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私立中高進学通信

2025年1月号

地域とつながる協働活動

十文字中学校

巣鴨駅前商店街を活性化させたい!
開発した和スイーツを文化祭で販売

巣鴨駅前商店街活性化プロジェクトの一環として、
巣鴨を訪れる方に声をかけて、何に興味があるのかなどを調査し、
自分たちの案に活かせるものを探しました。写真は6月の街頭調査の様子。

探究活動を積極的に行い、発信力を高める十文字の「自己発信コース」。2024年度に初めて行われた「巣鴨駅前商店街活性化プロジェクト」や自分が興味のあるテーマを掘り下げる「マイプロジェクト探究」について生徒たちに話を聞きました。

自主性を重んじ
自ら思考し発信する

 2022年度から「リベラルアーツコース」「特選(人文・理数)コース」「自己発信コース」の3つの新コース制をスタートさせた十文字。「自己発信コース」は、自らが興味・関心のあることを深掘りし、思考したことを発信する実践的な学びを特徴としています。

「自己発信コースでは、週4時間の総合的な探究の時間に加え、高1で『スキルディベロップメント』として、探究スキルを学びます。生徒の主体性を重視し、生徒自身が正解のない問題に取り組み、仲間と一緒に考えながら解決策を見いだしていくことで、新しい価値を生み、世の中を良い方向へ変えるリーダーになってほしいという思いからスタートしたコースです」(自己発信コース主任/飯島奈海先生)

地元商店街と一緒に
課題解決に挑む

 2024年度は、初の試みとなる「巣鴨駅前商店街活性化プロジェクト」に、同コースの高1・高2生全員で取り組みました。これは、同校の所在する巣鴨を、『若者が来る街にする』という商店街の課題に対し、地域の方々と協働しながら課題解決をしていくプロジェクトです。

 生徒たちは4月より商店街を視察し、お祭りに参加したり、巣鴨の歴史を調べたりして理解を深めたうえで、5つの班に分かれてアイデアをまとめました。6月に巣鴨駅前商店街の理事長たちに、7月に豊島区長に向けてプレゼンを実施。その中の1案を形にすべく、9月の文化祭でプレゼンをもとに開発した和スイーツの販売を行いました。

「文化祭に向けて何度も試作を重ね、3種類のオープンどら焼きを開発しました。巣鴨駅前商店街のお菓子屋さんや果物屋さんにもご協力いただき、若者にも喜ばれるものをめざして作りました。文化祭当日はキッチンカーで手作りして販売したのですが、1日目は1時間半で売り切れてしまうほどたくさんの方に買ってもらえたので、うれしかったです」(高2/S・Yさん)

「商店街の方々と話し合いながら進めたプロジェクトでしたので、私たちの知識不足でご迷惑をおかけしたこともたくさんあったと思います。文化祭では商品を完売することができて、本当に良かったと思いました。私は会計を担当していたので、こんなにも売れたのだと実感でき、手応えも感じることができました」(高1/O・Rさん)

 自分たちの企画を形にできたことは、生徒たちに大きな達成感を与え、これまでにない学びとなりました。

4月には巣鴨駅前商店街振興組合の理事長や理事の方から直接お話を伺う機会もありました。その後商店街をじっくりと回って観察し、改めて魅力と課題について考えました。4月には巣鴨駅前商店街振興組合の理事長や理事の方から直接お話を伺う機会もありました。その後商店街をじっくりと回って観察し、改めて魅力と課題について考えました。
今回のプロジェクトでは、高1・高2混合の5班に分かれて活動しました。それぞれの班ごとに、商店街について分析をします。今回のプロジェクトでは、高1・高2混合の5班に分かれて活動しました。それぞれの班ごとに、商店街について分析をします。
豊島区長や商店街理事長へビジネスアイデアを提案するために、生徒一人ひとりが「ビジョン・アイデア(商店街がめざしたい未来像)」を発表しました。豊島区長や商店街理事長へビジネスアイデアを提案するために、生徒一人ひとりが「ビジョン・アイデア(商店街がめざしたい未来像)」を発表しました。
文化祭で販売するオープンどら焼きの開発のため、十文字学園女子大学を訪問。大学の先生にもご協力いただき、試作を何度も行いました。文化祭で販売するオープンどら焼きの開発のため、十文字学園女子大学を訪問。大学の先生にもご協力いただき、試作を何度も行いました。
その場で具材をはさむオープンどら焼きは、「モンブラン」「かもパイン」「あんバター」の3種類。開発までの道のりを紹介した冊子も配布されました。その場で具材をはさむオープンどら焼きは、「モンブラン」「かもパイン」「あんバター」の3種類。開発までの道のりを紹介した冊子も配布されました。
自己発信コースに所属する2人に聞きました
自分の興味を深掘りする「マイプロジェクト探究」

 自己発信コースでは、高校3年間を通して自身が興味をもったテーマについて問いと仮説を立て、探究を進める「マイプロジェクト探究」を行っています。「巣鴨駅前商店街活性化プロジェクト」と平行して進めている「マイプロジェクト探究」では、どんな活動をしているのかを聞きました。


空き店舗を活用した喫茶店を運営

O・Rさん(高1)

O・Rさん(高1)

 大正大学の学生が進めている、巣鴨駅前商店街にある『ガモール堂』を利用したプロジェクトに参加しています。自分たちで商品を企画するだけでなく、実際に喫茶店を運営するところまで関われることに惹かれて参加しました。今は、商品メニューが決まった段階です。今後、原価計算や宣伝についても話し合いをして決定していきます。大学生からお話を聞かせていただく機会も多く、本格的なマーケティングの仕方など、より実践的なことが学べるので、緊張感はありますがとても楽しいです。


若者に地域への興味を持ってもらいたい

S・Yさん(高2)

S・Yさん(高2)

「マイプロジェクト探究」では、私の地元である「中野区における中高生向けコミュニティスペースの提案と実践」をテーマに、若者の地域愛着熟成をめざしてイベントなどを行っています。アンケートを取った結果、中野区には中高生が集える場所が少ないことが分かり、気軽に集える場所がほしいという声が多かったので、それを実現できたらという思いからスタートしました。これまでに、中野区に長年住んでいらっしゃった新聞記者の方をお招きして、中野区の魅力を対話しながら学べるイベントを開催しました。これからも若者が中野区に興味を持ってくれるような活動をしていきたいと思います。

強みを生かして、社会貢献を
考えられる生徒に
飯島奈海先生(自己発信コース主任・進路部探究係長・国語科)

 探究の授業を通して、自分が大切にしたい価値観をしっかりともち、それを実現していく力を身につけてほしいと考えています。自己発信コースが重要視しているのは、「何を伝え、何を発信するか」です。自己理解を深めたうえで、自分の強みを知り、それをどう生かして社会に貢献できるのかを考えてほしいと思います。「巣鴨駅前商店街活性化プロジェクト」では、学校外の方々との交流を通して、粘り強く関係性を作っていくことの大切さを感じることができたのではないかと思います。さまざまな場面で非常にたくましい姿を見せてくれ、大きな学びになったことを感じています。

(この記事は『私立中高進学通信2025年1月号』に掲載しました。)

十文字中学校  

〒170-0004 東京都豊島区北大塚1-10-33
TEL:03-3918-0511

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