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私立中高進学通信

2022年4月号

私学だからできるオリジナル教育

光塩女子学院中等科

自分の言葉で思考を深める
中学3年間の探究学習

各学年に設けられた「総合的な探究の時間」以外にも、修学旅行や学年を越えた特別企画など、探究のために多くの仕掛けが準備されている同校。その取り組みを取材しました。
クラスの垣根を越えて興味のあるテーマごとに集まった生徒たち。弘前市の方にオンラインでお話を伺います。

クラスの垣根を越えて興味のあるテーマごとに集まった生徒たち。弘前市の方にオンラインでお話を伺います。

オンライン修学旅行で
探究活動に取り組む

「人は誰でもかけがえのない尊い存在」というカトリックの人間観に基づき、自らの使命を果たしていける人間を育む同校は、探究活動に力を入れています。

「本校は例年中3の修学旅行で東北を訪れています。コロナ禍がなければ、2021年度からは青森県弘前市をフィールドに『深』探究プログラムと名付け、リンゴ農家へのインタビュー、商店街を活性化する計画の担当者への取材、『こぎん刺し』という伝統工芸を新しいビジネスにつなげるための施策、弘前ねぷた祭が抱える課題の4つから、生徒が興味のあるテーマを1つ選んで探究活動をする予定でした」(社会科/塚田聡子先生)

 しかしコロナ禍の影響により現地の訪問がかなわず、オンライン上で修学旅行の代替プログラムを行うことになりました。

「オンライン上で行う決定をしたのが9月の初めでした。実際に計画していた旅行は2泊3日の予定でしたが、その3日間を校内でオンラインを駆使しながら、どのように実施するのがベストなのか訪問先などに確認しつつ、プログラムを組み立てました」(塚田先生)

 同校はコロナ禍の影響で2020年度の修学旅行を断念していました。旅行先で聞くはずだった震災講話は校内での動画視聴とし、別日程で都内にある「奥の細道」ゆかりの地を訪ねるなどの経験を踏まえ、2021年度の修学旅行を探究プログラムとして発展させ、実施することにしました。

さまざまな工夫で
忘れられない思い出に

「1日目の1〜2時間目は弘前市の探究。オンラインなので移動時間がなくなった分を探究活動にあて、テーマを2つ選ぶことができるようになりました。3時間目は旅行代理店JTBの雑誌『るるぶ』編集部の講師の方とオンラインでつなぎ、『表現力講座』と題してキャッチコピーを書く講座を行いました」

 生徒が考えたキャッチコピーは後日編集部に送り、優秀者にるるぶ賞が贈られました。そしてこの1日目は、お土産として生徒全員に東北から取り寄せたリンゴが配られました。

「2日目は防災学習の日にしました。中3生にとって東日本大震災は幼稚園生の頃のおぼろげな記憶です。どうやって「自分ごと」として捉えるかが課題でした。1時間目は理科教員が地学的な観点から地震を解説、2時間目は岩手県釜石市にある『いのちをつなぐ未来館』の方にリモートでお話をしていただきました。ここでお話をしてくださった語り部の方は当時、中学生でした。地震・津波の怖さだけではなく、『中学生の自分に何ができるかということを考え行動した』という経験を話してくださいました。生徒たちも天災に見舞われた時に、自分にできることは何かを考えるきっかけになったようです。3〜4時間目は私が担当で、『防災に関してのワークショップ』を開催。防災バッグの中に何を入れておくべきかというテーマで意見を出し合いました」

 3日目の1〜2時間目は、各自デバイスを使って2日間の学びで印象に残ったことを班のメンバーにプレゼン。3〜4時間目は修学旅行委員主催のレクリエーションを行い、イントロクイズや○×クイズなどで楽しみました。

「今回の修学旅行の代替プログラムでは、生徒たちの生き生きとした表情をたくさん見ることができました。『普段の授業で学べないことが学べた』『コロナ禍で大変な時に自分たちのために企画してもらってうれしかった』などの感想も生徒から寄せられました。元々の東北を訪れる修学旅行では釜石市はルートに入っていなかったので、オンライン修学旅行にしたからこそ実現できた企画とも言えます。今年ならではの形で東北探究のきっかけとなり、生徒たちにとって忘れられない思い出となったようです」(塚田先生)

