私立中高進学通信
2021年神奈川版
注目!News and Topics
サレジオ学院中学校
マリンチャレンジプログラムに向けた研究が評価され、
2年連続で全国大会に進出
2020年度マリンチャレンジプログラムに参加したチームメンバー。
左から藤原颯大さん、山口誠太さん、榊原聖瑛さん、山田遼祐さん、遠藤克弥さん(いずれも高3生)。
中高生が集うイベントで
研究が高い評価を受ける
「信念・愛情・理性」を柱に、「奉仕の心をもつリーダー」の育成をめざす同校では、「知と心と体」を育てるために部活動も積極的に奨励しています。そうした部活動の一つ、理科好きの生徒たちが集う自然科学部が、マリンチャレンジプログラムに挑戦し、2年連続で全国大会に進出しました。
マリンチャレンジプログラムとは、海・水産分野・水環境にかかわるあらゆる研究に挑戦する中高生研究者を支援するイベントで、全国大会では厳しい審査を通過した15組がそれぞれの研究成果を発表します。
「高1だった2019年度に初めて応募したのですが、初挑戦で全国大会に進めた時はビックリしました」
現在高3で自然科学部生物班・水生生物班の山口誠太さんは、当時を振り返ってそう語ります。
研究テーマには、両手にイソギンチャクを持った奇妙なカニ「キンチャクガニ」を選びました。
「テレビ番組のキンチャクガニ特集を観ていて、普段はさまざまな研究成果が放送されるのに、キンチャクガニについてはあまり内容がなかったことから、自分で研究したいと思ったのです」
キンチャクガニを選んだ理由を話すのは、研究リーダーの榊原聖瑛さんです。調べてみたところ、キンチャクガニは、研究者による先行研究がほとんどないカニだったということがわかりました。
数々のトラブルを
工夫とチームワークでクリア
キンチャクガニを生物室に置いているため、原則として週2回の活動日しか観察できないという制約の下、トラブルに巻き込まれることも。なかなかエサを食べてくれない、コロナ禍の影響で輸入がストップしてしまいキンチャクガニが手に入らない、などのアクシデントを乗り越えながら研究は進められました。
そうした姿を見守ってきた自然科学部の顧問で理科担当の下田祥史先生は、当時を振り返ってこう語ります。
「活動日以外にも生物室に集まって研究をしていたり、ビデオカメラを夜通し回して夜行性のキンチャクガニの様子を観察したり、いろいろな工夫をしていました。生物の観察は時間がかかるものですが、メンバーそれぞれが自分の得意分野を活かしてお互いの強みをうまく発揮できた結果が、2年連続のマリンチャレンジプログラム全国大会進出だったのだと思います」
何でもできる自由さが
やる気の好循環を生む
先輩たちのそうした姿は、後輩たちにも大きな影響を与えたようです。
高2で部長を務める井出悠仁さんと副部長の木村研さんは、先輩に敬意を表します。
「知らない道具を使って、地道な作業をコツコツ続ける姿を見て、すごいなと思いました」(井出さん)
「着眼点がすばらしいと思いました。キンチャクガニがあまり研究されていないことは、いろいろな本を読んで勉強しないと見えてこない部分なので、素直に尊敬しました」(木村さん)
ちなみに井出さんと木村さんは、2020年度のマリンチャレンジプログラムで、地方大会でのポスター発表に参加する研究交流会参加チームに選ばれました。マリンチャレンジプログラムへの挑戦は、後に続く後輩たちにとっても良い刺激となっています。
自然科学部生物班は、好奇心のままに行動できる自由な雰囲気へと方向性を示したことが、大きな結果につながったようです。
「活動の原点は、生き物への愛情です。私が顧問となってからも、生き物の世話を愛情をもって行うことが活動の中心で、今もそれは変わりません。その中で、彼らが持つ生き物に対する愛情・知識・好奇心を表現するツールとして、研究活動に取り組もうと考えました。それがマリンジャレンジプログラムの業績につながったと思います」(下田先生)
好奇心に満ちた自由な雰囲気が育む知への探究心は、次の世代にも受け継がれていきそうです。
「何でもやりたいことができる部なので、自分でどんどん行動を起こすことが先輩方に近づくための方法だと思います」(井出さん)
「僕らのそうした姿を見せることで、先輩方から受け継いだものを後輩たちに伝えていきたいですね」(木村さん)
(この記事は『私立中高進学通信2021年神奈川版』に掲載しました。)
サレジオ学院中学校
〒224-0029 神奈川県横浜市都筑区南山田3-43-1
TEL:045-591-8222
進学通信掲載情報
PICK UP!!
紹介する学校
- 探究活動や学校生活に幅広くICTを活用し「発信力」を高めるカリタス女子中学校
- コロナ禍だからこそ先進的な取り組みが生徒の学びを進化させる北鎌倉女子学園中学校
- 違いを受容し意見を発信「人とかかわる力」を育てる神奈川学園中学校
- 平和の実現のために行動できる力を育てる関東学院六浦中学校
- 探究心をもった学びが未来の自分を深めていく鶴見大学附属中学校
- どんな時代であっても、自分自身の力で立てる人財育成をめざす森村学園中等部
- 知識を連結し汎用的能力を育むクロスカリキュラム横浜女学院中学校
- 油絵やバイオリンなど芸術に触れて感性を磨く横浜富士見丘学園中学校
- 日本を知り、アジアを知り世界を知って、飛躍する力に藤嶺学園藤沢中学校
- カトリックの精神から社会課題を考える聖園女学院中学校
- 20年後の世界で必要な力を今から育むGLP山手学院中学校
- ネイティブ教員9名が英語の授業を担当横浜隼人中学校
- 「自律」からチャレンジ精神と創造力 強い絆が生まれる湘南学園中学校
- 「OLIVE STREAM」を合言葉に100年の伝統を今に伝える関東学院中学校
- マリンチャレンジプログラムに向けた研究が評価され、2年連続で全国大会に進出サレジオ学院中学校
- グローバルユース国連大使に選出された2名が国際問題にかける熱い想いを語る自修館中等教育学校
- 生徒主導の課題活動・福祉活動を通し「こころ」と「力」を育成する聖セシリア女子中学校
- 高校でのコース選びに悩む中3生に先輩の高校生が自分の経験をアドバイス橘学苑中学校
- ICTを活用した多様な学びの実践でデジタルスキルと豊かな人間性を育む東海大学付属相模高等学校中等部
- 国公立大107名の合格を支えた年間600を超える3種の『講習』桐光学園中学校
- 豊かな自然と最新設備を備えたキャンパスで一人ひとりが輝ける学校生活を送る日本大学藤沢中学校
- 人・自然・世界と「共に生きる」ため伝統の「総合学習週間」でSDGsを学ぶ横須賀学院中学校
- 中学3年間の探究で大きく成長 翠陵グローバルプロジェクト横浜翠陵中学校