私立中高進学通信
2025年1月号
地域とつながる協働活動
ドルトン東京学園中等部
社会とつながりながら
地域の価値創造をめざす

「健康的でおいしい昼食を校内で食べられるようにしたい」という思いから、
無人販売店『スマートストア』が学内に導入されています。
ドルトン東京学園では、ファミリーマートや地域の商店、NTT東日本などと連携し、よりよい社会をめざした多彩な活動に取り組んでいます。社会とのつながりを感じながら学びを深めていくこの実践的な取り組みについて、参加生徒の声を取材しました。
探究の芽を育て
社会へつながる学びを実践

ドルトン東京学園では、自由な学びを探究する『ラボラトリー』の時間が設定されており、なかでも個人の興味に基づいて学年を越えて取り組む『探究ラボ』が大きな特色となっています。
その一つ、『ランチ改善ラボ』を担当した酒井春名先生(総務部長 家庭科・情報科主任)は次のように話します。
「本校では生徒の内発的な興味や関心を尊重し、それを探究の起点とする教育を大切にしています。この『ランチ改善ラボ』も、『お弁当を作る保護者の負担を軽減したい』『健康的でおいしい昼食を校内で食べられるようにしたい』という声から始まり、これまでファミリーマート様との提携や、仙川のおにぎり屋さんによる出張販売などを実現してきました。またNTT東日本グループは、近年ICTによる無人販売店『スマートストア』の運営を始めており、それを校内にも導入し、生徒が運営を担う取り組みも開始。これは、NTTの研修センターが本校の近くにあるというご縁から生まれた連携協定の一環です。生徒たちが商品の発注から棚卸しまでを自主的に行い、ラボ活動の枠を超えた運営が展開されています。
生徒たちの課題解決への思いを実社会で形にしていくなかで、自然と社会との連携が生まれてきたのです」
課題解決に取り組む社会人と
共に学び、実践する
同校では、NTTとの連携を通じてさまざまな地域創生活動にも積極的に取り組んでいます。2023年4月からは、地域課題の解決をテーマとする『地域課題解決ラボ』を開講し、NTT東日本が地域での課題解決や価値創造に向けた取り組みから培ったノウハウを吸収しています。生徒たちはそこで得た知識を活用し、地域の課題解決をめざした探究学習に取り組んでいます。ラボを担当する菅悠太朗先生(社会科)は次のように話します。
「生徒たちは少子高齢化といった社会課題と実際に向き合い、現地へ赴いて地域の方々から話を聞いたり、農業のスマート化や再生可能エネルギー、テクノロジーを活用した取り組みに参加したりしています。
こうした活動を通じて、企業や地域の方々などさまざまな大人と関わることは、生徒たちが自ら目標を設定し、学ぶ意欲を高める重要なきっかけとなっています。ゼミはその一歩にすぎませんが、地域の課題に向き合う大人を目の当たりにして、生徒たちの『もっと知りたい』『もっと学びたい』という内的動機がかき立てられ、主体的な取り組みへと発展しています。現在もそれぞれが精力的に、多様な活動に取り組んでいます」


地域の課題解決に取り組んでいるNTT東日本と連携した「地域課題解決ラボ」では、
NTT東日本のノウハウを活用し、探究学習に取り組んでいます。
スマートストアの導入・運営に取り組む
K・Aさん(高2)

ランチ改善の取り組みで、近隣の個人店と協力し、スマートストアの運営に携わってきました。現在は、売り上げを伸ばすためのイベントを企画・実行するプロジェクトマネージャーも務めています。「探究したいことがない」という人でも心配はいりません。この学校では入学後に興味の対象が必ず見つかります。ラボや研修など多くの選択肢があり、新しい自分に出会える機会が豊富なんです。
O・Kさん(高1)

スマートストアの取り組みでは、皆が好きなものを食べている時の笑顔にやりがいを感じ、コミュニティに貢献する喜びを実感しています。ハウス(※)では中1から高3までが一緒に昼食をとり、異学年と日常的に交流できるところが楽しいです。それぞれが異なるテーマでのびのびと取り組み、押し付けられることなく自分のスタイルで成長している姿に刺激をもらえます。
※ハウス…異学年の生徒で構成されるコミュニティ。日常的に集まって交流したり、協力して行事の企画や準備・運営に取り組んだりします。

「ランチ改善ラボ」の生徒たちが運営する、無人販売店「スマートストア」。
地域課題の解決に取り組む
S・Hさん(高2)

フードロスや農業に興味をもち、ラボに参加しました。特に農業従事者の高齢化問題に関心があり、若い世代が農業に興味をもてるよう、アプリで簡単に農業の単発バイトに応募できる仕組みづくりに挑戦しています。今後はビジネスコンテストにも参加予定です。ラボ活動を通じて農家や企業の方々と話し合い、日本の農業の課題に対して「解決しなければ」という思いが強くなりました。
Y・Aさん(高2)

東京で育った私は、この学校に入学してから地方の社会課題に関心をもつようになりました。夏休みには島根県へフィールドワークに行き、「消滅可能性自治体」から脱却した地域の取り組みを研究しました。この学校では多くのご縁に恵まれ、さまざまなことに挑戦しています。将来に対するネガティブな思考も、「豊かな暮らしとは何か」を考えるなかで変わり、自信をもって課題に取り組む力がつきました。

さまざまな地域を訪れ、
実際にその地で暮らす方々からお話を聞きながら、
課題に取り組む生徒たち。
先生インタビュー
探究の芽を育てる「自由」と「協働」の土壌
酒井春名先生(総務部長 家庭科・情報科主任)

生徒たちはそれぞれ異なるバックグラウンドをもち、個性も決して一様ではありません。本校ではそんな個性をそのままの形で受け入れています。それが可能なのは、『自由』と『協働』の精神が校風として本校に根付いているからだと感じます。こうした環境だからこそ、生徒たちは自由に探究心を育んでいくことができるのです。
菅悠太朗先生(社会科)

自分の興味や関心を追求し、目を輝かせて取り組む生徒たちの姿は、とてもイキイキとしており、後輩たちにとっても大きな刺激となる存在です。学年を越えた探究ラボやハウスでの活動を通じて、下級生はロールモデルとなる先輩を見つけ、学びを深めています。
(この記事は『私立中高進学通信2025年1月号』に掲載しました。)
ドルトン東京学園中等部
〒182-0004 東京都調布市入間町2-28-20
TEL:03-5787-7945
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