私立中高進学通信
2021年7月号
コロナに負けない!私学のアクション
秀明大学学校教師学部附属秀明八千代中学校
『One 秀明』を合言葉に
コロナを乗り越え
新たな教育を開拓
「読書は人間にとって知恵の泉」と話す校長の富谷利光先生。
中学棟の1階の図書館は、誰もが利用しやすい、あたたかい雰囲気が特色です。
休校中のオンライン授業で
学習体制が進化
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、緊急事態宣言が発令された2020年の4月から5月にかけて、同校は『
入学したばかりの中1生には、4月上旬にYouTubeを使って校長の富谷利光先生がメッセージを発信。4月下旬には、全学年に向けた全教科の授業動画の配信を実現しています。
オンライン授業は生徒だけでなく、教員にとっても学びの機会となりました。
「授業を収録した動画を配信前に見直すことで、自分の授業が生徒たちにどう映っているのか、教員自身が客観的に把握できるようになりました。動画視聴・生徒の活動・振り返りの時間の組み立てなど、授業力・授業設計力も高まったと思います」
と富谷先生は話します。
休校期間中に、教員同士のやりとりで使用していたGoogleのグループウエア『G suite』(※)を、生徒も活用できるようにオンライン環境を強化し、授業動画の配信に加えて双方向型授業もスタート。朝の健康観察連絡などもオンラインで行い、報告がない生徒には担任から電話をするなど、平常時と同様の関わりを維持していました。
緊急事態宣言の解除後は、感染対策を万全にしながら、学校生活のリズムをどのように取り戻すのかが課題でした。
正門には、安全かつ素早く体温を測るサーマルカメラを設置。「密」を避けるため教室内の机の間隔をあけ、教員はマスクとフェイスシールドを併用して手指消毒を徹底しています。
中学校は1クラス約20名と少人数編成のため、分散登校は行わず、学校再開日から全員が顔を揃えての対面授業でスタートを切ることができました。
調理場と食堂を備え、中高ともに給食を実施している同校ですが、こちらも登校再開直後から、通常通りの食事が提供されました。テーブルにアクリル板の仕切を設置することで生徒たちは「密」になることなく、主菜・副菜・汁物のバランスの取れた献立を落ち着いて食べることができています。
学校再開後の学校環境を「いつも通り」に整えられたことで、懸念された授業の遅れは全くありませんでした。
※ G suite…Google Classroom、Google Meetなど、Google社が提供するクラウド型グループウエアサービス。オンライン学習を支援するアプリケーションをひとつにまとめて提供している。
オンラインで
海外交流を計画中
毎年4月に行われる、中2生全員参加の『イギリス英語研修』は延期していましたが、2022年の1月以降の再開を予定しています。
この研修はイギリスの国立ケント大学の敷地内にある秀明学園専用の高等教育施設「チョーサー・カレッジ・カンタベリー」の学生寮に滞在して、生きた英語を身につける2週間のプログラムです。学園専用の施設で学ぶため、渡英の時期の調整が可能です。実施に向けて、現在は海外の中学校や高等学校とのオンラインでの交流も計画中です。
読書を習慣化するために
読書環境をさらに充実
2021年度は、読書環境の充実にも力を入れています。中学生の教室が図書館を併設した校舎へと移動し、読書に親しむ環境がより身近になりました。2020年度に導入した電子図書館も好評で、生徒の読書のハードルを下げるきっかけになっています。
「紙の本であれデジタルであれ、自分自身の知恵を増やすことは生涯教育の柱となります。中学生のうちから、読書を習慣化することが大切です」 (富谷先生)
2020年度は「密」を避けるため、さまざまな取り組みを変更せざるを得なかった一方、オンライン学習の活用をはじめ、図書館の充実、秀明大学と連携したプログラミング学習、被爆者体験伝承講話の実施など、新たな取り組みも始めた同校。2021年度もさらなる進化を遂げていきます。
コロナ対策事例1
バランスの取れた給食で
「いつもの学校」を感じる
同校では、中高ともに栄養たっぷりの温かい給食を提供しています。2020年6月の学校再開直後から、ランチタイムには普段通りの給食を食べることができました。配膳時は距離を置いて並び、テーブルではアクリル板で仕切られた席に着いて食べます。
飛沫感染を防止して、みんなで食べる楽しさも両立させました。
コロナ対策事例2
オンライン授業の方法を
普段の授業にも活用
2020年度4月~5月の休校中のオンライン授業では、教員が20分程度解説してから、生徒が課題を解く時間や振り返りをする時間を設けました。生徒は課題の解答を書いたノートの紙面を撮影し、アップロードします。それを教員が採点し、コメントを添えて生徒に送付することで、学びのすべてをオンラインで完結させました。
2021年度から、中学校では1人1台のChromebookのタブレット端末を生徒全員に貸与しています。校内の通信環境も整い、登校再開後は朝学習や授業でもICTの積極的な活用が始まっています。授業での活用はもとより、生徒それぞれの習熟度に合わせた問題を出題できるデジタル学習ツールも活用し、対面ならではの指導とデジタルの良いところをミックスした授業が広がっています。
未来の展望
電子図書も導入
読書活動は学びの基盤
約3万冊の蔵書を誇る図書館は、中学棟の1階にあります。2020年10月には、返却された本を除菌するための図書除菌機を導入。入館時は手指のアルコール消毒をするので、一層安心して図書館を利用できます。
蔵書は「読んでくれそうな生徒の顔が、1人でも思い浮かんだら購入する」方針で、図書館の入り口のすぐそばにあるテーブルには、生徒の学習に関連した図書や、新しく入った本が並んでいます。生徒の発案で始まった、ツイッターのように140字程度の短い文章でお勧めの本を紹介する「Tosyotter(としょったー)」も活用し、読書を身近に感じられる環境を整えています。
自宅のパソコンやタブレット端末、スマートフォンで読むことができる電子図書館も実施しており、生徒たちに好評です。勉強に役立つ歴史や社会科学・自然科学・文学など、多彩なジャンルの書籍に加え、中高生に親しみやすいジュニア小説なども豊富に取り揃えています。
司書教諭がテーマに沿って10~20冊の電子書籍をセレクトする「特集」も人気です。歴史的人物についての学習漫画を取り上げたり、「小論文を書く前に」「勉強法に迷ったら」など学習につながるテーマでリストアップしたりすることで、生徒の読書欲を高めています。
(この記事は『私立中高進学通信2021年7月号』に掲載しました。)
秀明大学学校教師学部附属秀明八千代中学校
〒276-0007 千葉県八千代市桑橋803
TEL:047-450-7001
進学通信掲載情報
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