdTech」という技術を使って、「知る」と「創る」が循環する新たな学びを生み出す経済産業省による実証事業。

※2 PBL(課題解決型授業)…「Project Based Learning」の略称。答えが一つではない問題を解決するために、すべての教科において自ら考えることを促す学習法。

PBLで
ディベートを実践

 2019年に共学校として生まれ変わり、さまざまな教育改革を進めてきた同校。中学校では「グローバル&サイエンス」をテーマとする教育を実践しています。その中心となるのは、ネイティブと日本人教員によるチームティーチングの授業を取り入れた英語、中1・中2の言語活動、中3からのPBLで、論理的思考力で問題解決できる人材の育成をめざします。

 PBLを受けるのは、これまで言語活動を学んできた中3の生徒たち。5~6人のグループでディベートを行います。

「PBLでは、自分の意見を論理的に説明することをテーマに先週からディベートを行っています。昨年までの言語活動の授業で、生徒たちは自分の意見とその理由を話し、結論を述べることができるようになりました。ただし、理由に説得力がありません。説得力を持たせるにはどうしたらいいのかを、ディベートを通して学びます」(主事・野澤清秀先生)

 授業の最初に野澤先生が先週の復習をし、これから行う授業の流れを確認します。

 野澤先生が「無人島に持っていくとしたらライターかナイフか」という今回のテーマを発表し、いよいよ授業開始です。

ディベート前と後で
アンケート結果が変化

 まず、各自のiPadを使ってアンケートをとったところ、ナイフを支持する生徒は24名、ライターは7名でした。それから生徒個人の意思とは関係なく、ライターを主張するグループと、ナイフを主張するグループに分けられ、早速ディベートの準備が始まります。

 初めに、付箋とXチャートを使って、グループ内で意見を出し合います。意見が出揃ったらグループでシェアし、相手チームからどんな意見が出てくるかを予想します。その後はリサーチタイム。インターネットで調べることや、職員室で先生へ取材することもできる時間です。一つのグループが職員室に取材に行き、 他のグループはインターネットで調べています。そこで1時間目が終了しました。

 2時間目が始まり、実際にプレゼンします。ライターグループは「火をおこせる、暗くても助けを呼べる」、ナイフグループは「スプーンから寝床まで作れる」など、それぞれの利点を主張。各プレゼンが終わるたびに拍手が起こりました。

 プレゼンが終了すると「ここからが大事」と野澤先生。黒板に「たしかに~だ(譲歩)→しかし~だ(主張)」と書きました。昨年、言語活動の時間に学んだ「相手の意見をふまえ、意見を述べる大人のコミュニケーション」を使って、反論の時間です。ライターグループは「ナイフは確かに便利だが、錆びたらどうする」、ナイフグループは「火は無人島ではとても役に立つが、ライターは着火液がなくなったら使えない」などと反論。「ナイフは錆びたら石で研ぐ」「火がないと魚が焼けない」と活発な議論が飛び交います。

 その後、相手グループからの反論を踏まえて、グループで最終的な意見をまとめ、発表しました。

 ディベート終了後、自分が所属したグループに関係なくアンケートをあらためてとると、「ナイフ15名、ライター15名(一人考え中)」という結果が。追い上げを見せたライターグループの健闘に歓声が上がりました。

 授業の最後に、生徒からiPadを使って感想を提出してもらいました。時間にして5分程度でしたが、生徒は長文の感想を書いていました。

「『前回よりレベルアップしたディベートができました』『次は教室の外に出て取材したい』と書いた生徒も多かったです」

 取材後、長文で感想を書く生徒が多くて驚いたと伝えると、

「生徒たちは中1から言語活動の時間を通じて、自分の思いを言語化する練習をしてきました。5分もあれば300字程度の文章が書けます」

 PBLは週2時間。前半の数カ月はディベートに注力すると言います。

「ディベートは本校初の試み。教員も生徒と一緒に、楽しんで授業に取り組んでいます」(野澤先生)

「無人島に持っていくとしたらライターかナイフか」
ディベートを通じて意見を主張するスキルを磨く
グループ分けの前にとったアンケート結果。最初はナイフ派が圧倒的に多かったのに対し、最後のアンケートでライター派が増加しました。グループ分けの前にとったアンケート結果。最初はナイフ派が圧倒的に多かったのに対し、最後のアンケートでライター派が増加しました。
物事をいくつかのまとまりに分けて整理する「Xチャート」で意見をまとめます。物事をいくつかのまとまりに分けて整理する「Xチャート」で意見をまとめます。

リサーチタイムに教室を出て、別のクラスの教員に取材する生徒たち。リサーチタイムに教室を出て、別のクラスの教員に取材する生徒たち。
ナイフグループのプレゼン風景。Xチャートでまとめた意見に加え、インターネットで調べたことや他の教員に取材したことなどを交え、ナイフの有効性をアピールします。ナイフグループのプレゼン風景。Xチャートでまとめた意見に加え、インターネットで調べたことや他の教員に取材したことなどを交え、ナイフの有効性をアピールします。
今の中3生が中学に入学した年に男女共学となった同校。男子と女子は視点が違うこともあり、お互いにいい刺激になっているようです。今の中3生が中学に入学した年に男女共学となった同校。男子と女子は視点が違うこともあり、お互いにいい刺激になっているようです。
先生から一言
中学3年間で学ぶ
「自分」、「他者」、そして「社会」
主事/野澤清秀先生主事/野澤清秀先生

 PBLは中学3年間を通したプログラムです。1年目は自分を知る。自己を深掘りしながら、自分自身のことを相手に伝えます。2年目は他者に興味を持つ。他者のために自分がどんな価値を提供できるかを考えます。3年目は社会に対して何ができるかがテーマ。まだ授業の詳細は調整中ですが、自分の思いだけで突っ走るのではなく、社会の現状を踏まえたうえで何ができるか。そのためにデータを分析し、状況をリサーチしてアクションを起こしていく。今日は、その前段階となる「ディベート」を学びました。

進学通信 2021年7月号
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