Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!
LINEで送る

スクールポット中学受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト スクールポット中学受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト

X フェイスブック

私立中高進学通信

2025年神奈川版

注目! News and Topics

日本大学藤沢中学校

大学教授が中高生を直接指導する
『生物資源体験学習プログラム』がスタート

この日は海洋生物学科の教授による講座『河のブタと海のブタ』2回目を取材。鈴木教授の研究室に所属する大学生と大学院生がアシスタントとして生徒をサポート。年齢の近い先輩から大学生活や研究の楽しさを聞くことができる貴重な機会となっています。

この日は海洋生物学科の教授による講座『河のブタと海のブタ』2回目を取材。
鈴木教授の研究室に所属する大学生と大学院生がアシスタントとして生徒をサポート。
年齢の近い先輩から大学生活や研究の楽しさを聞くことができる貴重な機会となっています。

大学で何を学べるのかを知り
自分に最適な進路選択へ

 日本大学生物資源科学部のキャンパスに隣接する地の利を生かし、日本大学藤沢では以前から大学と連携した教育を進めてきました。そして2025年度からは、さらに内容を深めた中高大連携プログラム『生物資源体験学習プログラム』がスタートしました。日本大学の教授が週に一度、放課後に中3生から高2生を対象とした講義を実施します。生徒は興味のあるテーマを自由に選び、大学のアカデミックな学びに触れることができます。

 その特徴は、農場、動物病院、博物館、演習林など、大学が所有する多彩な施設を活用した体験型であること。このプログラムの目的について、放課後講座を担当する森林学科の杉浦克明教授は次のように話します。

「中高生の進路選択は、将来を左右する大切なステップです。中高大が同じキャンパス内にあるという環境を生かし、体験型の学びを通じて自分の適性や興味を見つめ直し、文理選択やその先の学部・学科選びの参考にしてほしいと考えています」

 講座は毎週木曜日の放課後に開催され、生徒たちは大学の施設へ移動して90分間の講義を受けます。テーマは学部が設置する11学科の学びを網羅しており、年間で19回実施される予定です。

「日本大学での学びを実際に体験し、各学部・学科でどのような研究が行われているのかを知ることで、自分の進みたい道がより具体的に見えてくるはずです。中高の段階で、生徒の興味関心をアカデミックなレベルへと引き上げ、大学での学びへとスムーズにつなげていける手ごたえを感じています」

キャンパス内にある「骨の博物館」で
実際に見て触れて学ぶ

 取材したこの日、海洋生物学科の鈴木美和教授による『イルカの身体について考える』がテーマの講義に約20名が参加しました。

「イルカは海の豚と書きますが、実際イルカは分類的にはブタと同じグループに属しています。具体的に言えば、ブタのように2つの蹄をもつ偶蹄類と鯨類を合わせた『鯨偶蹄目』に分類されます」

 学術的アプローチでイルカの解説をする鈴木教授の講義に、生徒たちは熱心に聞き入ります。続いて「では顔のパーツ、手足がどうなっているかも考えながら、真横と正面から見たイルカの絵を描いてみましょう。学術的には頭を左に描きますよ」と教授。

 生徒からは「普段見ているようで細かい部分はわかっていなかった」「ヒレの形ってどうだっけ?」などの声が聞こえてきます。

「生物学でのスケッチは、生物の特徴を正確に捉えて書くことが大切。イルカは海に棲んでいるので、水流をうまく後ろに逃がす、乱流を作らない流線形になっている点がポイントです。飛行機や新幹線にも同様の形がとり入れられていますね。イルカなど海の哺乳類の先祖はもともと4本足で地上で生活していましたが、海の中で生きていくために最適化した体を獲得してきました」

 続いて生徒たちはキャンパス内にある『骨の博物館』へと移動。ここは同大学の研究機関として設置された、多種多様な動物の骨や剥製が展示されている博物館で、一般公開もされています。

 生徒たちは、イルカやクジラの骨が並ぶ展示コーナーを自由に巡りながら、教授の解説に耳を傾け、骨格標本に実際に触れながらじっくりと観察を進めていきます。観察を終えると教室に戻り、再び教授の講義を受けて理解を深めていきます。講義では各部位についての解説が続き、生徒たちは、進化の過程でイルカが環境に適応し、生き残るために現在の流線形の体を獲得したことを学びました。

 参加した高1生は「面白かったのは、生き物が生き残っていくために、進化の過程で今の身体の形を獲得してきたという視点。生物の研究には、流線形や抵抗など、物理や数学も関係してくることがわかりました。大学でどんなことを学ぶのかイメージできたので、今後もこの講座を受けて自分に合った学部を見極めたいです」と目を輝かせながら語ってくれました。

