私立中高進学通信
2025年神奈川版
注目! News and Topics
東海大学付属相模高等学校中等部
中高大一貫の強みを活かした豊かな学び
「理数科体験授業」と「異文化理解講座」

理数科の体験授業の中でも、とりわけ中学生に人気なのが、『東海大学ソーラーカーチーム』の訪問です。
数々の世界大会での高い実績に加え、「ものづくり」の楽しさや魅力をイキイキと伝えてくれる内容が、
多くの生徒の心を惹きつけています。
自分らしく学ぶ力を育む
中高大10年一貫教育

中等部から高校への進学率はほぼ100%、さらに高校から東海大学への内部進学率も8割を超える東海大学付属相模では、受験にとらわれることなく中学から大学までを見通した10年間の一貫教育を展開。一人ひとりが自分のもつ可能性とじっくり向き合い、主体的に成長していける環境が整えられています。
「生徒が受験勉強に追われることなく自分の可能性を広げ、本当にやりたいことに挑戦できるところが本校の特徴です。そのために、学園独自の教育プログラムを多数実施しています」(副校長/森公法先生)
この方針の背景には、東海大学が掲げる「調和のとれた文明社会を建設する」という建学の精神があります。中等部ではその理念を受け継ぎ、中高大をつなぐ多彩な教育連携を展開。今回はその代表的な取り組みである、『理数科体験授業』と『異文化理解講座』を取材しました。
湘南キャンパスで理系の魅力に
触れる『理数科体験授業』

理系離れが課題となるなか、中学生の段階から理系の魅力に触れてもらうことを目的に実施しているのが『理数科体験授業』です。授業の舞台となるのは、理工系、情報系、社会・人文科学系、スポーツ系など11学部を有する東海大学の湘南キャンパス。文理融合型の総合大学という特長を活かした実践的な学びの場です。
この授業について、理数教育を担当する山田理香先生はこう語ります。
「中学生は、文理選択の前段階にあり、文系・理系という枠組みがまだ固定されていません。だからこそ、成績や得意不得意ではなく、興味から入るというアプローチを大切にしています」
理数科体験授業は中学の全学年で実施されます。中1では湘南キャンパスを訪れ、大学の広大な敷地を歩きながらさまざまな研究施設を見学し、大学の雰囲気に触れます。中2・中3になると、理工系学部の17の研究室をグループで訪問し、その内容をクラスメートに発表。自らが見聞した研究内容を仲間に説明するというプロセスを通じて、理解を深めます。
「担当する研究室はあえて生徒に選ばせていません。好き・嫌いに関係なく自分が訪問した研究室の学問に触れ、調べ、発表する。そうすることで、知的好奇心の幅を広げることができます。また、研究室で体験した内容が『こんなに身近なこととつながっているんだ』という気づきになり、理系の学びへのモチベーションにもなっています」(山田先生)
かつては大学の先生が中等部に出向いて実験教室を開く形が中心でしたが、現在は生徒の研究室訪問に重きをおき、学生や教授との直接のやりとりを通じて、「大学での学び」を肌で感じ取れる機会にしています。
「高校生になってからではなく、中学生のうちにこうした経験を積むことが重要です。大学には様々な分野の英知が集まっていますので、その中から自分に合ったものを見つけ出し、将来、世の中のさまざまなところで活躍することを願っています」(山田先生)



東海大学・湘南キャンパスで行う「理数科体験授業」の様子。
理系学部には、情報通信学部、理学部、情報理工学部、建築都市学部があり、
最先端のテクノロジーや幅広い学びを体験できます。
英語の枠を越えた国際交流
『異文化理解講座』
理数系に加えて、国際理解の分野でも連携教育に力を入れています。中1生全員を対象とする『異文化理解講座』では、東海大学に留学中の外国人学生と交流する時間が設けられています。2025年度は、ドイツ、スペイン、ノルウェー、ポーランドといった国々からの留学生を迎え、生徒たちは3~4人ずつの班に分かれて交流を楽しみました。この講座のねらいについて、森先生は次のように語ります。
「これは英語の授業ではありません。英語が話せる・話せないに関係なく、いろいろな文化や価値観に触れ、自分とは背景が違う人との対話を通じて、表現することや聞くこと、違いを認めることの大切さを実感してほしいのです」
生徒たちは、プレゼンテーションソフトを使って日本文化を紹介したり、おはじきやけん玉など日本の伝統的な遊びを留学生と一緒に楽しんだりするなかで、お互いの文化を共有します。また、留学生からも自国の生活や学校文化について話を聞き、自然に双方向のやりとりが生まれます。
「中1の6月という早い時期に実施するのは、英語に対する苦手意識がまだ芽生えていないうちに、伝えることの楽しさや異文化に触れることの面白さを感じてほしいからです。“英語を話す”というより、“英語を通じて何ができるか”を体感してほしいのです」
こうした交流を通して、生徒たちは「話す力」だけでなく「聴く力」や「共感する力」も養い、異なる価値観や背景をもつ人々と協働するために必要な土台を築いていきます。

中1の6月に実施する「異文化理解講座」の様子。
早い時期に実施することで、英語が話せる・話せないに関係なく、
異文化に触れる楽しさや、コミュニケーションの大切さが実感できます。
中高大一貫の強みを活かし
豊かな学びと成長の機会を
大学卒業まで10年間一貫で進学する利点にとどまらず、東海大学との密接な連携によって生まれる学びの広がり。理数科体験授業と異文化理解講座は、受験という時間的制約に縛られることなく、生徒の興味や意欲を高めるのに絶好の機会です。
「大学受験に特化した勉強では得られない豊かな経験を、数多く積んでほしい。そのために大学のリソースを最大限に活用し、いろいろな刺激を与えたい。そうした経験が、何事にも主体的に取り組み、自ら行動する力を育てていきます」と森先生は力強く語ります。
理系・文系の枠を越え、多様な世界とつながる。こうした同校での学びは、まさに「これからの社会を生きる力」を育てる道筋となっているのです。
相模サイエンスプログラム

中1から中3の全生徒が取り組む理数科体験授業のほか、希望者には『相模サイエンスプログラム』(SSP)も開講。中高生のための体験授業と交流会を、東海大学湘南キャンパスで実施しています。
【実施例】
・君の目はだまされている:人はモノを見るときにどのように見ているのか探ってみよう!
・川の勉強会!:体験とミニ講義を通じて知る河川環境と生物。
(この記事は『私立中高進学通信2025年神奈川版』に掲載しました。)
東海大学付属相模高等学校中等部
〒252-0395 神奈川県相模原市南区相南3-33-1
TEL:042-742-1251
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