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私立中高進学通信

2021年4・5月合併号

校長が語る 自立へのプロセス

聖望学園中学校

「生徒に“自ら学びたい”と思わせる
自立を促す環境を作っていきます」

高速大容量のWi-Fi通信網が完備された校舎では、動画の配信も簡便に行えます。休校前からiPadを活用した授業に取り組んでいたことが、オンライン授業の成功につながりました。

高速大容量のWi-Fi通信網が完備された校舎では、動画の配信も簡便に行えます。
休校前からiPadを活用した授業に取り組んでいたことが、オンライン授業の成功につながりました。

自立とは価値観の土台を
持つことから始まる
関 純彦(せき・すみひこ)校長先生関 純彦(せき・すみひこ)校長先生
1963年生まれ。埼玉県出身。1989年、ルーテル学院大学(旧日本ルーテル神学大学)神学部神学科卒業。アメリカのコンコーディア大学を卒業。同大学職員として勤務。2001年に起きた9・11アメリカ同時多発テロ事件の余波でオフィスが閉鎖し、帰国後、青山学院大学大学院で修士号を取得。ルーテル学院大学非常勤講師を経て、2002年より聖望学園に勤務。2007年より現職。

 キリスト教教育の理念に基づき、社会や組織が抱えるさまざまな問題に向き合い、解決に取り組む知恵と勇気を備えた人物の育成を、同校はめざしています。

「人間としての考え方、価値観の土台をしっかり持つところから、自立は生まれると考えます」

 と、関純彦校長先生は言います。

「中高時代に価値観を培い、確立されていれば、その後の長い人生でも、自分の考えを持って選択できるようになります。
 就職試験で2つの会社から内定をもらった時、どちらに入社すべきか。この人と結婚しようかどうしようか。この家を買おうかやめようか。このように、人生にはさまざまな選択肢がありますが、何を選ぶか、選んだ後にどうするかはその人の価値観によります。そのときに聖書の言葉にヒントを見いだしてほしいのです」

 関先生は、常日頃から「聖書はすぐ効く薬ではない」と生徒に伝えています。

「人生の折々に、礼拝で歌った讃美歌や、聖書の言葉、教員の話を思い出すと、そこに救いや喜びがある。それらが自立を支えていく価値観につながると考えます。『自立』とは、生き方そのものを指しているのです」

万全のオンライン授業で
自ら学ぶ姿勢を引き出す
自立のための3つのポイント
  1. 中・高で価値観を育てる
  2. コミュニケーションを途切れさせないICT環境づくり
  3. 教員がまず変わる

「自立を促す」と言葉で表すのは簡単ですが、実際のところ、行動を起こすのは生徒自身であり、強制することはできません。ならば、学校の役割とは何でしょうか。関先生は、2020年度のコロナ禍による一斉休校時のオンライン授業を例に挙げ、学校がやるべきことは、自立に向けた舞台設定をすることだと話します。

「一斉休校のあいだ、本校は双方向のオンライン授業を4月から実施していました。礼拝やHRもオンラインで行い、教員と生徒がコミュニケーションを取り、毎日、時間割に沿って授業を進めました。生徒は自宅にいながら普段と変わらない学校生活を送ることができたのです。
 在宅学習になりますので、授業中に教員の話を聞くか否か、真剣に取り組むか否かは、完全に生徒に任されていたわけです。そうした中で魅力的なオンライン授業を行い、生徒自らに “学びたい”と思わせる環境を作れたことの意味は大きかったと思います。勉強とは中学や高校、大学だけで終わるものではありません。社会人になっても資格を取得したり、社内で勉強をしたりと、人生は学びの連続です。だからこそ、自ら学ぶ姿勢を育てることが大切なのです」

 安定したICT環境と、的確で心の通ったオンライン授業を実施できたことで、生徒は休校中も学校やクラスメートとのつながりを失うことなく、前向きに学んでいたと関先生は言います。ICT環境の整備も、生徒の自立を促すには重要な要素となっています。

教員が変われば
生徒も変わる
オンラインで開催された中学校の弁論大会。弁士の生徒は登校してカメラの前に立ち、ほかの生徒たちは自宅から耳を傾けました。オンラインで開催された中学校の弁論大会。弁士の生徒は登校してカメラの前に立ち、ほかの生徒たちは自宅から耳を傾けました。

 2020年度は、コロナ禍でさまざまな行事が中止や延期となる中、この状況で何ができるかを教員間で話し合い、文化祭のWeb開催やオンライン弁論大会、毎年、中2の修学旅行で訪問する熊本のルーテル学院中学校との遠隔交流会、遠足を工場見学に振り替えた探究活動などを企画しました。生徒の取り組み方は、いつにもまして積極的だったと関先生は言います。

「教員が新たなことに挑戦し、変わっていく姿が、生徒の心に響いたのだと思います。ある教員は『生徒が困っていると、これまではどうしても助けてしまいがちでしたが、生徒の自立に必要なのは、自ら考え、行動できるように手を差し伸べることだと改めて気づかされました。生徒は少しのアドバイスで変わることがあるので、私自身が生徒へのアクションを変える必要があると思いました』と、話していました。

 コロナ禍であっても、諦めずに知恵を絞り、協働して新たなものを作り出す。ピンチをチャンスに変える教員の行動力を、生徒たちはきっと見ているはずです。のちの人生で危機に陥ったとき、状況を打破する選択ができるようになるのではないでしょうか」

自立のための取り組み
安定した双方向オンライン授業が
可能なシステムで自主活動も活発に
普段からICTを使いこなした授業。生徒にとってiPadはなくてはならない「文房具」と同じです。普段からICTを使いこなした授業。生徒にとってiPadはなくてはならない「文房具」と同じです。

 同校では2016年度からiPadの導入を順次スタートし、2020年度には中高6学年の生徒全員がiPadを使う環境を整えました。日頃から授業や宿題に活用してきたため、コロナ禍での一斉休校の際にも「iPadがあればどんな局面でもつながり合える」と、オンライン授業に移行する機運が高まったといいます。

 3月にはシスコシステムズのWeb会議システム「Webex」を導入し、全校で一斉にオンライン授業を行える安定したWi-Fi環境を整えました。登校再開後は、生徒によるオンライン弁論大会の運営など、ICTを活用した生徒中心の活動がさらに増えました。

「これからの時代は問題解決能力の育成が大事です。教員たちが実践してきたことを生徒たちに一つひとつ伝えることで、生徒自身も積極的に問題解決に取り組むようになってきています」(関校長先生)

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