私立中高進学通信
2022年神奈川版
キャリア教育の現場から
聖園女学院中学校
多彩なプログラムで
自分に適した進路を模索
高大連携からSDGsまで、幅広い視点でキャリア教育を実施。“自分らしい生き方”の実現を手厚くサポートします。
左から中学教頭/鹿野直美先生、校長/ミカエル・カルマノ先生、進路指導部長/伊藤直紀先生。
スギ材・ヒノキ材を使った数寄屋造りの聖堂で。
創立以来75年余り、社会と人々の幸せに進んで貢献する心を育んできた同校。2016年に南山大学を擁する学校法人南山学園と合併したこともあり、大学とタッグを組んだキャリア教育を充実させています。
その代表例が、南山大学の教授を招いて行われる高校生対象の模擬講義です。2021年度は国際教養学、心理学、経営学、法学の4講義が開催されました。進路指導部長の伊藤直紀先生は「高校生にとっては踏み込んだ内容で大きな刺激となりました」と話します。たとえば経営学の講義は、「もしあなたがダイヤモンドを売る人だとして、商品であるダイヤモンドが紛争地域で産出され、児童就労などの問題が絡んでいるかもしれないとわかったら、どうする?」という問題提起から始まり、生徒同士で議論しつつ経営や流通について考えました。生徒からは「ダイヤモンドを売るのは諦める」「紛争地域のダイヤモンドではないことを証明する」など、さまざまな意見がでました。「コロナ禍にもかかわらず、オンラインではなく、大学の先生が実際に教室に来てくださるのは、同じ学園の一員である強み」と伊藤先生は話します。ほかにも、留学経験のある大学生による講演会や、学問分野別に解説する説明会など、南山大学以外の大学とも協力しながら、高校生が大学における学びを理解するためのさまざまな取り組みを行っています。
「このような活動を通して、生徒には自分が求める学びを見つけてほしい。知名度や偏差値だけで進学先を決めてしまうと、入学してから“やりたいことと違った”という事態になりかねません。学びたいことを最優先にして進路を選んでほしいと思います」(ミカエル・カルマノ校長先生)
また同校では、中高6年間を通したSDGsに関する総合学習・探究活動によって、教科指導の枠に収まらない人間教育にも力を入れています。特に好評なのが、中1生の「貧困をなくそう」をテーマとした講義。ここ2年間は、フィリピンの貧困地域で子どもたちの教育支援に尽力している南山大学名誉教授ジョン・シーランド神父様に、日本語と英語の両方で現地での活動について語ってもらいました。神父様や日本の学生ボランティアが材木を運び、土を掘って、一から学校を建設する様子を写真や映像で目にした生徒たちは、衝撃を受けるとともに、「自分にもできることがある」と大きく勇気づけられるといいます。同校中学教頭の鹿野直美先生は「現場を知る人が目の前に立って、実体験を話してくれるというダイナミックな経験は、非常に重要です。こうした教育がベースにあればこそ、大学生そして社会人となった時の行動が変わってくるはずです」とその意義を話してくれました。
人生の早い段階から将来に向けた種まきを。
生徒一人ひとりが自らのミッションを探究!
大学での学びを具体的にイメージできる模擬講義は、生徒たちの勉強に対する意欲に変化をもたらします。国際教養学を受講した生徒からは「英語ができるかどうかよりも、英語を使って何をするかが大事だと思った」「英語を使えれば国際理解につながると感じ、勉強にやる気が出た」という声がありました。また、心理学の講義では「心理学に統計学が必要と知って驚いた」という生徒も。伊藤先生は「思っていたものと違った、という発見はとても大事。自分が進もうと思っている分野を正確に理解することが、進路のミスマッチを防ぎ、目的意識を高める第一歩」と話します。
中学生に対しても卒業後を見据えた活動を展開。社会人が“働くとは何か”を語る「中3進路講演」や、大学にはどんな学問分野があるかを調べる授業、適性検査などを通して、自己理解を深め、自らが進む道を探っていきます。今年度は中2生を対象にキッザニア東京での職業体験が始まる予定。早い段階から継続的にキャリア教育を実践できるのは中高一貫校だからこそといえます。ミカエル校長先生、鹿野教頭先生、伊藤先生はこう口を揃えます。
「生徒一人ひとりに人生のミッション(使命)を見つけてほしい。そのために、中学生、高校生という若い時期に、未来に向けてさまざまな種まきをし、手助けをするのが私たち教員の役目です」
(この記事は『私立中高進学通信2022年神奈川版』に掲載しました。)
聖園女学院中学校
〒251-0873 神奈川県藤沢市みその台1-4
TEL:0466-81-3333
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