2日間の学びを終え、印象に残ったことを班のメンバーにプレゼンテーションします。2日間の学びを終え、印象に残ったことを班のメンバーにプレゼンテーションします。
防災バッグに入れるべきものをアプリ「Jamboard」を使って議論。次々に出る意見を付箋のように貼っていきます。防災バッグに入れるべきものをアプリ「Jamboard」を使って議論。次々に出る意見を付箋のように貼っていきます。
国際NGO「プラン・インターナショナル・ジャパン」で働く卒業生の講演に聞き入る生徒たち。テーマは「世界の女の子に生きていく力を」でした。国際NGO「プラン・インターナショナル・ジャパン」で働く卒業生の講演に聞き入る生徒たち。テーマは「世界の女の子に生きていく力を」でした。
先生から一言
中学3年間の探究の積み重ねで、自分の言葉で話す人間を育てる
社会科/塚田聡子先生社会科/塚田聡子先生

 同校では中1で学習発表、中2で探究チャレンジ、中3で卒業探究のポスターセッションなど、生徒の成長に合わせてさまざまな探究プログラムが用意されています。

「中3の3月に卒業探究のポスターセッションを行います。これは、自分の興味のあるものをテーマに決めて、1人1枚模造紙にまとめて発表するものです。中1の学習発表はグループで、中2の探究チャレンジは個人で、各科目や行事で学んだことの中から深めたいと思ったことをまとめていきますが、このポスターセッションがそれらの集大成となります」(塚田先生)

 卒業探究のポスターセッションは、「人はなぜ会話ができるの?」「十二星座って何なの?」など、テーマを疑問形で設定して表現します。ただし、本の引用やインターネットのコピぺではなく、「自分の言葉」でまとめることを大切にしました。

「引用やコピペに頼らずにまとめるのは難しいことですが、『自分の言葉』で表現すると知識が自分のものとして深まります」

 さらに塚田先生は、中3の地理の授業でも探究を取り入れています。

「中3の2学期に、『アフリカ探究』をしました。まず授業でアフリカの概要を勉強してから、アフリカ州54カ国から各自好きな国を選んで、図書室やデバイスで調べてまとめます。識字率の低さや早すぎる結婚、モノカルチャー経済など、その国が抱える問題をどう深く調べるかは本人に任せています。女性の権利を推進する国際NGO『プラン・インターナショナル・ジャパン』で働く卒業生が本校で講演をしてくれたので、生徒たちの興味をさらに深めていると思います」

 中1から中3まで探究を勉強してきた生徒たちは、人前で発表することに臆する様子はありません。それも探究の大きな成果と言えます。

 また、学年を越えた探究活動もあります。

「2020年には『今ない仕事図鑑100』(講談社)という書籍に刺激を受けて、中1から高2の生徒たちが『今ない仕事でこれから生まれそうな仕事』を考えました。そのアイデアはこの書籍の続編でいくつか掲載していただいています。また、2021年はJBBY(日本国際児童図書評議会)にサポートしていただいて、世界各地の言語の絵本を集めて展示し、思考を深めようという会の運営企画委員を生徒から募集しました。万国旗や世界地図、地球儀、言語学を専門にする教員が言語に関する知識を提示するなど、生徒のアイデアを生かして会議室に2週間展示しました。保護者を招いたり初等科の児童が遊びに来たりして、多様性を肌で感じる楽しい催しになりました」

 コロナ禍で学校生活にいろいろな制限はありますが、「探究」を取り入れることで、生徒も教員も楽しく生き生きと課題に取り組めると話す塚田先生。

「自分が面白いと思ったことを人に伝えるのはワクワクすることです。卒業する頃には、人に何かを伝える時に『自分の言葉』で豊かに表現できる人になってほしいですね。そのための仕掛けをこれからもたくさん用意していきます」(塚田先生)

「世界の子どもの本展」には、コロナ禍の影響で触れ合いが少なくなっていた初等科の児童たちも展示を見に来てくれました。

「世界の子どもの本展」には、コロナ禍の影響で触れ合いが少なくなっていた
初等科の児童たちも展示を見に来てくれました。

進学通信 2022年4月号
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