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私立中高進学通信

2022年神奈川版

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湘南学園中学校

35年以上続いた施策を見直し
個性を尊重する教育体制を実現

写真左から、数学科の里吉 正先生、校長の伊藤眞哉先生、企画主任・社会科の有薗和子先生。

写真左から、数学科の里吉 正先生、校長の伊藤眞哉先生、企画主任・社会科の有薗和子先生。

テスト成績を基準にした
クラス分けを廃止
「私を含む教員たちの長年の思いが結実し、今回の制度変更に至りました」と、万感の思いを語る伊藤校長先生。「私を含む教員たちの長年の思いが結実し、今回の制度変更に至りました」と、万感の思いを語る伊藤校長先生。

 同校は、成績上位者で編成する「Sクラス」を2021年度入学生から廃止しました。併せて、これまで21段階だった評価を5段階に、成績表での学年順位と偏差値の記載をなくすなど、生徒の評価方法や伝え方も改めました。

 長年続いてきた制度の転換の背景を、伊藤眞哉校長先生はこのように語ります。

「Sクラスは私が本校に教員として着任した35年前から、すでに存在していました。生徒の競争心を刺激する効果はあるものの、現場に立つ者としては正直なところ、“あまり良い制度ではないな”と感じていました。2013年に、本校はESD(持続可能な開発のための教育)を推進するユネスコスクールに加盟し、「持続可能な社会の担い手」を育てることにつながるすべての教育活動を、「湘南学園ESD」として位置付けています。その頃から教員の間で、多様性のある世界をめざすEスト成績を基準にしたクラス分けを廃止テSDの考え方と、学内テストの成績だけでクラス分けをするSクラス制度は相容れないのでは、という声が高まり、廃止に向けた議論が交わされるようになりました」

 校長によるトップダウンではなく、教員同士が意見を交わして教育の道筋を探る校風で知られている同校。何年もかけてSクラスのあり方について検討を重ね、そして近年、大学入試において総合型選抜が広がっていることも多様性を育む「湘南学園ESD」の追い風となり、廃止が決定したそうです。

 また同時に、成績下位層の生徒は強制参加としていた「指名制補習」も廃止し、代わりに誰でも参加できる「学習会」を新設しました。フォローアップが必要な生徒には、教員が「学習会があるけど参加してみない?」と働きかけるなど、強制から対話へとアプローチを変更。その結果、特に数学の成績で顕著な変化が見られたといいます。

「指名制補習は苦手科目を克服する目的で行われていましたが、実は補習に呼ばれる生徒の成績は1年後もあまり変わらないことが多かったんです。ところが学習会を実施した学年では、下位層の学習到達度が目に見えてボトムアップしました」(数学科/里吉 正先生)

 続けて里吉先生は、その理由を次のように話します。

「懲罰的なものと思われがちな指名制補習に比べて、学習会にはポジティブな雰囲気があります。その科目が得意な生徒も自由意志で参加しますし、生徒同士で教え合うこともあります。学習会のおかげで、勉強は強制されるものではなく自ら選択して行うものだと、生徒自身が認識するようになったのではないでしょうか」

 昨年度は中1のみで行われていた学習会ですが、こうした成果を受け、現在は中学の全学年で行われています。「順位は他者との比較の中で生まれるもの。人から押し付けられた評価に一喜一憂するのではなく、生徒たちには“自分は何ができて何ができないのか”を自らの物差しで測れるようになってほしいと思います。そのためにはまず、教員である私たちが、評価に対する考え方を変えなくてはいけません。今回の制度見直しはその第一歩でもあります」(企画主任・社会科/有薗和子先生)

「学習会では、生徒に『君はどうしたい?』と聞く、その対話を大切にしていきたい」と語る里吉先生。「学習会では、生徒に『君はどうしたい?』と聞く、その対話を大切にしていきたい」と語る里吉先生。
新たな探究プログラムの始動に向け、プロジェクトを進めている有薗先生。「生徒たちが漕ぎ出していくのはどんな社会なのかを見据えつつ、議論を進めています」新たな探究プログラムの始動に向け、プロジェクトを進めている有薗先生。「生徒たちが漕ぎ出していくのはどんな社会なのかを見据えつつ、議論を進めています」
英語力や探究力を培う
新たなカリキュラムを用意

 不要な制度を廃止する一方で、ICT教育や実践的な英語教育といった、これからの社会で求められる能力を育む活動を積極的に導入しています。「英語教育に関しては外部団体と連携し、中学生から英語のワークショップやイングリッシュキャンプを行います。コロナ禍でまだ実現できていませんが、中3の研修旅行は国内からカナダに変更。若いうちに実践的な英語や海外文化に触れることで、世界とつながることを恐れない人材が育つと期待しています」(有薗先生)

 3年後には、高2生を対象とする新たな探究プログラムもスタート予定。具体的には、グローバル地域研究、文理探究、サステナブルキャリアの3分野から1つを選択し、「総合的な探究の時間」とは別に確保する週4時間の探究活動に取り組みます。探究活動よりも教科学習に注力したい生徒は、国語や数学の演習授業を選択することも可能です。

「多様化する社会で、成功の指標は一つではありません。従来の評価基準では埋もれてしまっていた生徒が、探究活動を通して学びたいことを見つけ、自らの力でその分野への理解を深めていき、自分にフィットする進学先との邂逅を果たす。そんな一人ひとりに合った道を、各自が自由な意志で選び取っていけるよう、より多くの選択肢を用意したいと思っています」(伊藤校長先生)

週2回、放課後にメディア室で行われる「学習会」。わからない問題があっても生徒同士で相談して解決に至ることが多いそうです。週2回、放課後にメディア室で行われる「学習会」。わからない問題があっても生徒同士で相談して解決に至ることが多いそうです。
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