私立中高進学通信
2021年8月号
みんなの自慢のコーチ
昭和学院中学校
生徒が自分で向上できるよう
言葉を重ね、ていねいに指導
書道研究部顧問 石渕 愛美先生
石渕先生が取り組む大作を、中学生・高校生の部員みんなで見学。
自分たちとはひと味もふた味も違う筆運びに、感嘆の声があがります。
2020年度に創立80周年を迎えた伝統校。部活動も盛んで、運動部・文化部ともに多くの実績を残しています。中高合同の書道研究部は、同校・同部出身の石渕愛美先生が指導しています。
初心者も継続していけば
書道展で入賞できるように
『昭和イノベーション元年』と位置付けた学校改革を2020年にスタートし、文武両道に励む生徒の育成をめざす同校は、昭和15(1940)年に創立された伝統校です。部活動は運動部だけでなく文化部の活動も盛んで、書道研究部は毎年、大東文化大学主催の全国書道展、和洋女子大学主催の競書大会に出品し、団体で何度も入賞しています。
中学・高校の両方で書道研究部の顧問を務める石渕先生は同校のOG。中高と書道研究部で部長を務めた後、在学中の受賞歴などが評価され、大東文化大学の中国文学科(現中国学科)に進みました。
「以前は部員の大半が経験者でしたが、5年前、初心者の男子が何名も入部してくれたことをきっかけに、初心者の生徒も増えました」
と、石渕先生。書道室では、月・木・金の週3日間、生徒たちが思い思いに自分の課題に取り組んでいます。半紙からスタートし、上達すると徐々に紙を大きくして、作品を仕上げていきます。この日も高校生数人が、床に大きく紙を広げて、大作に挑んでいました。
「書道未経験で入部する生徒は、経験者である生徒の作品との完成度の差を気にすることもあります。そこを『のびしろ』と前向きに捉え、継続して頑張っていると、初心者でも書道展で入賞できるようになります。努力すれば結果がついてくることを、生徒たちは日頃から意識して取り組んでいます」
初心者だから大きな作品は書けないということはなく、生徒の希望でどんどん取り組ませているそうです。
「今の生徒たちは、勉強や補習もあってとても忙しい毎日を過ごしています。そのような状況の中でも、時間をやりくりして部活動に参加しているので、『できる時にどんどん書いていこう』と声をかけています」
部活動は生徒の居場所
学校生活での拠り所にしてほしい
石渕先生は専任教員として、中学生の書写の授業も受けもっています。
「顧問が担当する授業ということで、部員たちはいっそうの緊張感をもって取り組んでくれますね」
生徒の普段の様子がわかるのも、教員として学校に在籍していることの良さだと話します。
「生徒の普段の生活や活躍も、ほかの先生方から聞こえてきます。学校生活でどんな頑張りを見せているかがわかっているので、生徒一人ひとりに合った声かけをしながら指導することができると思います」
授業でも、部活動でも、心がけているのは「生徒自身のやる気を大切にする」ことだと話す石渕先生。書道には添削がつきものですが、修正箇所にただ朱を入れるのではなく、「どうやったら改善できるか」を生徒にていねいに話すようにしていると言います。
「生徒の隣に立って、自分で書いて見せることが多いですね。『意識して書けば自分の字ってこんなに変わるんだ』と生徒自身が理解できるようになることが一番の上達法です。細かな部分を意識するだけで大きな変化につながることを、言葉を尽くして伝えるようにしています」
書道室では生徒たちにひっきりなしに声をかけられ、大人気の石渕先生ですが、同校で過ごした学生時代、書道研究部で活躍する前は、引っ込み思案な性格だったそうです。
「授業で手を挙げることなんてもちろんできないですし、人前で話すと顔が赤くなっていました。当時の顧問の先生が書道を通じて、『自信をもってやっていいよ』と言ってくださったことをきっかけに、書道だけはしっかりやろうと思えるようになりました。
また中3の時、担任の宮下信二先生(現副校長先生)が、『君ならできる』と級長を任せてくださり、そこでも大きく変わることができました」
教員が生徒を信頼し、見守る校風は、今も昔も変わらないと石渕先生。今は石渕先生が、生徒を支える役割を果たしています。
「じっくりと書く時間がなくても、『書道室でちょっと話したい』と部員たちがここを自分の居場所だと感じてくれればうれしいですね。教室以外にそうした居場所があることが、生徒たちにとってとても大切なことだと思います」
(この記事は『私立中高進学通信2021年8月号』に掲載しました。)
昭和学院中学校
〒272-0823 千葉県市川市東菅野2-17-1
TEL:047-323-4171
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