合宿制の語学学校で
英語漬けの3泊4日間

　大正15年の創立以来、仏教の精神を礎とする「敬虔」「勤労」「高雅」の三大目標を掲げ、「智慧」＝「真理を探究する心」、「慈悲」＝「他者を思いやり慈しむ心」を養い、国際化・情報化が進む社会に適応する知識と技能を備えた女性を育成している同校。英語を話す機会の創出にも力を注ぎ、コロナ禍で中止を余儀なくされた中学部対象のアメリカ語学研修の代替策を準備しました。2年間実践してきたオンライン英会話に加え、生きた英語や異文化に触れる機会を作るべく、2022年7月28日から31日まで、中1から中3の希望者を対象に、静岡県富士市にある合宿制語学学校「ランゲッジ・ヴィレッジ」で3泊4日の語学留学体験を実施しました。同施設を選んだ理由について、中学部副学院長の井上卓也先生はこう話します。

「この施設を選んだ最大の理由は、滞在期間中はオールイングリッシュが基本ではあるものの、夕食後の休憩から就寝までと、起床から朝食までは日本語を使ってもOKという点でした。3泊4日の滞在期間中、日本語が一切禁止では、中学生にとってストレスが大きすぎます。多少なりとも息抜きを設けながら、それ以外の時間は、日本人同士でも徹底して英語を話す。そんな密度の濃い時間が、生徒たちにとって実りある経験になるのではないかと考えました」

大切なのは英語力よりも
英語を話したい気持ち

　語学研修に同行した井上先生は、その成果を目にすることができたと微笑みます。

「初日はみんな、間違えたらどうしようと心配が先に立ち、積極的に自分から言葉を発せずにいましたが、2日目からは明らかに雰囲気が変わっていきました。日本語を話しても許される朝食前も英語で朝の挨拶をする生徒がいたり、休憩時間に英語の先生を誘ってトランプや卓球をするようになったりと、授業時間以外も積極的に英語でコミュニケーションをとるようになっていきました」

　それこそが今回の語学研修に同校が期待していたことでした。

「生徒それぞれの英語力のレベルを考慮しつつ、本校は中1からでも語学研修への参加を可能にしました。英語を話せるかどうかではなく、英語を話したいかどうかを重視したからです」

　と井上先生は続けます。

「アメリカ語学研修もそうですが、11日間ホームステイをして、英語の授業を毎日受けたからといって英語力が格段に上がるかというと、そう簡単なものではありません。今回も、毎日いろいろなテーマの英語の授業を設けましたが、中1生のなかには、先生の話についていけなかった生徒がいたかもしれません。もちろん、わからない子がいれば、先生はもっとわかりやすい英語で説明をしてくれましたが、それでも全員が理解できていたとは言い切れないと思います。ただ、現時点での理解の深化より大切なのは、英語しか聞こえてこない環境に身をおいてもらうことでした。少しずつ耳が英語に慣れてきて、1日目に比べたら先生の言っていることがわかるようになったとか、自分が話した英語が通じたとか、そんな喜びが自信となり、その後の英語学習に対するモチベーションにつながっていきます。こうしたことが何より重要だと確信しています」

　最終日には、お世話になった先生方に、英語でメッセージをお願いする生徒が何人も出てきたそうです。

「資質や能力を伸ばすために何より必要なのは、本人の意欲と向上心です。本校としてはそのために最適な場を提供することを、今後も引き続き考えていきたいと思います」

（この記事は『私立中高進学通信2023年1月号』に掲載しました。）