私立中高進学通信
2021年7月号
中1の始め方
国士舘中学校
笑顔と喜びに満ちあふれた
『校外オリエンテーション』

1日目、中1と中2の生徒は八子ヶ峰ハイキングへ。
八子ヶ峰は蓼科山と霧ヶ峰の間に位置する山。
雪の残る山頂に到着した生徒たちは、雄大な景色を背に、教員やクラスメートと喜びを分かち合いました。
長野県茅野市にある白樺湖。その湖畔で4月に『校外オリエンテーション』が2泊3日で実施されました。本来、中1に向けたこの行事に今年は中2も参加。コロナによって昨年、中止となったためです。初めての宿泊行事に生徒は満面の笑顔で臨みました。
この日を待ち望んでいた
中2の生徒と教員たち
白樺湖の南東に横たわる八子ヶ峰。標高1869mの山頂をめざして生徒が励まし合いながら登っていきます。陽射しは暖かでしたが、登山道には雪が残っていました。これは1日目のハイキングの様子です。山頂に着いたときは、全員が達成感で胸がいっぱいになりました。下山してホテルに帰った後、開校式と入浴を済ませると夕食。新型コロナウイルスの感染防止対策のため、言葉を交わさない黙食となりましたが、クラスの仲間たちと囲む夕食のおいしさに生徒たちはみな笑顔でした。特に中2生はこの『校外オリエンテーション』を待ち望んでいただけに喜びを隠せません。中2を担任する教員たちも気持ちは同じでした。
考えて行動することを
今回の目標のひとつに
「現在の中2はコロナによる休校で入学式も行っていません。4月から6月までオンライン授業のなかで、担任の教員やクラスメートと顔を合わせるだけだったのです。例年であれば、入学してすぐにこの『校外オリエンテーション』に参加してお互いの距離を縮められるはずでした。
6月に授業が再開しても、体育祭や秋楓祭(文化祭)がコロナの影響で中止になり、クラスで何かひとつのことを成し遂げるような機会がなかったのです。
そこで中2の学年主任である私が校長に、今年の中1の『校外オリエンテーション』を合同で行えないかと提案しました。その結果、快諾を得られたのです。これで、自分のクラスの生徒たちに、自然のなかでクラスの仲間たちと絆を強めていく素晴らしさを体感してもらえます。喜びがこみあげてきました」
そう語るのは、中2担任の滝澤潤一先生(数学科)です。中2は2クラスあり、もう1つのクラスの担任を伊東慎弥先生(理科)が務めています。滝澤先生は伊東先生と話し合い、このオリエンテーションでの中2の目標を決めました。「自分から挨拶しよう」「考えて行動しよう」「常に連絡・報告・相談をしよう」の3つです。
中1は上級生である
中2を手本にして行動
「2日目には飯盒炊さんでカレーライスを、3日目には牧場で牛乳からミルクポトフをつくります。どちらも班ごとに行います。一人ひとりが考えて行動しなければ準備ができません。そこで『班長がわかっているから、僕は知らなくていい』ではなく、自分がするべきことを積極的に探し、責任感を持って作業に関わるようにと生徒たちに呼びかけました。たとえば、『自分の食事の片付けが済んだから終了ではなく、班の全員の片付けが済んで初めて終了になるんだよ』といっていたのです。
すると、これまでの学校生活で教員の指示を待つことが多かった中2の生徒が、この3日間で日を追うごとに主体的に行動できるようになりました。率先して準備や片付けをした後に『先生、これはこれで良いのですか?』と確認してくる生徒もたくさんいました。中1の生徒が一緒だったことで、上級生としての自覚も芽生えたのでしょう。見ていて頼もしく思えました」(滝澤先生)
一方、中1の担任である髙橋怜乃先生(国語科)は次のように語ります。
「中1の生徒は、中2の生徒の行動を見て『ああいうふうにすればいいんだ』とお手本にしていました。また、中2の部活動の先輩が、後輩である中1の生徒にアドバイスしている様子も見られました」
また、伊東先生も、担任する中2の姿を見て感動したと語ります。
「今回の『校外オリエンテーション』では、生徒たちが声をかけ合いながら、ひとつのことに打ち込んでいる姿を数多く目にすることができて胸を打たれました。そして、最もうれしく感じたのは、生徒がみな3日間、笑顔でいてくれたことです」




