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私立中高進学通信

2022年4月号

中1の始め方

普連土学園中学校

生徒一人ひとりに寄り添う
細やかな人間教育を

学年行事『PAA21』では、さまざまな課題を協力して解決していく中で、生徒間の絆がさらに深まっていきます

学年行事『PAA21』では、さまざまな課題を協力して解決していく中で、生徒間の絆がさらに深まっていきます

 人間のかけがえのない価値を、キリスト教を通じて見出し、人間的成長を中高の学びを通して促す同校。環境の変化に伴う中1生の気持ちを入学時からていねいにサポートします。

オリエンテーションで
クラスの親睦を深める

 130余年にわたり、キリスト教による人格形成を教育基盤として、一人ひとりを大切にし、すべての人を敬い、世の役に立つ女性を育てることを目標として女子教育を深化させてきた同校。

 生徒一人ひとりを大切にするていねいな教育は、入学式の翌日から、中1生が4日間にわたって体験するオリエンテーションにおいても徹底されています。その目的は学校の環境にいち早く慣れることと、初対面の生徒同士のコミュニケーションを高めることです。

「新入生が最も不安を感じているのは、小学校からの友達がいない環境での友人関係の構築です。女子校であるため、『おとなしい人ばかりだったら、友達が作れるだろうか?』と心配する生徒も多くいます。そこで本校はオリエンテーションの段階から、クラスメートとの交流に重きを置いたプログラムを数多く盛りこんでいます」

 そう話すのは、中1の学年主任を務める国語科の阿部えみ先生です。オリエンテーションでは、学校生活についてのガイダンスはもちろん、初日はアクティビティを交えた自己紹介などを行ってクラス全員の名前を覚え、2日目には挨拶をテーマにしたソーシャルスキルトレーニングを実施。3日目は、クイズゲーム形式のグループワークや、"良い話し合いと良くない話し合いとはどういうものか?"という課題を与え、生徒たちがシナリオを作って即興で演じる『スタンツ』を行います。4日目には、過去3日間で培った交流を活かし、話し合いでクラス目標や所属する委員会を決定します。

「生徒同士の理解が深まることで、学校生活への安心感が生まれます。教員側も、それぞれの生徒の性格や伸ばすべき能力、気に掛けたい点を最初にしっかり把握できるので、その後の指導に役立てることができます」

 体育祭や学園祭など、学校行事を通じて中1生がクラスメートとの絆を築く機会は多くあります。なかでも11月に2泊3日で行う『校外学習』も大切な行事です。2020年度からは、青少年向けの野外体験型グループワークプログラム『PAA21(プロジェクトあしがらアドベンチャー21)』を取り入れて実施しています。生徒が協力しあって課題解決へのプロセスを共有することで、コミュニケーション力と他者を思いやる気持ちをもって絆を深め、生徒それぞれの自主性をさらに伸ばします。

自主的な学習への生活習慣を
細やかにフォローアップ

 同校では、中学入試終了後から入学までの間に、ユニークな課題が出されます。たとえばキャベツの千切りや壊れたものの修理、毎日の散歩など、受験生活でなかなかできなかったであろうことにトライしてもらうのです。しかし、中学生になると、小学校とは学び方も大きく変わります。そこで同校が大切にしているのは、学習習慣をいかに継続させるかです。

「本校では、生徒が自主的に学習する習慣をしっかりと身につけてもらうため、とくに英語・国語・数学の教科では宿題を多く出し、小テストやノートチェックも頻繁に行います。細かいチェックを怠らず、少しでも成績不振の生徒には補習を実施します。
 また、セルフマネジメントを徹底させるため、入学と同時にスケジュール帳『フォーサイト』を配布します。教員や保護者の方とも学習のスケジュール管理を共有し、校内外で生徒の性格や進度に合わせたフォローアップを行っています」

 さらには、中1生のメンタル面の変化にも対応するため、入学してすぐに個別カウンセリングをスタートします。

「本校にはスクールカウンセラーが毎日常駐しています。とくに中1生は入学後の4月から6月にかけて、全員が生徒1人ずつのカウンセリングを受けます。学校生活で不安に思うことなどをヒアリングし、今後も気軽にカウンセリングルームを利用できるようにするためです。
 カウンセリングで出た話はプライバシーに配慮しながら担任とも共有し、その後の生活指導や学習指導にも大いに役立てています」

 手厚い学習指導とメンタルケアを入学時から行うことで、生徒一人ひとりの個性を把握し、より良い6年間を過ごせるよう、継続的にサポートする同校。生徒は安心して過ごせる学校生活のなかで、伸びやかに成長していくことでしょう。

クリスマス時期には特別礼拝が行われ、中1生はキリスト降誕のエピソードの朗読に合わせた劇を披露。この時期には、長期入院をしている子どもたちに贈るプレゼントを全校生徒で持ち寄り、大きなツリーを飾ります。クリスマス時期には特別礼拝が行われ、中1生はキリスト降誕のエピソードの朗読に合わせた劇を披露。この時期には、長期入院をしている子どもたちに贈るプレゼントを全校生徒で持ち寄り、大きなツリーを飾ります。
同校では中1から年間50回を越える充実した理科の実験・観察プログラムが用意されています(写真は「花の解剖」の様子)。同校では中1から年間50回を越える充実した理科の実験・観察プログラムが用意されています(写真は「花の解剖」の様子)。

中1の経験を、中高6年間の健やかな成長への第一歩に
(中1学年主任/阿部えみ先生)中1学年主任/阿部えみ先生

 本校の中1教育で最も心掛けているのは、繊細な女子の気持ちに細かく配慮することです。そして小学生時代とは違う中高一貫の女子校という環境で、全員が個性を発揮できるより良い人間関係を築き、学習にも集中できる自分の居場所を、しっかり見つけてもらうことです。

 そのために大切なのは、教員や仲間とのコミュニケーションと、確かな気持ちの拠り所だと考えます。本校では、毎朝の礼拝や人間の本質的な価値に気づける聖句暗誦会、クリスマス特別礼拝における中1生によるページェント(キリスト降誕劇)などキリスト教にまつわる行事を通じた心の教育にも注力しています。

 仲間との協働の大切さ、一人ひとりがもつ可能性の大切さに、少しでも早く気づいてもらうことで、6年間の健やかな成長へとつなげてほしいです。

進学通信 2022年4月号
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