「骨の多様性と進化」をメインテーマに、陸・海・空の動物たちの骨や剥製が展示されている「骨の博物館」。一般公開もされています。同大学の研究機関であるこのような施設を活用した学びを享受できるのも、ワンキャンパスならではの利点。「骨の多様性と進化」をメインテーマに、陸・海・空の動物たちの骨や剥製が展示されている「骨の博物館」。一般公開もされています。同大学の研究機関であるこのような施設を活用した学びを享受できるのも、ワンキャンパスならではの利点。
講義がある日は教授が中高の校舎まで迎えに来てくれます。大学まで約5分の道のりを、教授と楽しそうに話しながら移動する生徒たち。講義がある日は教授が中高の校舎まで迎えに来てくれます。大学まで約5分の道のりを、教授と楽しそうに話しながら移動する生徒たち。
「体を流線形にするために骨はどういう形になっているか確認してみましょう。重力に逆らって生活する陸上動物の骨はしっかりしていますが、浮力で支えられるイルカは重力に逆らう必要がないので骨の密度が下がったり、薄くなったりします。必要のないところはなくなっていきます」。こうした鈴木教授の解説に熱心に耳を傾ける生徒たち。「体を流線形にするために骨はどういう形になっているか確認してみましょう。重力に逆らって生活する陸上動物の骨はしっかりしていますが、浮力で支えられるイルカは重力に逆らう必要がないので骨の密度が下がったり、薄くなったりします。必要のないところはなくなっていきます」。こうした鈴木教授の解説に熱心に耳を傾ける生徒たち。
講義では、学術的な生物スケッチの方法について解説がありました。その内容をもとに、イルカを題材にして学術的なスケッチに挑戦してみます。講義では、学術的な生物スケッチの方法について解説がありました。その内容をもとに、イルカを題材にして学術的なスケッチに挑戦してみます。
講義でスケッチしたイルカの図と、実際の骨を見比べながら観察を進める生徒たち。「本当にきれいな流線形だね」などと感想を交わしつつ、気づいた点を熱心にメモしていきます。観察を終えると再び講義室に戻り、教授から「水流や水圧をうまく避けるために、イルカの骨はどのような形をしていたか、しっかり見てこられましたか?」と問いかけがあり、改めて解説を聞きながら理解を深めていきます。講義でスケッチしたイルカの図と、実際の骨を見比べながら観察を進める生徒たち。「本当にきれいな流線形だね」などと感想を交わしつつ、気づいた点を熱心にメモしていきます。観察を終えると再び講義室に戻り、教授から「水流や水圧をうまく避けるために、イルカの骨はどのような形をしていたか、しっかり見てこられましたか?」と問いかけがあり、改めて解説を聞きながら理解を深めていきます。
学術的な視点・考え方を身につけてほしい
日本大学 生物資源科学部 海洋生物学科 鈴木美和 教授日本大学 生物資源科学部 海洋生物学科 鈴木美和 教授

 今回生徒に学んでほしかったのは、イルカの体を外見から、骨から見て、なぜその体つきになったのかを考えるという視点。これは、いろいろな生物に共通して使うことができる学術的な視点・考え方です。この講座は中3から高2が対象ですが、興味のある生徒が参加してくれているので、まずやさしい内容から入り、次第に難易度を上げ、大学の講義で使用するスライドも見せて学術的な内容にも触れました。思った以上に反応がよく理解力の高さを感じました。

 大学でどんなことができるのかを知ったうえで自分に最適な分野に進むのが、生徒にとって一番幸せなこと。そのために各学科の講座を受けて、それぞれで何が学べるのかを知る機会にしてほしいと思っています。

放課後講座年間テーマ(抜粋)

・バイオサイエンス学科「小さな生物の大きな力~酵素と抗生物質を知って体験しよう~」

・森林学科「森林の働きを探し、生きもののつながりを実感しよう!」

・国際共生学科「地域資源のブランド化!コト消費(体験企画)を大学生と考えよう」

・食品ビジネス学科「和菓子のフードシステムを学び、マーケティング戦略を考えてみよう」

その他、日本大学生物資源科学部のアグリサイエンス学科、食品開発学科、環境学科、獣医学科、獣医保健看護学科、動物学科がそれぞれ多彩なテーマで講義を行っています。

紹介する学校
共学校 共学校   女子校 女子校   男子校 男子校
この号のトップに戻る 進学通信一覧を見る
ページトップ