本校に愛校心を持つ第一歩として

「『校外オリエンテーション』は、愛校心を持つための第一歩です。そのために、新入生は、本校の歴史と、舘歌(校歌)の歌詞の意味を2日目に学びます。友達をつくることも目的です。最終日には生徒はクラスメートと打ち解けて楽しそうに会話していました」
時には人の手を借りることも大切

「どこまで私たち教員が指示を出すか、どこまで生徒の自主性にまかせるか。この宿泊行事では、これらのさじ加減を考えて自立を促しました。また、自分一人で抱え込まず、時には友達や教員の手を借りることの大切さにも気づいてもらえるようにしました」
食べ物への感謝の心が芽生えた生徒も

「ハイキングや飯盒炊さんなど、これまでの学校生活で体験できなかったチーム活動を通して、生徒は成長できたと思います。牧場では初めて見る牛の大きさに驚いたり、乳搾りに感動したりして、食べ物に対する感謝の気持ちが芽生えたという生徒も多くいました」
(この記事は『私立中高進学通信2021年7月号』に掲載しました。)
国士舘中学校
〒154-8553 東京都世田谷区若林4-32-1
TEL:03-5481-3114
進学通信掲載情報

PICK UP!!
紹介する学校
- コロナ禍をきっかけにICT活用をさらに推進現在も進化が継続中共栄学園中学校
- 『Oneワン秀明』を合言葉にコロナを乗り越え新たな教育を開拓秀明大学学校教師学部附属秀明八千代中学校
- 「コロナだから、経験できた」発想の転換が新たな可能性を生む共立女子第二中学校
- コロナ禍で芽生えた自立心生徒たちの意識も大きく変化日出学園中学校
- 校名変更、共学化、教育の内容を刷新して生まれ変わる新生・サレジアン国際学園サレジアン国際学園中学校
- 企業と連携したキャリア教育と伝統の玉川学園展でオンラインを活用し探究心を育む玉川学園中学部
- 地域で働く大人の“想い”を表現「ポスタビ」が育む自立心と自尊心東京家政学院中学校
- 獨協医科大学医学部への系列校推薦枠を新設生徒に刺激を与え、希望進路をバックアップ獨協埼玉中学校
- 2022年4月、中高一貫6年制の「サイエンスコース」がスタート横浜創英中学校
- 「アクティブイングリッシュ」で生徒と学校を変革麴町学園女子(麹町学園女子)中学校
- 大学受験を勝ち切りその先の世界を広げる英語力を城北中学校
- 学び続けるLEARNERSを育成多彩な学習で学ぶ姿勢を育む品川翔英中学校
- 生徒と先生が一緒に作るPBLで生きたディスカッションを学ぶ武蔵野大学中学校
- 笑顔と喜びに満ちあふれた『校外オリエンテーション』国士舘中学校
- 教科別「学習ガイダンス」で最適な学習方法を習得帝京中学校
- 中学で始めた英語、こんなに力がつきました!実践女子学園中学校
- 多様な意見が飛び交う、活発な生徒会です!文教大学付属中学校
- 「知の共有」をさらに広げて新しい時代を切り拓く生徒を埼玉平成中学校
- 「好きなもの」の先にある輝かしい世界を体験させたい芝浦工業大学附属中学校
- 好奇心を持って学ぶ環境を作り「めげずに挑戦する力」を育てる昭和女子大学附属昭和中学校
- 文武両道の学校生活を満喫し社会に貢献できる人間に専修大学松戸中学校
- 一人ひとりを大切に育て未来を切り拓く力を備えた女性に三輪田学園中学校
- 仏教の思想に触れることで考えることの楽しさと心の体幹を養う国府台女子学院中学部
- 日本一面白い学校を作っています夢は我が子を背負っての授業!宝仙学園順天堂大学系属理数インター中学校
- 『創造性教育』で育む創造性と起業家精神が新しい入試形式で力を発揮する瀧野川女子学園中学校


