私立中高進学通信
2021年8月号
みんなの自慢のコーチ
佼成学園中学校
練習も本番も
いつも真剣勝負!
主体性を引き出す部活動の力
高校野球部監督 藤田 直毅監督
アメリカンフットボール部顧問 小林 孝至監督
サイエンス部顧問 上野 裕之先生
吹奏楽部顧問 小林 計彦先生
トップレベルの部活動がひしめく私学の中で、着実に実績をあげている同校。さまざまな「縁」から同校の部活動にかかわり、文武両道を支える4人のコーチに、指導・活動の方針について伺いました。
小林孝至監督
同校卒業後、日本大学アメフト部に所属。同校で保健体育科の教員をしながら社会人チームで選手としてプレーを続け、現在はU-19日本代表チームのコーチも兼務。
藤田直毅監督
同校から立教大学に進学。立教大学野球部助監督や社会人野球のリクルートなどの監督を経て、1999年に同校高校野球部の監督に就任。都大会出場常連の強豪に育て上げた。
小林計彦先生
洗足学園音楽大学大学院を修了後、他校の講師を経て12年前、吹奏楽部の強化を目標に、専任教諭として同校に着任。吹奏楽部顧問を続けています。
上野裕之先生
早稲田大学理工学部で修士課程を修了後、同校の生物の教員に。自身が男子校で学んできたので、同校の雰囲気にも早くから馴染めたといいます。
長き伝統を受け継ぐ
全国トップレベルの強豪校
――新型コロナ対策を講じながらの部活動の様子、また今年度の目標や指導のモットーを教えてください。
藤田監督
コロナ禍での野球部の練習は「時短」「分散」をポイントにしています。部員数が多いので午前と午後や、休みの曜日を変えながら一定の人数を保って練習し、帰宅時間も早めに設定しています。
2020年度はコロナ禍で「夏の甲子園がなくなった」と知り、数日間は茫然としましたが、多感な高校生に対して、部活動を最後までやり切らせなければと思い、現役としての区切りを定めて取り組みました。おかげさまで西東京代替大会では準優勝という成績をおさめることができました。この代にしか抱けない緊張感をもって臨めたと思います。
野球部の練習の特徴は、投球練習やティーバッティング、ノックなど基本の個人練習が多いことです。全体練習のほうが時間が短く、集中して取り組んでいます。企業のチームワークのあり方や大学野球の最先端の練習方法、隣で練習しているアメリカンフットボール部も参考にしています。小さい組織でメンバーの自主性に任せながら、全体のパフォーマンスを上げていく指導をしています。
小林監督
アメリカンフットボールは今年度、5月から予選開幕となりました。まずは東京都大会5連覇がかかっていますので、部員たちは緊張感をもちつつも意欲を高めています。
今の指導者は根性論でスポーツをしていた世代ですが、現代の生徒たちには時間にゆとりをもたせ、モチベーションを高めることを大切にしています。3カ月先の練習スケジュールを決めているので、部員たちはそれぞれ準備ができるようになっています。コロナ禍でももっと効果的・効率的な練習ができるのではと模索中です。
上野先生
チームではなく個人で研究を進めるサイエンス部は、生徒のやりたいこと、自発性が出発点になります。ですから緩やかに、ただし持続性のある活動をめざしています。部員は一人ずつテーマを決め、実験などの研究に取り組み、研究の成果を科学コンクールに応募するなどして積極的に発表しています。コロナ禍の休校期間中も部員は自主的に研究を進めていました。
部全体で取り組んでいるのは、フィールドワーク合宿や校舎屋上のビオトープの管理です。2018年に日本代表になった生徒は、このビオトープに生えるガマに付いたアブラムシをテーマにしていました。自然に親しみながらテーマを発見し、研究に打ち込めるところが特徴です。
小林先生
吹奏楽部は、フェイスシールドを付け、距離を取りながら練習をしています。外部で演奏する機会が少なくなった代わりに、演奏動画をホームページにアップロードするなどの工夫もしていて、これが励みになっているようです。
コンクールや定期演奏会に向けて、日々練習を重ねていますが、野球部やアメリカンフットボール部の応援演奏で活躍するのも本校吹奏楽部の特徴です。部員たちは外で演奏できることが何より楽しくて、対戦相手の観客席まで届くような力強い演奏が、チームの応援になると張り切っています。
部活動が居心地の良い場所であってほしいと考え、部で遠足やレクリエーションを企画したり、定期演奏会後には引退する高2生のために「卒部式」を行ったりしています。音楽を通して仲間となり、学年に関係なく、何でも言い合える兄弟のような関係性の中で、必要な練習を自分たちで考えるようなトレーニングをしています。
仲間と互いの違いを認め合い
主体性と生きる力を育む
――学校の部活動として、生徒に身につけてほしい力は何でしょうか。
小林監督
「生きる力」や「判断力」を身につけてほしいと思っています。また、自分で判断し、自分の責任において行動し、その結果を全員で受け入れていく姿勢も育んでほしいと思っています。
上野先生
私は探究学習の担当をしているのですが、自分で疑問を見つけ、解決法を考え、動いてみることは運動部・文化部に共通する素養ではないでしょうか。自分なりの解決策を見いだす力を、部は違えど、共通して培っていく力だと思います。
藤田監督
主体性をもたせることは、自分で責任を取り、結果を求め、そのための過程を大事にすることにつながります。大学進学と野球を両立してきた卒業生の姿を見ることが、後輩たちの文武両道につながっていると思います。
上野先生
サイエンス部は多様性も重視しています。一人ひとり興味のもち方が異なる生徒が集まっているので、互いの良いところを認め合いながら、部活動として集団生活を送るところは学校ならではだと思います。
小林先生
吹奏楽も管楽器だけでなく、打楽器のパートもあります。互いを認め合う雰囲気は大切にしています。
小林監督
同感です。アメリカンフットボールも、ポジションによってはボールをあまり触らない生徒もいるわけで、一人ひとりがそれぞれ違う動きをしている。だからこそ互いに認め合うことは強さにもつながります。
特に、日本一になった5年前から、生徒と教員の距離感が縮まった気がしていて、良い雰囲気になっています。
藤田監督
距離が近いといえば、昨年は榎並校長が駆けつけ、ベンチに入ってくれました。ベンチで試合を見守ってもらえただけでも、野球部員としては記念になったと思います。学校全体で部活動を応援してくれるところが、本校の良さではないでしょうか。
(この記事は『私立中高進学通信2021年8月号』に掲載しました。)
佼成学園中学校
〒166-0012 東京都杉並区和田2-6-29
TEL:03-3381-7227
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