私立中高進学通信
2024年1月号
中学入試のポイント
関東学院中学校
入学後の“探究”プログラムに
つながる理科入試
理科の授業で多くの実験を取り入れている同校では、入試でも理科を重視し、受験生が身の回りの事象に興味をもち、自分の頭で考えているかを測る問題を作成しています。
周囲にアンテナが張れる
人材を求める
創造的な未来を切り拓くための能力を伸ばし、生徒の探究心を育むことをめざす同校では、実験を重視した理科教育を実践しています。生徒が自分の手を動かして体験し考察することで、身の回りの事象に疑問をもち、なぜそうなるのかを解明するために自ら考え、課題解決へと目を向けます。こうした姿勢を身につけることで、大学やその先の進路における目標設定にもつながっていきます。
このような方針に基づき、同校では中学入試でも理科を重視しています。理科科の伊藤章太先生にお話を伺いました。
「本校では4回ある入試のうち、2回で理科を含む4教科の入試を実施しています。どちらも30分で4問を出題します。入学後、学年が上がるにつれて “探究”が本格化していくため、日頃から身の回りの出来事に興味をもち、アンテナを張っているようなお子さんに入学してほしいという思いがあります」
理科の問題は、物理・化学・生物・地学の各分野から1つずつの出題で、いずれも小学生には初見となる用語が含まれた長文形式の問題となっています。しかも30分という限られた時間を考えると、ハードルが高いようにも思えます。
「単に言葉や式を暗記しているだけでは不十分で、基本的な知識や法則をしっかり理解したうえで問題を読み進め、新しい発見をできるかどうかが試されます。記述式の設問もあるので、わかったことを伝える表現力も求められます。問題は本校オリジナルの内容なので、ほとんどの受験生は初めて目にする題材だろうと思います。でも、それにひるむことなく何が書いてあるのか、知っている知識や法則とどう結びつけるのか、そして、伝わるように答えを書くにはどうするのかを留意して解けば、高得点が期待できる問題を作成しています。長文だと読解力も必要ですが、裏を返せばヒントも多いということなので、落ち着いて取り組んでほしいですね」
2023年度の入試問題では、新型コロナウイルス感染症を題材とする問題が出題されました。「感染症」や「抗体」といった言葉はテレビや日常生活でもよく耳にしていたはずです。世の中のことに興味や関心をもちアンテナを張っていれば、有利になったことは間違いないでしょう。
家庭内の会話でも
論理的に話すことが大切
このような入試問題に挑むには、日頃どのような勉強や思考をしているとよいのでしょうか。
「小学校で勉強する基本的な知識や法則をしっかり身につけたうえで、日常生活のなかで起こるさまざまな出来事に対して『なぜそうした現象が起こるのか』などの疑問をもつとよいと思います。気になることは知っておきたくなるはずです。それが自分で深く調べたり、誰かに教えてもらったりする出発点になるでしょう」
さらに求められるのは、実験したり調べたりしたことを考察し、導き出した答えを、意図が正しく伝わるよう論理的に文章化する力です。入試での記述内容・表現方法から、その受験生が本当に理解できているかどうかが如実に表れてくるそうです。
「読み手に伝わるように文章化することは、将来レポートをまとめたり論文を書いたりする場面でも必要です。そうした力を育むには、家庭内の会話においても、論理立てて話をするとよいと思います。本校の入試問題に対応する力もつくはずです」
このような入試を経て同校で学ぶ生徒は、理科の授業を通して実験スキルを身につけていきます。また、なぜそうなったか、なぜうまくいかなかったかを考察し、レポートにまとめる作業にも取り組みます。高校に進むと、さらに課題を探究的に深めていくプログラムが用意されています。
「学年が進んでも、生徒の体験を重視する方針は変わりません。例えば高校では豚の眼球の解剖に挑みますが、水晶体を文字の上に置くと確かにはっきり見えるといった体験は、生徒の好奇心を高めます。多くの体験を経ることで、将来の進路を自分の興味を軸に選択できるようになるでしょう。中学生にもいろいろなことへのチャレンジを促す後押しをしています」
同校の探究プログラムは、入試の時点から始まっていると言えそうです。
(この記事は『私立中高進学通信2024年1月号』に掲載しました。)
関東学院中学校
〒232-0002 神奈川県横浜市南区三春台4
TEL:045-231-1001
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