私立中高進学通信
2024年1月号
未来を切り拓くグローバル教育
十文字中学校
日々の学びで育まれる主体性
自らの力で世界へ羽ばたく
校内の海外プログラムを活用するだけでなく、校外からも自分に適した留学制度や海外プログラムを探し、グローバルに羽ばたいていく生徒たちの活動を紹介します。
留学や海外進学を志す人材、国際企業で活躍する人材を育成するNPO主催の
『グローバルタレント人材育成プログラム』に参加し、カンボジアを訪れた生徒も。
現地で起業家を支援し、経営課題の解決に挑みました。
生徒たちの挑戦を促す
心理的安全性の高い環境
『世の中にたちてかひある人(社会の役に立てる人)』を育むという建学の精神のもと、時代の変化に応じた女子教育を展開している十文字。2016年度からは、自主性、主体性を育むための改革『Move on プロジェクト』を推進し、探究学習に力を入れてきました。
その成果が実を結び、近年は留学などのグローバル活動に主体的に取り組む生徒たちが増えています。同校では、中3生のほぼ全員が参加する10日間のオーストラリア研修をはじめ多彩な海外プログラムを実施していますが、それにとどまらず生徒自ら学外の海外プログラムを見つけて参加したり、部活動を通して発展途上国の支援活動に取り組んだりするなど、果敢にチャレンジする姿が目立つようになりました。
こうした傾向について、広報部部長・理科教諭の綾部香先生は次のように話します。
「主体性とは、自分で考えて積極的に行動すること。そして主体性を発揮するためには、心理的安全性の高い空間が不可欠です。本校では、自分らしさを存分に発揮できる環境を用意し、未来への挑戦を促しています。『どんどん挑戦していいんだよ』という雰囲気が校内に醸成されているため、生徒たちも興味に従って探究を行うことができるのでしょう。
関心が向かう先は人それぞれですが、今回登場する生徒たちは、その延長線上にグローバルな探究活動があったのだと思います」
多様な価値観を受け入れる
のびのびとした校風
生徒たちの関心を広げるよう、学校側もさまざまな取り組みを用意しています。
「例えば、今は図書館に終戦記念日である今年の8月15日の全国の新聞を置いています。読み比べれば、いろいろな視点があることがわかり、視野が広がるでしょう。強制することなく、あちこちに興味の種をまいておき、生徒たちのアンテナに反応すればと思っています」
探究活動を行ううえでは、粘り強くひとつのことに向き合う姿勢も重要です。創立以来続けている自彊術体操も、粘り強さを養っているのではないかと綾部先生は分析します。
「『自彊不息(じきょうやまず:常に自分を鍛え続ける)』の精神に基づき、毎朝全員で自彊術体操を行っています。こうした本校ならではの取り組みからも、ひとつのことをコツコツ続ける大切さを身につけているのではないでしょうか」
主体性の伸長は、生徒一人ひとりの個性を養い、自分の道を見つけることにもつながります。
「本校にはサッカーで全国大会に出場する生徒もいれば、勉強やボランティア活動に力を入れる生徒もいます。『友達は友達、私は私で頑張ろう』という空気が学校全体に流れているからこそ、世界へ羽ばたいた時にも多様な価値観を受け入れられるのだと思います。
のびのびとした学校生活で主体性を養い、それぞれの輝きを放ってほしいと願っています」
生徒たちが自発的に参加した海外プログラム
現地の探究活動に参加
夏季シアトル研修
休みを利用して、中3~高2の希望者による12日間のシアトル研修に参加しました。ホームステイをしながら、探究活動のグループワークに参加したほか、現地の高校生と交流する時間ももてたことで、語学力も精神力も大きく成長しました。
学外の留学プログラムで
NZに3カ月留学
インターネットや友達からの口コミ情報で学外のニュージーランド留学プログラムを知り、約3カ月間留学し、各国からの留学生とともに現地校に通って授業を受けました。文化や宗教の異なる同世代の生徒とともに過ごし、視野が広がりました。
カンボジアを訪れて
現地で課題解決に挑戦
NさんとKさんはNPO法人が主催するプログラムに参加し、カンボジアを訪れて現地でバッグやかごを販売する女性起業家を支援しました。
「観光客などにアンケートを行い、店頭ディスプレイやパンフレット制作によるプロモーション施策を提案しました」(Nさん)
JRC部の部活動で
ルワンダへの支援活動
NさんとKさんは、青少年赤十字として活動するJRC部に所属し、さまざまな国際貢献を行っています。
「現在は、ルワンダの子どもたちが描いた絵を、商品パッケージにする活動を進めています」(Kさん)
生徒インタビュー
海外プログラムに参加した4名にインタビュー!
