私立中高進学通信
2024年4月号
私学だからできるオリジナル教育
品川女子学院中等部
論理的思考力を鍛える
「ディベート」授業を導入
論理的思考力や話す力、聴く力など、多様な力を鍛えるディベートの授業。同授業について、英語ディベートに積極的に取り組むECC部の活動とともに紹介します。
![総合の時間に行われたディベート授業の様子の写真です](images/16/01.jpg)
総合の時間に行われたディベート授業の様子。
「ディベートの手法を学ぶというよりも、授業を通して論理的思考力やコミュニケーション力など、
将来に役立つさまざまな力を養ってほしい」(山根先生)
中2でディベートの授業を
年に5~6回も実施
![山根雅広先生の写真です](images/16/03.jpg)
『世界をこころに』をモットーに、『28project』や起業体験プログラムなど、キャリア教育にも力を入れる同校。2019年度から道徳・総合のカリキュラムを見直し、中2の道徳総合の時間にディベートの授業を行っています。今年度はディベートを専門に学んだ英語科の山根雅広先生が中2の担任になったことから、さらに内容をブラッシュアップ。ねらいについて、山根先生はこう話します。
「ディベートを通して、論理的に考える力やわかりやすく話す力、相手の立場になって考える力など、学校生活や社会生活で役立つさまざまな力を鍛えることが目的です」
授業では、山根先生の指導のもと、軸となる話し方のフレームから学んでいきます。
「ディベートには、主張(結論)→理由→具体例→結論の順番で話を展開する『AREA(エリア)』と呼ばれる話し方のフレームがあります。まずはこうした理論や考え方の枠を学び、すぐに試合で実践します。理論と実践をくり返すことで、ディベートに必要な力を体験的に身につけていきます」
生徒は、1年間の授業を通して5~6回の試合を経験します。試合は3人グループで戦われ、賛成派、反対派、審判を順番に体験します。すべての立場を経験することで、さまざまな側面から考えを掘り下げていきます。
「試合には、即興型と証拠資料を集めて臨む準備型があり、両方を行います。テーマは、『制服の廃止』『スマホの禁止』『品女の共学化』など、生徒が意見しやすい身近なものを設定しています」
論拠を踏まえた主張は
さまざまな場面で役立つ
ディベートの授業の成果は、他教科の授業やホームルームなどで行われる「話し合い」や「発表」の場面で発揮されているといいます。
「生徒の声で多いのは、『証拠資料の大切さがわかった』など、論理的に話すことの重要性に気づいたというものです。学校生活のなかでも、意見を述べる際、感情論でなく、論拠をもって発表する生徒が増えていると感じます。例えば、クラスで文化祭について話し合う際に、『賛成です。なぜなら……』と論拠のある意見が自然と出ることもあれば、英語の授業でスピーチをさせても、すらすらと話ができる生徒が増えました。そもそも本校には、人前で話すことに意欲をもった生徒が多くいます。彼女たちが、中2という多感な時期に、論理的に話す力を身につけることは、将来のためにも非常によい訓練になっていると思います」
授業で培った論理的思考力や根拠とともに意見をまとめる力、それをわかりやすく人に伝える力などは、社会でも必ず役立ちます。ディベートの授業は、同校の探究やキャリア教育の新たな柱としても機能し始めています。
ECC部
4技能が伸びる英語ディベートの活動
英語で考え、話し
聴いて、読んで、書く
山根先生が顧問を務めるECC部では、5年ほど前から活動の一部として英語ディベートに取り組んでいます。
「ディベートのフレームは日本語と同様ですが、それを英語で考え、話す必要があるため、かなりの英語力が必要になります。また、相手の意見を聞いて反論を組み立てる過程で聴く力が、資料を読んだり、事前準備で英文を書いたりするなかで、読む力や書く力も鍛えられます」
英語ディベートでは自然と4技能が鍛えられるため、部活動を通して英語力がぐんぐん伸びる生徒が多いと山根先生は話します。
大会での入賞は多数
全国大会にも積極的に参加
ECC部の活動日は週4日。うち2日をディベートにあて、うち2日はネイティブ教員とアクティビティを楽しんだり、文化祭のプロジェクトに向けての準備を行ったり、英語力向上につながる活動をしています。
「ディベートへの参加は任意で、希望する生徒が挑戦すればよい形式です。今ではディベートがやりたくてECC部に入部する生徒も増えています」
中学校大会、高校大会と学校種別に開催される英語ディベートの試合にも積極的に参加し、高校生で年数回、中学生では年1回行われる全国大会にも挑戦しています。
「即興型や事前準備型、個人やグループで戦う大会など、規模も形式もさまざまな大会が開催されており、毎月何かしらの大会に参加しています。入賞は生徒のモチベーションになり、自信にもつながりますが、勝ち負けだけにこだわらず、思ったことを話せるようになることやコミュニケーションのおもしろさなど、大会で培われる力や成長を大切にしてほしいですね」
生徒インタビュー
ECC部の部長・キャプテンに聞きました!
ディベートの活動を通して
英語力がぐんぐん成長
![Sさんの写真です](images/16/04.jpg)
Sさん(高2)
部活動で英語ディベートをしていておもしろいのは、年齢や経験にかかわらず、さまざまな意見を出し合い、それを取り入れながらみんなで成長ができること。複数人が論理を掛け合うことで、その場で議論が発展していくところが、ディベートの大きな魅力だと感じます。
私自身は、中学に入って初めて英語に触れ、完全な初心者としてスタートしましたが、英語ディベートの練習と実践で、4技能がとても鍛えられたと感じています。英語力に自信もつき、中3の終わりには英検2級に合格し、現在は準1級にも挑戦しています。
将来の進路は検討中ですが、部活動で後輩に「教える」経験が思いのほか楽しく、いずれは私も教える側になりたいという思いも芽生えました。もう少しで部活動は引退しますが、今後、後輩たちに活躍してもらうためにも、最後まで経験やアドバイスを伝えていきたいです。
先輩からの手厚い指導で成長
大会での優勝をめざしたい
![Yさんの写真です](images/16/02.jpg)
Yさん(中3)
ECC部に入部したきっかけは、体験入部の際にアクティビティとして経験したディベートの入門ゲームがおもしろかったからでした。はじめは自分に英語ディベートができるか不安でしたが、先輩や先生から、ディベートについて基礎からていねいに指導してもらい、今では自信をもって話すことができるようになりました。英語力も少しずつ身につき、成長できているように感じるのがうれしいです。
現在は、中学生キャプテンとしてメンバーをサポートしまとめていますが、グループで参加する試合も多いので、部活動の雰囲気づくりや、一人ひとりのモチベーションをあげる声かけなども重要です。迷うことも多いですが、先輩や先生に相談しながら一歩一歩頑張っています。一度は大会での優勝を経験してみたいという気持ちがあるので、それを目標に、これからも努力を続けていきます。
![和気あいあいとしたECC部の活動の様子の写真です](images/16/05.jpg)
![工夫しながら練習を積み重ねているECC部の皆さんの写真です](images/16/06.jpg)
(この記事は『私立中高進学通信2024年4月号』に掲載しました。)
品川女子学院中等部
〒140-8707 東京都品川区北品川3-3-12
TEL:03-3474-4048
進学通信掲載情報
![進学通信 2024年4月号](/jhs/shingaku_tsushin/images/tsushin-thumb-2404.jpg)
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