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私立中高進学通信

2022年神奈川版

実践報告 私学の授業

関東学院六浦中学校

図書館活用で授業が大きく変化
育まれる実践的な探究力

全国学校図書館協議会の情報活用授業コンクールで2年連続優秀賞
学校司書の福澤香野子さん(左)と司書教諭の九渡愛美先生(右)。手にしているのは、同校図書館の公式キャラクター「MOOKくん」と「MOOKちゃん」。生徒がフェルトで手作りしてくれたそうです。

学校司書の福澤香野子さん(左)と司書教諭の九渡愛美先生(右)。
手にしているのは、同校図書館の公式キャラクター「MOOKくん」と「MOOKちゃん」。
生徒がフェルトで手作りしてくれたそうです。

教科の狙いと情報リテラシー
二本立てで授業をつくる
図書館には、授業とタイアップした展示コーナーがいくつもあります。図書館には、授業とタイアップした展示コーナーがいくつもあります。

 キリスト教教育をベースに、「共に励まし合う人」「社会に奉仕する人」「平和を尊重する人」の育成を教育目標とする関東学院六浦。2013年度より、専任の司書教諭を置き、学校司書と教科教員と協働して授業のなかで図書館を広く活用する取り組みを行っています。司書教諭とは、教諭という立場で学校図書館の運営や校内での情報リテラシーの育成にかかわる教員のことです。一方の学校司書とは、学校だけでなく、一般の図書館や大学の図書館にも勤務できる資料の管理・収集のスペシャリストです。

 もともと探究学習に力を注いでいた同校ですが、こうした図書館の活用が、生徒の学習面にも大きな影響を与えています。その活動は高く評価され、全国学校図書館協議会の情報活用授業コンクールで2年連続優秀賞を受賞しました。司書教諭の九渡愛美先生は次のように話します。

「本校では図書館や図書館資料を活用する授業の依頼があると、司書教諭の私と、教科の先生が事前に話し合って、図書を活用した授業を組み立てています。教科の狙いと、図書館で考えている情報リテラシーの狙い、二本立てで授業づくりをしています。
 授業の打ち合わせは図書館で行いますので、学校司書にも授業の狙いなどが自然と伝わります。専任司書教諭、学校司書、教科担当教員、その三者の専門性を活かして生徒に還元できるところ“が”本校の強みです」

 九渡先生は、中学の『総合的な学習の時間』と高校の『総合的な探究の時間』を担当しています。ほかの科目でも図書館を活用した指導が進んでおり、2022年度6月の時点で、実技教科を含む全教科で図書館を活用した学びが行われました。

「中学の総合学習では社会的課題を調べたり、高校の探究の時間では新聞データベースや論文を検索したりする授業もあります。また、情報リテラシーの部分では、紙の資料とネットの両方で調べる技術を身につけます」(九渡先生)

 情報リテラシーについて学ぶことで生徒たちの意識も大きく変わり、授業の前後にアンケートをとったところ「Webサイトは信頼できない」「本は信頼できる」と思い込んでいた生徒が、「Webサイトは最新の基本的な情報をつかむために使い、そこから体系的な知識をつけるために本を使う」と答えるなど、確かな手応えを感じているそうです。

大学入試での総合型選抜に
必要な力も身につく

 一方で学校司書の福澤香野子さんは、九渡先生と二人三脚で授業の資料を用意するほか、生徒の資料検索、論文検索なども直接サポートします。

「司書の立場で授業を見ていると、生徒の成長の様子が毎日感じられます。先生方に提案する資料も、生徒の様子や授業の狙いを理解したうえで用意することができ、次につながります」(福澤さん)

 図書館での生徒の様子を先生方にフィードバックすることもあり、良い連携で生徒たちの学びを支えられているそうです。

 同校が力を入れている情報リテラシーや教科横断型の学びは、今の大学入試でも大いに求められるところ。実際に小論文やレポートの作成力が身についたことから、2022年春の大学入試では、多くの生徒が総合型選抜や学校推薦型選抜で合格を勝ち取ったそうです。

「今までは学年の状況を見て、その都度足りない力を補う形をとっていたのですが、今は6年間の体系的な情報リテラシーのカリキュラムを考えています。そして今までと同様に教員と協働して、中高一貫の学びを進めていきたいですね」(九渡先生)

授業レポート
社会に通用する力を育てる
図書館活用の取り組み

 中1~中3では、『総合的な学習の時間』を使って、同校オリジナルの授業『地球市民講座』を実施。体系的なカリキュラムを立てて、学年ごとに段階的な学びを進めています。取材した日は、中2生が『地球市民講座』の授業で、グループごとに国調べを行っていました。

 図書館内に設置されたスクリーンには、本を探したり調べたりするために必要な手順やスキルなどを表示。必要な本が見つけやすいように、各グループのテーブルにその国の本を置くほかに、国調べの本を展示テーブルにまとめて配置する工夫がたくさん凝らされています。

 同校では生徒が一人1台Chromebookを使っています。中2の国調べでは、図書館の本だけで調べますが、中1や中3の地球市民講座ではChromebookを使ったネット資料の収集方法も指導し、実践しています。

 授業の開始時点では『ネットで検索すればすぐ出てくるのに』と言う生徒もいるそうです。

「ネット検索は自分に都合のいい結果が上のほうに出てくるから、さまざまな資料にあたることが大事。その積み重ねが自分の考えを作っていくんだよ、と教えています」(九渡先生)

 調べものや探究学習だけでなく、美術科の授業での作家調べ、英語の授業で使用する洋書の貸し出し、保健体育のレポート執筆への支援など、さまざまな学習で図書館は活用されています。進路指導室とのコラボコーナーも人気です。

「最近では高2の後半の時期から、生徒が進路について自主的に図書館で調べるようになりました」(九渡先生)

真剣な面持ちでメモを取ったり本を読み込んだり。探究力と主体性が自ずと身につきます。真剣な面持ちでメモを取ったり本を読み込んだり。探究力と主体性が自ずと身につきます。
展示テーブルには国調べの本が集められています。展示テーブルには国調べの本が集められています。
「読みたい!」を引き出す図書館展示。「読みたい!」を引き出す図書館展示。
ココも注目!
関東学院六浦ならではの
図書館学習を支える2人のプロフェッショナル
全国でも数少ない専任の司書教諭

 実は司書教諭は、12学級以上ある学校には設置義務があります。多くの学校では教科担当との兼任で、私のように専任で司書教諭の仕事をしているケースは全国でも少ないのです。教科の先生から図書館活用授業の相談を受けることも多く、学校全体で図書館を活用していこうという機運が高まっています。(司書教諭/九渡愛美先生)

大学の論文検索も活用

 本校は関東学院大学に隣接していることから、司書が大学の論文データベースを使うことができます。これは普通の学校図書館にはない関東学院六浦のメリットです。私も生徒のニーズに対応するべく、検索技術者検定の資格を取得しました。スキルを磨いて多岐にわたる業務に対応していきたいですね。(学校司書/福澤香野子さん)

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