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私立中高進学通信

2021年神奈川版

実践報告 私学の授業

神奈川学園中学校

違いを受容し意見を発信
「人とかかわる力」を育てる

コミュニケーションを多く取り入れた授業
英語のラウンド制授業の様子。教科書本文をリスニングし、内容をざっくりと把握して、イラストを本文の内容にしたがって並べ替えるところから始めます。

英語のラウンド制授業の様子。
教科書本文をリスニングし、内容をざっくりと把握して、
イラストを本文の内容にしたがって並べ替えるところから始めます。

教育理念を実践する
英語教育で学ぶ
自分で考えた内容を英語で話すペアワークは、同校の英語の授業において、さまざまな形で必ず行われています。自分で考えた内容を英語で話すペアワークは、同校の英語の授業において、さまざまな形で必ず行われています。

 1914年に創立され、女子校として長い歴史を有する同校。創立者は女性が活躍する社会を予見し「女子に判断する力を」「女子に生活の力量を」という理念を掲げました。以来、「自覚」「心の平和」「勤勉」を校訓に、次の時代を見据えた人間教育を実践してきました。いつの時代にも変わらない本質的な力と、時代に求められる力の両方を育みながら、自立した女性の育成に努めています。

「さまざまなバックグラウンドをもつ人々がかかわり合い、ともに生きるグローバル社会となった今、異文化への関心と理解を育て、自分とは違う文化や考え方も受け止めることが不可欠です。
 英語は世界中の人との対話を可能にするツールです。さまざまな文化や考え方をもつ人と積極的にかかわり、地球規模の課題に対して自らで考え、判断し、多文化共生社会の実現をめざしていく。そのような力を身につけさせることが、現代社会における本校の教育理念の実践であると考えています」

 こう語るのは、2021年の春に校長に就任した及川正俊先生です。同校ではその理念を実現するために、学力向上に加え、グローバル社会で通用する力を身につける英語教育を、独自の方法で実践しています。

「中学ではほぼ毎日英語の授業があります。それに加えてクラスを3つに分けて12~13人を1人のネイティブが担当する英会話の授業も行っています。文法や表現を学ぶ通常の英語授業でも、発話やコミュニケーションを伴う活動を多く取り入れており、生徒たちは毎日多くの英語に触れ、英語を使うことの楽しさを実感しながら、四技能を身につけることができます。
 中2では問題集を使用して英文法を学ぶ授業と、1年間で英語の教科書を5回繰り返して学習することで理解を深める『ラウンド制』を取り入れた授業を実施し、リスニングとスピーキングを重視した授業なども行っています」

 中3の3月上旬には全員がニュージーランド方面かオーストラリア方面の研修プログラムに参加します(2020年度は中止)。

「学んだ英語力を活かし、多文化共生を肌で感じる機会であると同時に、ここまでに一定の会話力を習得しようという一つの目標になっています。
 コロナ禍の影響で、海外研修は中止せざるをえなくなり、その他のプロジェクトにもさまざまな制限が生じていますが、オーストラリアの姉妹校とオンラインで交流したり、アメリカが水爆実験が行ったマーシャル諸島の生徒とともに世界平和について考える『マーシャルプロジェクト』をオンラインで継続したりと、英語で世界の人々とつながるべく、生徒たちはさまざまな取り組みを行っています」

生徒の実情に合わせて教育内容を進化させる

 時代の要請に応じて、英語を「使って」身につける独自の英語教育を発展させてきた同校ですが、「入学してくる生徒たちの変化も授業改革のきっかけの一つでした」と及川校長は話します。

「かつて英語は中学生活のスタートとともに始まる教科であり、新しい言葉を学ぶという新鮮な体験や高揚感から、モチベーション高くスタートできる学習の一つでした。また、中1から授業や宿題にきちんと取り組むことで成果を実感しやすいため、学習習慣を身につけるうえで基幹的な役割を果たす教科とも捉えていました。
 それがここ数年の新入生たちの中に、英語に対して苦手意識をもつ生徒が増えていると感じていました。そこで、教育のスタート時に英語への抵抗感や苦手意識を減らす必要性を感じ、英語を使うことの楽しさを実感できる機会を意識的に取り入れていったのです。
 このように本校では、教育内容をより効果的なものに進化させていきながら、個々の心の成長と能力の伸長を実現する教育を実践していきたいと考えています」

ココも注目!
体験学習を通して育む
人の意見を受け止める姿勢
及川正俊校長先生及川正俊校長先生

 生徒たちは、授業での学び合いや異文化に触れるさまざまな体験プロジェクトを通して、「多文化共生」を意識し、「文化や価値観の違いを越えてより良い社会を形成していくために必要なことは何か」を考えながら学んでいます。体験型の学習を通して、人とかかわる力が身についていくのです。

 本校の生徒たちは、外部の方々から「人の意見を受け止める姿勢をもっている」「人とかかわる力をもっている」と評価されることも多く、教員一同、とても誇らしく感じています。

「人とかかわる力」を育てる取り組み
協働と教え合いによって効果的に学ぶ数学の授業
協働して学ぶ楽しさを実感する生徒たち。現在はコロナ対策のため窓を開けているので、例年より室内の温度が高めになることも。熱中症対策として授業中でも水筒での水分補給を可としています。そのような細やかな配慮もとっています。協働して学ぶ楽しさを実感する生徒たち。現在はコロナ対策のため窓を開けているので、例年より室内の温度が高めになることも。熱中症対策として授業中でも水筒での水分補給を可としています。そのような細やかな配慮もとっています。

「人とかかわる力」を重視する同校では、さまざまな教科で協働や教え合いなど、体験型の活動を多く取り入れた独自の授業を展開しています。実践例として、探究的な取り組みを行う数学の授業について伺いました。

「数学では、問題の本質を捉えることを目標に、オリジナルの教材を用いた授業を実践しています。習熟度別にクラス分けをすることで、一人ひとりを手厚くフォローするとともに、クラス内での学び合いや協働作業がしやすい環境づくりをしています。主体的な学びを促すために、各単元でグループ学習のテーマを用意し、探究的な課題にも取り組んでいます」
(及川校長先生)

 協働学習の手法のひとつ『ジグソー法』を改良した『ペア×ペア説明』を取り入れた授業も実践しています。ペア×ペア説明では、まず2つの問題をペアで協力して取り組み、自分たちの担当した問題をもうひとつのペアに説明します。次に4人グループで2つの問題の共通点や相違点をもとに、より良い解決策を作り上げます。こうした協働的な学びを効果的に行うために、日々の教材開発に加え、習熟度別のクラス編成を取り入れています。理解度が同等に近い生徒が話し合うことで、議論も盛り上がり、説明力の向上に加え、本質的な教科の理解につながります。

英語の「ラウンド制」授業とは
英語でコミュニケーションをする機会をたくさん設けています。英語でコミュニケーションをする機会をたくさん設けています。

 ラウンド制授業では、英語の教科書の全章を、1年間に4~5回繰り返して学びます。

 ラウンド1では、1ユニットずつ本文の音声を聞き、教科書のイラストをストーリー通りに並べ替えて内容を把握します。ラウンド2以降は、全章を繰り返しリスニングして教科書の文章を並べ替えたり、音読を繰り返し行ったり、本文を書き写したりといった取り組みを行い、最終的には英語を用いて教科書の内容を自分の言葉で説明できるまでにインプットしていきます。

 こうした取り組みによって、教科書で学んだ英単語や文法、英語特有の表現を知らず知らずに体得し、これらを使って英語で発話できるようになるのです。

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