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私立中高進学通信

2021年8月号

私たち、僕たちが大好きな先生

西武台新座中学校

自分で考える力、伝える力を育んで
「心から楽しい!」と思える人生を

国語科 田邉真緒先生

田邉 真緒(たなべ まお)先生
文学部日本文学科卒業後、西武台高等学校・西武台新座中学校に国語科の教員として奉職。
現在は中学3年生の担任として中学・高校の授業を担当。
「本校の教員はみな心が温かく、情熱をもって教育に全力を注いでいます。
そんな教員たちがアイデアを出し合い、お互いを高め合いながらチームで生徒の指導にあたっています」

「自分の頭で考えて、気づいたことを、自信を持って多くの人に伝えられる生徒を育てたい」
そう語る田邉真緒先生に、どのような授業を展開し、どのような瞬間に教える喜びを感じているのかなどを聞きました。

教員の仕事に打ち込む
父の姿を見て私も同じ道へ

――教員になろうとしたきっかけを教えてください。

 私の父も教員として働いており、その背中を見ることで、教員という仕事に憧れを抱きました。父は多忙な教員生活を送りながらも、熱心に生徒と向き合い、喜びにあふれた様子で仕事に打ち込んでいました。そこまで夢中になれる教員の仕事とは、どういうものなんだろう。そんな疑問を抱いていたことが、私が教員をめざすようになったきっかけです。

 国語科の教員を選んだ理由は、私の人生が常に言葉と共にあったからだと思っています。小さいころから母が読み聞かせをしてくれていたこともあり、ファンタジーの世界が大好きでした。その後の人生でも、悩んだ時や迷ったときこそたくさん本を読み、そこから人生のヒントをもらっていました。これからの社会を生きる子どもたちにも、自分の価値観を広げてくれる言葉との出会いを大切にしてほしいと思い、言葉を扱う国語科の教員になりたいと考えました。

 私学の教員を選んだのは、異動のある公立校と違い、何年たっても卒業生を迎え入れることができると思ったからです。今年度も、西武台新座中学校の卒業生が教育実習生として母校に帰ってきてくれました。こういった卒業生の姿を見て、共に喜びを分かち合えるのは、私立ならではの特色だと思っています。西武台新座中学校も、最初に面接で訪れたときから生徒が明るく、温かみのある学校だと感じました。こういったのびのびした学校で生徒との時間を大切にしたいと思い、この学校で働きたいと感じました。

――国語の授業では、どのようなことを心がけて教えていますか?

 自分の頭で考えて、気づいたことを、自信を持って多くの人に伝えられるような生徒に育ってほしい。これが私のいちばんの願いです。志望する大学に合格するためにテストで良い点を取ることも大切です。しかし、その先にある学ぶことや、知識を得て、自分が変わり、成長していく喜びを授業のなかで実感してもらえたらと思っています。

 そのために、私の授業では生徒の考えを「正解・不正解」と評価するのではなく、正しい表現に向けて整理する、という意識を持つようにしています。

 たとえば、大学受験を控えた高校2年生の授業では、問題を解説する際にも、表現の一つひとつまでこだわり、より正確な答えを導き出すことを大切にしています。演習では記述形式の問題を多く用意し、タブレット端末のGoogle Jamboard という電子ホワイトボード機能を用いて、生徒の意見を集約しています。その後、より的確な答えを導くためにはどの言葉が最もふさわしいのかを共有しています。答えをただ教えるのではなく、解法と答えを共有し、それぞれの生徒の思考の中に組み込ませることで、あらゆる問題に対応できる読解力が身についていくと考えています。

中学生には抽象度の高い
問いかけをして考えさせる

――田邉先生は、ファシリテーターの役割を追求して授業をしているのですね。

 子どもが中学に入って大人への第一歩を踏み出すと、家庭のルールと学校のルール、自分が思っているルールのそれぞれにズレがあることを知ると思います。さらに今はインターネットがあり、子どもたちは常に情報過多になっています。正解が見つからずに、子どもたちは葛藤します。だからこそ、今の子どもたちには、本人の考えをいったんすべて表に出してもらい、それを一個一個整理し、問題点を細分化してあげることが必要なのではないかと私は思っています。

 そのために、中3の授業では、クラスの生徒にどんどん考えを書かせています。たとえば、先日の授業で芸術に関する文章を解かせる前に「芸術って何だろう?」と問いかけました。柔軟な中学生には、あえて抽象度の高い問いかけをしたほうが考える力がつくからです。

 すると生徒から「優れた芸術は、聞く人や見る人を試している」という気づきや「芸術がなくても人は生きていけるのに、なぜ、そこに多くの情熱を捧げる人がいるのだろう」という疑問が出てきました。そこで私は「じゃあ、SNSの写真を見て、みんなは芸術を感じる?」と問いかけました。生徒は「あまり感じない」と答えたので「なぜ感じないのか考えてみよう」といって、生徒に再び考えさせたのです。このように、どんな問いかけをすれば、生徒が自分の考えを言いたくなるかに気を配って授業を進めるようにしています。

生徒の笑顔があるからこそ
充実した教員人生がある

――授業以外では、どのような取り組みをしていますか。

 私が担任をしている中学3年生は、来年の3月にオーストラリア人間力研修を控えています。そこで彼らは、総合の時間を使って、シドニー西部のTyndale Christian Schoolとオンラインで交流する活動を行っています。本校の生徒は人と関わることが好きなので、この時間も毎回心待ちにしているようです。現地の高校生と英語で気持ちを通わせようと試行錯誤している姿を見て、彼らの3年間の成長を頼もしく感じました。また、道徳の時間でも、Google Jamboardを使用しています。学年全員の意見をその場で集約できるので、何十通りもの考えがあり、毎回新しい発見があります。その考えをもとに教員たちと検討を重ね、さらに質問を考えていくので、教員としてもやりがいを感じています。

――生徒たちの可能性を伸ばす授業や取り組みをしているのですね。

 こうした授業や取り組みは、周りの教員の協力やサポートがあってこそ、できることだと思っています。決して私ひとりの力で成し得たものではありません。私の本気に、どの教員たちも本気で応えてくれるので、授業に創意工夫ができるのです。そんな教員の先輩や同僚だけでなく、大切な生徒がいてくれるからこそ、今の満ち足りた教員人生があると考えています。

――先生になって良かったと思えるのは、どんな瞬間ですか?

 毎日です(笑)。生徒と一緒にいるときは、どんな瞬間にも喜びをかみ締めることができます。本校の生徒たちは、素直で大らかな子ばかりです。生徒は私に力を与えてくれる大切な存在です。私が生徒から気づかされることもたくさんあるからこそ、私は生徒が大好きです。この子たちには、自分が心から楽しいと実感できる人生を歩んでほしいと思っています。

大切な教え子たちと。「生徒が今、何を感じているのか。一人ひとりの話に絶えず耳を傾けることを大切にしています」(田邉先生)大切な教え子たちと。「生徒が今、何を感じているのか。一人ひとりの話に絶えず耳を傾けることを大切にしています」(田邉先生)
芸術について述べた文章を読み解く前に、中3生が記したシート。芸術は人の意見や思いなど見えないものが込められたものであり、それらを表現するには、経験や知識、観察力が必要であることなどが書き込まれています。芸術について述べた文章を読み解く前に、中3生が記したシート。芸術は人の意見や思いなど見えないものが込められたものであり、それらを表現するには、経験や知識、観察力が必要であることなどが書き込まれています。

(この記事は『私立中高進学通信2021年8月号』に掲載しました。)

進学通信 2021年8月号
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