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私立中高進学通信

2024年神奈川版

実践報告 私学の授業

湘南白百合学園中学校

大学の学びに触れる探究学習
生涯学び続ける力を身につける

お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーション研究所と連携

実験1に取り組む生徒たち。すりつぶした試料を、こぼさないように容器へと移します。
グループ全員で協力しながら、注意深く行いました。

2023年にお茶の水女子大学サイエンス&エデュケーション研究所と連携協定を結んだ同校。
中3探究の一環として、「環境」をテーマに行われた特別授業を取材しました。

3年間を通した探究授業で
主体的な学びの姿勢を育む
教頭/水尾純子先生教頭/水尾純子先生

「一生役に立つ学びの姿勢」を身につけることを目標に、20年以上にわたって探究教育を実践している湘南白百合学園。中学3年間で段階的にテーマを広げ、探究の基礎と自分自身でテーマを深める力を育んでいます。中1では、身近な人の困り事を解決する方法を考えるワークなどを通して、探究の基礎スキルを身につけます。中2では、近隣の博物館への取材や聞き取り調査を通して、探究の調査手法を習得。「平和」についてのレポートも作成します。

 このように人文系の探究を経験した後、中3では「環境」をテーマに自然科学系にシフトします。自分で研究テーマを決定し、1年をかけて実験・実証を行い、結果をレポートにまとめ、発表を行います。そして、最後に研究の要約を英文でまとめます。

 今回取材した中3の特別授業も探究の一環です。80分×2コマで、お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーション研究所による「対照実験」の授業が行われました。対照実験とは、仮説の検証などを目的に、異なる条件をもつ比較対象を設定する実験のことです。

「中3生たちは夏休みに入ると、家庭や学校で自分の立てた仮説を実証するために実験を重ねます。その際に、今回の授業を通して学んだ考え方や手法を、実験に役立ててほしいというねらいがあります」(教頭/水尾純子先生)

 この日は生物と化学、2つの実験が実施されました。どちらも同研究所の教授1~2名が指導にあたるほか、研究所の学生もサポーターとして参加します。「思い切ってやってみよう」と声をかけたり、生徒の仮説に「その論理なら先生も納得しますね」と賛同したり、終始フレンドリーに生徒たちと接していました。

 同校とお茶の水女子大学サイエンス&エデュケーション研究所は、2023年度より連携協定を結んでいます。

「本校ではグランドデザインに基づき、さまざまな大学や機関と連携を進めています。同研究所との連携は、充実した理数系の学びや探究的な学びに結びついています。中3の特別授業以外にも、中学生を対象とする夏休みの実験教室やフィールドワークを実施しており、多くの生徒が参加しています」

「本物に触れる」楽しい授業で
理数系への意欲を引き出す

 この日、実験を通してさまざまな学びを得た生徒たちは、その内容も踏まえて自らの研究テーマを決定。仮説や実験方法を検討し、次週の授業では同研究所の先生方に向けて全員がプレゼンテーションを行います。「コーヒーかすの活用法」や「平安時代の寝殿造りはなぜ涼しかったのか?」など、テーマは多岐にわたります。

「昨年テーマのプレゼンをした生徒たちは、研究所の先生方からポジティブな励ましやフィードバックをいただきました。そのおかげで研究に自信をもって臨むことができたようです」

 同校では、理科の授業でも実験を多く取り入れているほか、校内の豊かな自然環境を活かして自生する植物を観察するなど、「本物に触れる」理科教育を実践しています。

「自分は文系だと思っていた生徒が、さまざまな実験や観察を経験して『理科の楽しさ』を知り、理系の道を選択することもあります。
 探究は高校でも実践され、高1・高2では1年半をかけて自分が決めたテーマを探究し、卒業論文を作成します。探究の成果を活かして難関国公立大学の総合型選抜を突破する生徒も多く、東大や東工大をはじめ、多くの大学に合格者を出しています。
 今日の授業で研究所の先生は『失敗してもいいんだよ』と声をかけてくださいました。失敗を繰り返すなかでの学びが、着実に成功へと導いてくれます。失敗を恐れず自分で考え、チャレンジするための自信と力を本校で身につけて、世に出てほしいと願っています」

授業レポート
生徒自らが研究を進めるために、大学の先生が実験手法をレクチャー
2つの「対照実験」を経験し、研究の手法を学びました!

