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私立中高進学通信

2022年9月号

私たち、僕たちが大好きな先生

かえつ有明中学校

問題作成と振り返りの
サイクルが大きな成長を生む

佐藤 あやか(さとう あやか)先生
都内の大学の理工学部数学科を修了し、2013年にかえつ有明中・高等学校に数学科教員として着任。
アート部の顧問を務める。ゲームと寝ることが好きで、冬にはスノーボードに出かけるなど、
「休日は欲望に忠実に過ごしています(笑)」という。

「生徒一人ひとりが持つ個性と才能を生かして、より良い世界を創りだすために主体的に行動できる人間へと成長できる基盤の育成」を教育理念に掲げる同校。数学科の佐藤あやか先生は、東京理科大学理数教育研究センター主催のコンテスト「算数/数学・授業の達人」で2021年度の審査員特別賞を受賞しました。受賞した「数学探究」の授業について、佐藤先生にお話をうかがいました。

問題を作り解説することで
学びを深める「数学探究」

――「算数/数学・授業の達人」コンテストで審査員特別賞を受賞されましたが、このコンテストに参加するきっかけを教えてください。

 知人から「数学科でこのコンテストに出せる優れた取り組みを探している」と言われたことがきっかけでした。「授業の達人」は「小・中・高で意欲的な実践・研究や創意あふれる指導により、優れた授業を実践した数学科の教員」を対象とするコンテストなのですが、「ぜひ出てほしい」と強く言われて、挑戦する気になりました。

――受賞のご感想を聞かせてください。

 びっくりしました。受賞するほど評価していただけるとは思っていなかったので、最初はドッキリかと思いました(笑)。私がコンテストに応募した授業動画は、生徒たちが主体のもので私はほとんど出ない内容なので、受賞したことは生徒たちを評価してもらえたようで、すごくうれしかったですね。

 生徒たちも、受賞をものすごく喜んでくれました。コンテストに動画を応募したことは、生徒たちには事前に伝えていなかったので、「言ってくれれば良かったのに」という声もたくさんありました。生徒たちは、私が予想していた以上に喜んでくれました。

――コンテストに応募した「数学探究」の授業は、どのような内容なのでしょうか。

 私の「数学探究」の授業では、生徒たちに「問題作成」をしてもらっています。授業で先生から教えてもらうだけではなく、「自分たちで問題を作ることで情報を整理し、数学の学びを深める」ことが目的です。その際、「数学1Aの範囲から」「数学だったらなんでもいい」といった具合に、あえて問題作成の条件をゆるくしています。そのように作った問題をみんなに解いてもらって、「どんなテストだったか」について評価してもらいます。そうすることで生徒は、自分がどういう意図で問題を作ったか、それがどう評価されたかを知り、それを次の問題作成に生かしていく。こうしたサイクルの中で、考えや理解が深まっていくことを大事にしています。トライしてダメだったら、その結果を一緒に振り返りながら「次にやるときにどうするか」を考えることが大切だと思っています。

 ただ単純な問題作りだけだと生徒は飽きてしまうと思うので、次のステップとして「数学と何か掛け合わせた探究型のワークを作ってみよう」「調べ学習して発表してみよう」といった課題にも挑戦してもらっています。

――生徒たちが作成した問題で、佐藤先生の印象に残っているものは?

 たくさんありますね。“数学×スポーツ”っていうことで統計学に話を持っていった生徒がいました。「野球の打率や勝率がチームによって違うのはなぜか」をワークにしたんです。また“数学×アート”で、どうして美しいかを考えるために「黄金比」に合わせて自分たちでロゴを作ってみた生徒もいました。そうすることで生徒たちは、世の中に数学があふれていることを説明してくれるんです。

 ほかにも「友達の友達は友達」で、世界中の人と5人を介せばつながれるという話がありますが、それを実験で実証した生徒もいました。2021年に導入された大学入学共通テストの問題を持ってきて、「僕たちも対策しよう」と言いながら問題を解いて解説した高1生もいました。問題の配置や説明文のことまで研究・発表していたのには感心しましたね。ウチの数学科でやってほしいと思ったくらいです(笑)。

 こうした発表を見た生徒は、自分ももっとやってやろうという気持ちになるのが、見ていて伝わってきますね。ただサイクルを回すだけで、生徒たちが大きく成長していく様子を見るたびに、いつも感動させられます。

互いを信頼する
「リスペクト」の気持ち

――佐藤先生が数学の教員をめざしたきっかけを教えてください。

 私は小学生の時は算数が苦手で、大嫌いでした。ところが、中学に入ってから、数学という学問が少しずつ自分にマッチしてきたように感じました。もともと白黒をはっきりつけたい性格なので、問題を論理的に考えて解答を導き出せたときにスッキリする感覚が合っていたのかもしれません。数学を勉強するのが苦ではなくなっていき、気がついたら得意科目になっていました。

 高校のときに「数学は難しくて苦手」という友達を集めて、私がレクチャーすることがあったんです。そのときに「得意の数学を使って、こんなに友達に貢献できるんだ。面白いな」と思ったのが教員をめざすようになったきっかけですね。

――佐藤先生が生徒と接する中で、気をつけている点を教えてください。

「リスペクトの気持ちを持って接しよう」といつも心がけています。お互いが信頼し合える関係というものを一番大事にしているので、先生として生徒たちと話すのはできるだけ朝のホームルームだけにしようと思っています。

 本校の生徒はとても素直で、自分の弱い部分も含めて全部ぶつけてきてくれます。それは私の中高生時代にはできなかったことなので、すごいことだと感じています。そうしたすごい生徒たちに、リスペクトの気持ちを持って接しようと思っています。

 本校の魅力の一つに、生徒も教員も保護者も「お互いをリスペクトすること」を大切にしている点があると私は思っています。それは国際的な場で他国の文化をリスペクトすることにもつながりますし、他国の文化をリスペクトすることは、世界の平和にもつながります。国際社会で活躍するために、こうしたことは必要なことだと思うんです。そしてこの「リスペクト」の気持ちが、本校を安心安全で居心地の良い場所にしていると思っています。

これまでにないスタイルの数学の授業が評価された佐藤あやか先生。これまでにないスタイルの数学の授業が評価された佐藤あやか先生。
「数学探究」の授業では、生徒が生徒に問題解説を行います。「数学探究」の授業では、生徒が生徒に問題解説を行います。
クラスメートの解説を真剣に聞く生徒たち。クラスメートの解説を真剣に聞く生徒たち。
生徒たちの様子をチェックしながら見守る佐藤先生。生徒たちの様子をチェックしながら見守る佐藤先生。
解説が終わると、それぞれの問題解説の「振り返り」を行います。解説が終わると、それぞれの問題解説の「振り返り」を行います。
進学通信 2022年9月号
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