私立中高進学通信
2025年1月号
今こそ心の教育
国府台女子学院中学部
「仏教」の教えを学ぶ授業が
国際社会で生きる基礎を育む

「仏教」の授業では、仏教の教えについてはもちろん、
他の宗教や哲学に関する知識まで、学年ごとに充実したカリキュラムが組まれています。
宗教を学び、異文化理解
の基礎を身につける

真理を探究する心である「智慧」と他者を思いやり慈しむ心である「慈悲」をもって、女性としての豊かな心としなやかな強さを育んでいる国府台女子学院。仏教の考え方を教材として「心を育てること」を第一の目的に、週に1時間「仏教」の授業を行っています。
「いかに生きるべきか」を学ぶことで自己を確立し、自らの心を高めていく「仏教」の授業。ただし、中1の時点では普段あまり馴染みのない宗教に対する「怖れ」を解くところからスタートすると、宗教科の中嶋寧々先生は話します。
「中1生は日頃接する機会も知識も少ないため、仏教に対してどこか『怖い』と感じている印象です。でも知識として知っておくと、将来海外の方と接する際にも必ず役立つのが宗教です。グローバルに活躍するうえで必要となる異文化理解の基礎になるのが宗教ですから、授業では決して遠い存在ではないということを教えて、イメージを変えるように心がけています」
宗教が身近なものであると教えるために、授業でニュースを取り上げることも多いと中嶋先生は話します。
「ニュースを見て自分がどう感じたか、なぜそう感じたのかについて考える練習は、心を育むことにつながります。また、中2の1学期にイスラム教についての授業を行ったのですが、代表的な宗教を中心に知識を身につけておくことで、イスラム教を信仰する人と接する際に失礼な振る舞いを避けることができます。授業でイスラム教のモスクについて説明した際には、その後、実際にモスクを見に行った生徒もいました。その話を聞いた時は驚きましたが、『もっと知りたい』と思ってもらえるような授業を念頭においているので、知識を経験につなげてくれたことがとてもうれしかったですね」
高校時代の仏教の授業が
将来を変えた
2023年度から同校宗教科の教員になったという中嶋先生は、同校の卒業生でもあります。
「私は仏教について全く知らない状態で入学したのですが、仏教の授業を通して差別問題から結婚できなくなってしまった女性の記事を読んで、自分が知識不足であることを痛感しました。そしていろいろ調べていくうちに、差別の根源には宗教が関連している事例が多いことを知りました。当時は高校生だったので受験勉強が中心でしたが、週1回の仏教の授業だけは受験以外について考えることができる時間でした。私はもともと英語を使う職業に就きたいと考えていたのですが、仏教の授業で得た数々の気づきが宗教科の教員をめざすきっかけになりました」
より良く生きるための
十七条憲法の第十条
心を育む授業に取り組んでいる中嶋先生に、仏教の教えで心に残っている言葉について伺いました。
「仏教では『命』について考えさせられることがすごく多いんです。『平和』に対しても、どういう状態が平和なのかを教えてくれる言葉がたくさんあります。そのなかで私の心に残っている言葉は、仏教の影響を受けて聖徳太子が制定したと言われている十七条憲法の第十条です」
十七条憲法は日本国憲法とは異なり、当時の官僚や貴族に対する道徳的な規範を示したもので、その第十条は「忿(こころのいかり)を絶ち、瞋(おもてのいかり)を棄て、人の違(たが)うを怒(いか)らざれ。」という一文から始まる条文です。
「誰もが抱く怒りをコントロールする心得が書かれています。怒りを捨てることは平和につながる道であり、自分がより良く生きるために必要なことです。周囲に関係なく自分自身で実践できる、最大限の幸せになる方法ではないでしょうか」
中嶋先生のもとには、悩みを抱えた生徒がよく相談に来るそうです。
「授業の際に私の友人に関する話をするため、友人関係や部活動など、さまざまな悩みを抱えた生徒が話をしに来ます。悩みはそれぞれですが、『考え方を変えたり悩みをなくしたりして仏陀は悟りを開いた』というエピソードを紹介してアドバイスすることがあり、授業でもそうした話をよくしています。
先日、自販機で買おうと思っていたのと違うジュースが出てきて怒っている生徒に、別の生徒が『悟りが開けてないね。こっちを飲んだほうがおいしいってことだよ』と言っているのを聞いた時はとても微笑ましかったですね。授業で話したかいがありました」




中嶋先生によるパワフルな「仏教」の授業風景。
さまざまな話題を盛り込んでいて、生徒たちの笑みと興味を引き出します。



授業ではタブレット端末を用いて早押しクイズなども行われます。
「ICTと仏教ではかけ離れたイメージがあると思うのですが、
いろいろなツール使って気軽に接していいということを伝えたいですね」(中嶋先生)
(この記事は『私立中高進学通信2025年1月号』に掲載しました。)
国府台女子学院中学部
〒272-8567 千葉県市川市菅野3-24-1
TEL:047-322-7770
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