実験 1

薄層クロマトグラフィーによる
光合成色素の分離(生物)
研究所の学生ティーチングアシスタントが、専門知識が必要なプロセスをサポート。乳鉢や遠心機など、あまりなじみのない実験器具の使い方もレクチャーしてくれました。研究所の学生ティーチングアシスタントが、専門知識が必要なプロセスをサポート。乳鉢や遠心機など、あまりなじみのない実験器具の使い方もレクチャーしてくれました。

 緑藻・褐藻・紅藻や、正体がわからない光合成生物3つをすりつぶし、シリカゲルなどの吸着剤と混ぜてプレートに塗布し、光合成色素を抽出・分離して、その植物が何であるかを特定する実験です。生徒たちは遠心分離機など、初めて使う実験機器の使い方も習います。本格的な対照実験に、ワクワクしながら取り組みました。


実験 2

プラスチックを探ろう(化学)
実験結果を基に、ポリエチレンとポリプロピレンの正確な密度を求める方法を話し合いました。授業で習った知識をフル活用して、考察を深めます。実験結果を基に、ポリエチレンとポリプロピレンの正確な密度を求める方法を話し合いました。授業で習った知識をフル活用して、考察を深めます。

 何種類か用意されているプラスチックを、さまざまな方法で分類する実験です。「課題1 プラスチックを分類してみよう」「課題2 プラスチックの密度を求めよう」のステップで進んでいきます。

「課題1」では、グループごとにエタノールを使ってプラスチックを分類する方法を考えるところから始めました。

実験を始める前に、お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーション研究所の先生から、実験の目的やポイントの説明を受けました。授業シーン
実験を始める前に、お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーション研究所の先生から、実験の目的やポイントの説明を受けました。
すりつぶした粉末に試薬を入れ、遠心分離機を使って上澄みを分離させます。生徒たちはしっかりと手順を確認しながら行っていました。授業シーン
すりつぶした粉末に試薬を入れ、遠心分離機を使って上澄みを分離させます。生徒たちはしっかりと手順を確認しながら行っていました。
50%のエタノールにプラスチックAとプラスチックBの破片を沈める実験をする生徒たち。両者の違いを比較することで、プラスチックを分類する方法を考えます。授業シーン
50%のエタノールにプラスチックAとプラスチックBの破片を沈める実験をする生徒たち。両者の違いを比較することで、プラスチックを分類する方法を考えます。
生徒に聞きました
「テーマ決めには驚きや感動が大切」との言葉に納得
Nさん(中3)Nさん(中3)

 大学の先生に直接教えていただける機会はなかなかないので、今日はとても勉強になりました。特に「みんなの興味を引くテーマとするには、自分の内に生じる驚きや感動が大切」という先生のアドバイスに納得しました。研究テーマは、「グリーン水素の普及活動」か「おむつのリサイクル」にするかで迷っているのですが、自分の心の動きも大切にしながら検討します。


仮説を間違えることも次につながると知りました
Mさん(中3)Mさん(中3)

 私は、「牛乳でつくるプラスチックの活用法」を研究テーマにしようと考えています。授業を通して比較することの大切さを学んだので、自分の研究にも対照実験を取り入れようと思います。また、「仮説を間違える」ことも研究の一つのステップで、考え方の発展につながると聞けたことも良かったです。間違いや失敗を怖がらず、チャレンジしてみようと思います。

(この記事は『私立中高進学通信2024年神奈川版』に掲載しました。)

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