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私立中高進学通信

2023年1月号

キャリア教育の現場から

昭和学院中学校

“起業家精神”を育てる
探究的な講座を開講

身近にある問題を発見、そこから課題を抽出して原因を分析し、仮説を立てて検証……。活気がみなぎる同校の「起業ゼミ」を取材しました。
高1から高3まで約70名の生徒が参加したゼミの様子です。

この日のゼミは高1から高3まで約70名の生徒が参加。教室は熱気に包まれていました。

探究科主任教諭の中山諒一郎先生の写真です。探究科主任教諭
中山諒一郎先生

 キャリア教育に注力し、社会で活躍する人材の育成に力を入れている同校。2021年度からiU(情報経営イノベーション専門職大学)と高大連携協定を締結し、アントレプレナーシップ教育に関する授業を実施しています。さらに2022年度から、新たな探究学習として「起業ゼミ」がスタートしました。

「昨年度からアントレプレナーシップ教育を行っていて、それを一段階昇華させる形で起業ゼミに転換しました。これは起業家を育てるための教育ではなく、チャレンジ精神や問題解決力といった"起業家精神"(=アントレプレナーシップ)をもった生徒を育てたいと考えたためです。実際にアンケートを取ったところ、『起業に興味がある』という生徒は1割ぐらいでした。もちろん、このゼミをきっかけに起業家を志す人も出てくると思いますが、それ自体を目的にはしていません」

 と話すのは、同校の探究学習を統括する中山諒一郎先生。起業ゼミの役割として、まずは「生徒の心に火をつけること」、そして「社会とつながること」がとても重要だと言います。

「これまでiUの先生方や民間企業で仕事をされている方々をお招きして、授業をしていただきました。学校の中で生徒たちが会える大人は教員だけですが、外部の方をお招きすれば、生徒たちが素晴らしいロールモデルと出会うチャンスも増えてきます。社会とつながるために、外部の方にたくさん来ていただこうと考えています」

 取材に訪れた日は、生徒たちが3~5名程度に分かれてグループワークを行っていました。まず「身近なところで困っている人はいないか?」という観点から問題を発見し、どうすれば解決できるかを考えていきます。生徒たちは「中高生が学校から配布されたタブレット端末を有効活用していない」「小学生のランドセルが重い」などの問題を提起。そこから課題を抽出して原因を分析し、仮説を立てて検証します。この日は、仮説を検証するために、アンケート、インタビュー、WEB検索などの中から、どんな方法を取ればいいのかをグループで話し合いました。

「本校には会話ができる生徒が多いのですが、起業ゼミにはより積極的に話せる生徒が集まっていると思います。『意見を出して』と伝えて、黙っている生徒はいません。内容そのものより、何かしら意見を出すという姿勢が授業を活性化させています」

 最初の頃は「今ほど高い熱量ではなかった」と振り返る中山先生。しかし授業を重ねることで、生徒たちの熱量は着実に上がってきたそうです。

「もともと意欲のある生徒たちが集まっているので、最初からあえて高いハードルを設定していました。たとえば授業中の椅子の並べ方にしても、どう並べればいいのかを自分たちで考えてもらいました。『ここは自分で考えて動く場所だよ』というメッセージを送り続けて、それが浸透してきたように思います。みんな自分の頭で考えられるようになってきましたね」

 授業と並行して、11月には中間発表として「Rocket Pitch甲子園U-18」(※)への参加、12月には3泊4日のウィンターキャンプなど、さまざまなイベントを用意。それによって生徒たちのモチベーションを高めています。

「生徒たちが挑戦できる場所をきちんと用意し、外部の人たちとも交流できる機会を積極的に作っています。今はiUとパートナーシップ提携をしていますが、今後はほかの中学・高校とのつながりも強化し、さらに多くの人たちと交流できる機会を作りたいと考えています。
 生徒たちには、自分の頭で考えてさまざまなことに挑戦できる人になってほしい。人生を自分で切り拓いていく力とマインドセットを磨く10代を過ごしてほしいと思っています」

※「Rocket Pitch甲子園U-18」…日本最大級のビジネスピッチイベントの特別編で、18歳以下(中学生・高校生)を対象に2022年11月24日に開催。ビジネスピッチイベントとは、スタートアップの起業家が自社のサービスを投資家などにプレゼンするイベント。

生徒からの質問を受け、それに答える中山先生の様子です。終了時間を迎えても、議論が白熱していました。生徒からの質問を受け、それに答える中山先生。終了時間を迎えても、議論が白熱していました。
中山先生が男子生徒に、「どんな問題解決に取り組んでいるの?」と質問している様子を撮影した写真です。生徒が詳細に答えます。中山先生が男子生徒に、「どんな問題解決に取り組んでいるの?」と質問。生徒が詳細に答えます。
ゼミの様子を撮影した写真です。各グループは3~5名程度です。チーム分けは学年バラバラで、自由に組みますとSさんがコメントしています。各グループは3~5名程度。「チーム分けは学年バラバラで、自由に組みます」(Sさん)
「小学生のランドセルが重い」と問題提起をする女子生徒の様子を撮影した写真です。「小学生のランドセルが重い」と問題提起をする女子生徒。
生徒たちが使用するタブレット端末を撮影した写真です。WEBでリサーチをしたり、必要なことをメモしたりします。生徒たちが使用するタブレット端末。WEBでリサーチをしたり、必要なことをメモしたりします。
物の見方や知識が広がり
考え方の刺激になります
2年生のYさん写真です。Yさん(高2)

 起業ゼミの面白いところは、自分も含めてチーム一人ひとりの個性が強く、毎回新しい発見があることです。自分が考えもしなかった意見を聞き、「そういう考え方もあるんだ」と感心することもよくあります。起業ゼミに来ている人たちは、みんな自分の意見をもっていて、「挑戦しよう」という意欲のある人ばかりだから、話していて面白いですね。

 自分はもともと「起業したい」という気持ちはなく、ただ単に「大人の話を聞きたい」という理由で起業ゼミに参加しました。実際に、大人からいろいろな話を聞いて見識が広がりましたし、考え方や見方も変わって、実生活でもいろいろな考え方ができるようになりました。今は「ビジネスを始めたら楽しそうだな。起業しようかな」と、少し欲が出てきました(笑)。


3年生のSさんの写真です。Sさん(高3)

 自分は「将来、起業したい」と思っていて、昨年からアントレプレナーシップを受けていたこともあり、起業ゼミに参加しました。今日の授業では、最初に仮説を立てるところが少し難しかったです。でも、チームで取り組めるので、とても楽しいです。

 講座ではほかの人と意見を出し合ったりしながら、だんだんプランができあがっていく過程がすごく面白いですね。最初のほうは中山先生に扉を開けてもらった感じでしたが、そこから自主的に学んでいくことによって知識が広がりました。

 以前サマーキャンプに参加してすごく楽しかったので、これから3泊4日で行われるウィンターキャンプも楽しみです。他校の生徒と交流するので、自分とはまた違うタイプの人たちと接する機会を楽しみにしています。

進学通信 2023年1月号
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