学校生活で培った行動力と探究心
――海外プログラムに参加したきっかけは?
Eさん
ずっと引っ込み思案でしたが、十文字で生活していくなかで「自分にはできない」と思うよりも「できるようになるために挑戦をしよう」と考え方が変わってきました。
海外に行くのは今回のシアトル夏季研修が初めてで不安でしたが、だからこそ英語を勉強しようと考え、海外研修への参加を決めました。
Iさん
私は留学のYouTubeを観て、海外校の自由な雰囲気に憧れていました。留学を経験した友達にも背中を押されて、ニュージーランドへターム留学をしました。
Nさん
国際交流に興味はありましたが、なかなか行動に移せませんでした。高2でJRC部に入り、積極的になれたことで一歩を踏み出せました。
Kさん
私は発展途上国に関心があり、中2の頃からJRC部でルワンダの子どもたちに勉強を教える活動をしてきました。
現在は日本赤十字社の方とも話をして、一方通行の支援ではなく、どうすればWin-Winの国際交流となるのかを考えるようになりました。今も新たな目標に向けて活動しています。
――各プログラムへの参加を通して、成長を感じる部分はありますか?
Eさん
ホームステイを体験し、ホストファミリーに英語で想いを伝えられた時は、自分の成長を感じました。出会った方々はみんな優しくて、これまで関心の薄かった国際交流にも興味が湧いてきました。
Iさん
留学当初は日本人だけで固まりがちでしたが、「英語を話したい、みんなと関わりたい」と自分から発信したことで、現地の生徒と交流できるように。自分自身の成長にもつながりました。
Nさん
カンボジアで起業家を支援するアンケート調査を行い、国際協力に意欲的な方々と交流したことが転機になり、「自ら動こう!」と意識が変化し、行動力もつきました。
Kさん
カンボジアの研修では、ビジネスに関する知識も学びました。マーケティング分析に興味が湧き、今はビジネススクールにも通っています。将来は、国際貢献をしながらビジネスで世界を支えていきたいです。
――学校生活を通じて、主体性が育まれていると感じることはありますか?
Eさん
シアトルへ行く時に先生方が励ましてくれて、学校全体でやる気や主体性を支えてくれていることを感じました。
Iさん
私は『自己発信コース』(※)に在籍しています。周りの友達も主体性と行動力があって、互いに高め合える環境です。周りの友達のようにもっと自己理解を深めて、将来何をしたいのか考えなければと刺激を受けています。
※自己発信コース…同校の高等学校は『リベラルアーツコース』『特選(人文・理数)コース』『自己発信コース』の3コース制。『自己発信コース』は探究学習の時間を週4時間設け、探究思考を繰り返し学ぶほか、プレゼンやディスカッションのスキルなどを磨き発信力も育んでいます。
Nさん
少人数制による英語の授業が役立っています。ネイティブの先生が英語で授業をしてくださり、直接会話をする機会が多いので、コミュニケーション能力やリスニング力なども養われ、英語への興味も増しています。
Kさん
総合的な探究の時間でSDGsの課題解決について探究を深め、プレゼンを行いました。学校で培った行動力と主体性を、国際協力に役立てていきたいです。
左からEさん(高1)、Iさん(高2)、Nさん(高3)、Kさん(高2)
(この記事は『私立中高進学通信2024年1月号』に掲載しました。)
十文字中学校
〒170-0004 東京都豊島区北大塚1-10-33
TEL:03-3918-0511
進学通信掲載情報
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