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私立中高進学通信

2024年12月号

私たち、僕たちが大好きな先生

安田学園中学校

「しっかり×楽しい」
自分で考え書く力を

藤﨑 貴斗(ふじさき たかと)先生

国語科 藤﨑 貴斗(ふじさき たかと)先生
私立の中高一貫校を経て、大学の文学部へ進学する。
小学校の頃から教職に憧れをもち、大学で国語科の教員を志す。
大学卒業後は教職に就き、前任校を経て安田学園に奉職。
昨年度は高3クラスを担任し、受験指導でも成果を上げる。
5年目となる今年度は中1クラスを担任し、
中学の国語と高3放課後講座の最難関大コースの国語を担当する。
中学校サッカー部の顧問も務める。

 

国語への興味を喚起して、探究心を育む授業に定評のある藤﨑貴斗先生。受験対策につながる力や、自分で考える力を伸ばす授業を展開するとともに、生徒に刺激を与える工夫も積極的に取り入れています。国語指導の理念などを伺いました。

2つの方向性を
バランスよく育てる授業を

――国語科の教員を志したきっかけは何ですか。

 小5・小6年の時の担任が、以前パキスタンの日本人学校に勤めていた方で、話が新鮮でとても面白かったのです。「こんなに面白い話ができる教員とはすごい職業だ」と憧れを抱くようになりました。

 中高は私立の一貫校で学びましたが、その学校が探究学習に力を入れている学校だったのです。それで学問に対する興味が高まり、将来は教員として生徒とともに本質的なことを学んでいきたいと思いました。大学は文学部に進み、その時点では国語、社会科、英語の教員になる道がありましたが、さまざまな教科とつながりがあり、幅が広い国語科の教員を志すことにしました。

――安田学園の校風や生徒の雰囲気などについてどのような印象を受けましたか。

 初めて本校に来た時は、自然に挨拶できる生徒が多いと感心しました。人の話をよく聞いて、素直でひたむきに物事に取り組む校風を感じました。

――国語の指導においては、どのようなことを心がけていますか。

 国語には、2つの方向性があると思っています。1つは読み書きを正しくするなど作法的な部分で、いわば“型を身につける学習”です。もう1つは、中高から大学、社会人と進むなかで、課題や問いに取り組み、自分なりに考えたり表現したりする学習です。この2つのバランスをどのようにとっていくかが大事です。後者については、思考力を伸ばすことが重要なので、小論文対策用のテキストを使っています。さまざまなテーマの文章を読み取り、反対意見をまとめるなどの作業を通して、「自分で考えて書く力」をつけていきます。

 また、中1では、「キャッチコピーコンテスト」や「創作漢字コンテスト」への応募をめざす授業も行っています。自分の作品を外に出して評価を受ける機会は重要です。生徒にはそれぞれ得意不得意があるので、できるだけジャンルが偏らないようにしています。ほかのメンバーの作品を見るグループワークを通じて、生徒同士が刺激しあえる時間を設けています。

――昨年度は高3の担任で、受験指導もされていたそうですね。

 はい。高3になると、授業も受験対策にシフトしますが、問題を解いて採点し、解説するだけの単調な授業では、長期的に見て学力向上につながりにくいので、大学受験を見据えていることを実感する授業に加え、少し違った形式も取り入れていました。

 例えば学年の初めにお薦めの本50冊ほどのリストを配付し、その中の1冊について1章分を要約させ、その内容についてディベートする授業を行いました。受験学年だからこそ、あえて受験に直結しないような、じっくり文章を読んで考え、声に出す機会を設けることは、思考力を育むうえでとても効果的です。特に昨年度の高3生は、中3からじっくり指導していた学年だったため、答案の指導をするなかで、読み飛ばしやすいところ、表現が曖昧なところなど個人の癖をつかんで指摘することができました。現代文に関しては、盤石な自信をもてるところまで指導できたと思います。

――これまでの国語指導の成果をどのように感じていますか。

 昨年度、卒業生を送り出したことで、それまでの指導が大学受験にどう現れるかを見ることができました。生徒たちは哲学的な内容に至るまで、自分の意見をしっかりと出せるようになっていましたし、「恣意的」などの語彙が日常会話でも自然に使われている場面にも出くわし、生徒たちの語彙や概念の形成に少しは貢献できたのではないかと感じました。

年代に合わせて
生徒との信頼関係を築く

――今年度は中1の担任をされていますが、生活指導や生徒との接し方についてはどのように心がけていますか。

 昨年度の高3から中1に変わったことで、ギャップを感じています。言葉の選び方や指示の出し方についても、意識して中1に合わせるようにしています。生徒との信頼関係を築くことが基本ですが、特に中1に対しては、親しみやすさを感じてもらいたい反面、くだけすぎると生徒が不安を感じてしまうので注意が必要です。中1は担任と出会って日が浅く、困り事があっても生徒からは相談しにくいようなので、こちらから声をかけるようにして、会話を通して変わったところはないかなど気にかけています。

――今後は、どのようなところをめざしていきますか。

 これまでに取り組んだことを踏まえ、他校で取り組んでいることなども参考にしながら、積極的に新しい実践も取り入れていきたいと思います。正しい読解の仕方といった本質は変わらないので、そうした力をつけるための手法をさらに極めていきたいですね。

「よく通る声で聞き取りやすい」という藤﨑先生の授業。「よく通る声で聞き取りやすい」という藤﨑先生の授業。
中学生の国語の授業では、小論文対策にも使われる教材を使用。週1コマがこの教材を使った授業です。中学生の国語の授業では、小論文対策にも使われる教材を使用。週1コマがこの教材を使った授業です。
グループワークでは、ほかの生徒の意見に接して刺激を受けられるように配慮しています。グループワークでは、ほかの生徒の意見に接して刺激を受けられるように配慮しています。
生徒の声
中1  中島さん中1 中島さん

 記述問題の解説がわかりやすく、ノートに書いたことがそのまま試験での記述問題対策になります。質問にも行きやすく、ていねいに説明してくださいます。いろいろな行事にも全力で、勉強も勉強以外のことも一生懸命に取り組んでくださいます。


中1  大川さん中1 大川さん

 レクリエーションのように楽しめる授業がたくさんあって面白いです。同時に、試験対策もしっかりできているのがすごいと思います。授業中、先生自身の話を聞かせてくださることもあり、その内容が面白くて気分転換になります。体育祭のリレーで、先生の足が速くびっくりしました。


中1  吉田さん中1 吉田さん

 声が大きくハキハキした話し方で、授業がとても聞き取りやすいです。初めて授業を受けた時は、元気な先生だなあと思いました。授業中に話してくださる豆知識的なことがとてもためになります。漢字の「へん」と「つくり」で音と意味を表していると聞いて、漢字の成り立ちがよくわかりました。

進学通信 2024年12月号
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