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私立中高進学通信

2024年12月号

注目! News and Topics

品川女子学院中等部

文化祭での「起業体験プログラム」を経て
ジェンダー問題の解決へ一歩を踏み出す

高校の文化祭での「起業体験」をきっかけに、日本のジェンダー問題への興味を深めたという吉田朱里さん。

社会で活躍する女性を
育てる「28project」
東京大学法学部1年の吉田朱里さん。現在は東京大学でジェンダー学を学んでいます。東京大学法学部1年の吉田朱里さん。現在は東京大学でジェンダー学を学んでいます。

 女性に参政権がなく、高等教育を受ける女性もまだ一部だった1925年に「社会で活躍する女性を育てる」ことをめざして設立された品川女子学院。同校では、自分が思い描く「28歳の自分」を実現するために何が必要かを考え、どう行動すべきかを模索し、理想の未来に向かって社会で活躍するための力を身につける「28project」を実践しています。そしてこの「28project」の一環として、「起業体験プログラム」が行われています。

「起業体験プログラム」は、9月に開催される文化祭に向けた模擬店を、校内で「株式会社」として設立する体験学習プログラム。実際の起業と同じ手順で事業計画の提出や会社の登記、プレゼンテーション、文化祭当日の販売を経て株主総会を行い、会社を解散するまでを体験します。

 このプログラムでの経験を活かして実際に20代で起業する卒業生もおり、近年では在学中に起業する生徒も登場しています。現在東京大学に通う同校のOGで、起業体験プログラムで立ち上げた活動を、現在も継続している有志団体「CLAIR.」の運営に関わる吉田朱里さんに、「起業体験」についてのお話を伺いました。

「起業体験」の活動を
有志団体として継続
文化祭に向けて行われる「起業体験プログラム」から誕生し、それ以降も有志団体として活動を続けている「CLAIR.」。文化祭に向けて行われる「起業体験プログラム」から誕生し、それ以降も有志団体として活動を続けている「CLAIR.」。

 女性特有の「生理」について正しい知識と理解を広げることを目標に活動する「CLAIR.」。他校へ出向き、生理時の女性の体調や心理についての解説や、生理用品の使い方を説明する活動を行う「CLAIR.」立ち上げの経緯について、吉田さんは説明します。

「起業体験に参加する際、クラスで日常的に困っていることについて話す機会があり、 “生理”で困っている人が思っていた以上に多いことを知りました。それ以降、今まで気まずさを感じていた『生理』についての話がしやすくなったことを覚えています」

「起業体験」では、文化祭で生理用品の販売などを行ったという吉田さんですが、その過程で自身が生理用品について実はよく知らなかったことに気づいたそうです。

「ナプキン以外にもたくさんの選択肢がありますし、ピルを服用することも有効な手段なのですが、当時はそうした知識が足りていなかったことを痛感しました」

「起業体験」の一環として女子小学生に生理の授業を行った吉田さんは、そうした知識不足の原因について考えるようになったと言います。

「小学校での授業では大きな反響をもらったのですが、その反響の根本にはやはり知識不足があると気がついたんです。そして生理に対する話しづらさが、知識を得る機会を奪っていると思うようになりました」

 そこに思い至った吉田さんは、この活動を文化祭で終えるのはもったいないと思うようになります。

「生理の問題に対する自分なりの考察はできていましたし、授業が有効な対策になることもわかっていました。そこで、この活動を文化祭以降も継続することを先生に相談したんです」

生理に対する理解促進のため、
男子校で講義
「生理」に対する理解を深めてもらうことを目標に、「CLAIR.」は男子校に出向いて授業を行うなど積極的に活動を続けています。「生理」に対する理解を深めてもらうことを目標に、「CLAIR.」は男子校に出向いて授業を行うなど積極的に活動を続けています。

 学校の理解を得た吉田さんは、「CLAIR.」の活動として男子校での「生理の授業」を企画しますが、その準備には苦労があったと言います。

「現在の日本の企業は管理職に男性が多いので、生理休暇を取得しやすくするにはそうした方々に理解と知識を深めてもらう必要があります。そこで将来の管理職候補である男子生徒に授業をしようと考えたんです。でも男子校で授業をした前例はほぼなかったので、男子がどこまで生理について知りたいのか、どこまで話していいのかなど、わからないことばかりでした」

 手探りで準備を進め、学校に紹介された男子校で行った「授業」は、予想以上の好評を得ました。

「楽しい講座と思ってもらえるようにロールプレイを取り入れたり、あまり深い内容まで踏み込みすぎたりしないように調整したのですが、授業後のアンケートでは『もっと詳しく話してほしかった』といった声をたくさんいただきました。私たちの想定以上に、真剣に生理について知りたいと思っている男子が多かったことは、うれしい誤算でしたね」

ジェンダー課題の解決を
めざして東大へ進学
困難に出合った時ほど燃えるという吉田さん。「もっと新しいものを作りたいし、もっと難しいチャレンジに出合いたいといつも思っています」困難に出合った時ほど燃えるという吉田さん。「もっと新しいものを作りたいし、もっと難しいチャレンジに出合いたいといつも思っています」

 吉田さんは現在、「CLAIR.」の代表を後輩に任せて、その活動をサポートしています。

「まだ高3で在学中だった昨年の9月、受験に専念するため代表を譲りました。当初はアメリカの大学への進学も考えていたのですが、私は日本のジェンダー課題を解決したいと考えているので、日本とは事情の異なるアメリカより日本で学んだほうが良いと考え、東大への進学を決めました」

 無事東大に合格した吉田さんは、大学での勉強に加えて「CLAIR.」での活動、教育現場でのジェンダーギャップの解決に取り組むNPO法人「#YourChoiceProject」への参加など、幅広く精力的に活動を行っています。

「日本のジェンダー課題を解決するのが私の将来の目標です。『CLAIR.』で最初に男子校で授業を企画した時はいろいろと難しい点はあったのですが、難しいからこそやりがいを感じたので、そうした経験も今後の活動に活かしていきたいですね」

進学通信 2024年12月号
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