私立中高進学通信
2022年4月号
注目! News and Topics
世田谷学園中学校
伝統に新たな変化が加わった
世田谷学園の文化祭「獅子児祭」
折り鶴で作った同校の獅子児祭マスコットキャラクター「ざふまる」の前に立つ鈴木先生と実行委員会代表の鈴木さん。
鈴木さんが手にするのは、ざふまるのモチーフとなった、坐禅の際に使用する坐蒲です。
中学生にも参加の門戸を
開いた実行委員会
お釈迦様の言葉「天上天下唯我独尊」を英訳した「Think & Share」を教育理念とする同校。全生徒が一丸となって取り組む伝統の学園祭「獅子児祭」が11月27日・28日に行われましたが、今回は新たな試みが行われたといいます。獅子児祭実行委員会代表の鈴木颯人さん(高2)と、運営委員長の鈴木琢麻先生に、新たな「獅子児祭」について伺いました。
「昨年はオンライン開催のみだったのですが、今年はそのノウハウも取り入れてオフライン展示をあわせたハイブリッド開催となりました。攻玉社中学校・高等学校に通う友達を持つ生徒の発案から実現した攻玉社の文化祭『輝玉祭』とのコラボも新しい取り組みです。一番大きな変化は、これまで高校生のみだった実行委員会と有志による展示企画に中学生でも参加できるようにしたことです」
そう話すのは、第56回「獅子児祭」実行委員代表を務める高2の鈴木颯人さん。鈴木さんは、中学の時に獅子児祭の運営にかかわりたいと思ったものの、当時実行委員会に参加できるのは高校生のみだったため参加できず、このルールを変えたいと考えたそうです。
獅子児祭運営委員長を務める鈴木琢麻先生は話します。
「中学ではクラスの展示を大事にするという考えが前提だったのですが、高校生が文化祭のメインになってしまう一面はあったかもしれません。中学生は興味のあることに突っ走るエネルギーが大きいので、今年は高校生にとっても刺激になったんじゃないかと思います」(鈴木先生)
鈴木さんも実行委員会に中学生が参加したことで、圧倒されることが何度もあったと言います。
「ビックリするほど完成度の高いPCゲームを作ってきた中学生もいましたし、ライブ配信用の機材を操作するメンバーに中学生も入ってくれました。彼らなしには、今年の獅子児祭は成り立たなかったと思いますし、僕らもいっそう頑張らなくちゃと思いました。中学生は、まだ全体を俯瞰的に見ることは苦手なので、そうした点を高校生が担当することで、とてもいい文化祭が作れると確信しました」(鈴木さん)
中学から運営に関わり
経験と愛着を継承
同校では、文化祭や体育祭を生徒が主体性や協働性を育む場として捉え、自ら問題を発見し、それに主体的に取り組む姿勢を醸成する機会と考えているといいます。
オフライン展示には、物理講義室全体を使った大がかりなカラクリ装置が圧巻の物理部の「セタゴラスイッチ」、鉄道模型が走る巨大なジオラマに目を奪われる鉄道研究同好会の「The轍」、ルービックキューブを使って人気キャラクターのドット絵を再現した「現役高校生2人で作るルービックキューブアート」など、21団体が参加した2021年の獅子児祭。オンラインも活用することで、他校とのコラボも実現し、中学生の実行委員会参加の道も開いて伝統に新たなページをつくりました。
「獅子児祭での活動は、本校の学園生活の中でもっとも自由度の高いものですが、自由度が高いからと好き勝手に行動するのではなく、来場者のことを考えつつ自分たちのやりたいことをどう実現していくかを考える必要があります。そうした葛藤の中で、生徒たちが自分の視野を広げていく大きな経験を積むことを願っています」(鈴木先生)
これからも生徒が主体的に取り組むイベントとして、中学の頃から運営に関わって経験を積み、獅子児祭により愛着を持ってほしいと鈴木先生は言います。
「獅子児祭は生徒たちの秘めたエネルギーが垣間見える、男子校らしい文化祭だと思います。先生方は僕らに寄り添って献身的にサポートしてくれるので、教員と生徒というより一緒に獅子児祭を盛り上げる同志のように僕は感じています。今年は新しい獅子児祭になったと思いますし、今回の獅子児祭で得たものは、これからもずっと受け継がれていくと思っています。それが今後の新しい獅子児祭を作る力になってくれるとうれしいですね」(鈴木さん)
ラヂオ研究会が自作した
ラジコンの戦艦大和。グラウンドに作られた5メートル四方のプールで実演が行われていました。
生徒が自作した自動掃除ロボットの展示・実演も注目を集めています。
(この記事は『私立中高進学通信2022年4月号』に掲載しました。)
世田谷学園中学校
〒154-0005 東京都世田谷区三宿1-16-31
TEL:03-3411-8661
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