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私立中高進学通信

2023年4月号

私学だからできるオリジナル教育

帝京大学系属帝京中学校

学習の土台を築き
やる気を促す『教科相談』

中1の2学期に行う『教科相談』は、学習に関する生徒の悩みに中高の教員が向き合う帝京独自の取り組みです。その狙いと実際の相談風景を取材しました。
コミュニケーションを取りながら、それぞれの生徒に合った学習法や悩みの解消法を伝えていきます。

コミュニケーションを取りながら、
それぞれの生徒に合った学習法や悩みの解消法を伝えていきます。

学習の進め方やつまずきを
中1のうちに徹底サポート

 帝京大学の系属校である一方、他大学進学も見据えた進学校型カリキュラムを採用し、手厚くきめ細かい指導を実践している同校。『正直・礼儀を重んずる』を校訓に、目標に向かい、最後まであきらめず努力する心を育て、変化の激しい多様な社会において活躍できる人材の育成をめざしています。

 特に中1生には、入学直後の4月に『学習ガイダンス』を行い、授業の受け方、家庭学習・定期試験への取り組み方を指導し、さらに2学期には、生徒それぞれの学習のつまずきや悩みを解決する『教科相談』を実施しています。

 中1は中高6年間の学びの土台を築く時期。早めにつまずきや悩みを解消し、スムーズに学習を進めようという同校ならではの取り組みです。

「なかだるみに陥りやすい2学期の中間試験後、中高の教員が総動員で生徒の悩みや質問に応えています。学習がはかどらない理由の大半はやる気に起因するので、ネガティブな言葉は使わず、生徒のモチベーションが高まるようなアドバイスをします。そして必ず生徒各々に、相談後に行われる期末試験の点数アップにつながる宿題を渡しています。
 期末試験の前に2回目の『教科相談』を行います。そこでは1回目の相談でのアドバイスが活かされているか、宿題をどの程度解くことができたかを確認し、さらに期末試験に向けて、生徒のやる気を引き出しながら学習方法の改善や悩みの解決を促していきます。1回目の相談で具体的な助言をし、それぞれ生徒に合った宿題を出すことで、生徒の多くが期末試験の成績を上げ、明確に効果が表れています」(教務主任/武田浩秀先生)

悩みに合わせた具体的な
学習方法をアドバイス

 取材に訪れた11月下旬には、1回目の『教科相談』が行われました。生徒は事前に「教科相談調査用紙」で相談したい教科やテーマを選択、これを基に3~5名のグループに分かれて、担当の教員と話し合います。

 あるグループでは「習ったことが覚えられない」という相談が。武田先生は「覚えるのが得意な人はいる?」と投げかけます。一人の生徒が「書いて覚える」と答えると、「いいですね。手を動かす、発声するなどいろいろな方法でたくさん触れると知識は定着します」と助言します。

「数学が苦手」という生徒には、『学んだことをその日のうちに反復すると効率よく覚えられる』という脳科学の研究結果を紹介しながら、「授業で理解できたと思っても、習った問題をその日のうちに解き直しすることが大切。毎日解き直しをし、学校で小テストを受ける。そのスモールステップを繰り返すことで大きなゴールに到達できますよ」とアドバイスしていました。

『教科相談』では、中高の他学年の教員も相談に応えます。高3担任の坂本先生は「学習方法がわからない」という生徒に対し、「時間制限をして問題を解くなど、自分にプレッシャーをかけてみては?『これができたら好きなことをしてOK』と自分にご褒美を用意することも大切です。
 どのような問題を解くためにも読解力は必須。本や新聞を読んで、たくさん活字に触れておこう」と、先を見据えた言葉がけをしていました。

 約25分間の相談を終えたあと、生徒たちは教員とのやり取りを確認し、自分なりの3つの目標を「相談振り返りシート」に書き込みます。いずれの生徒からも「やる気が出た」「頑張ろうと思えた」など、前向きな感想が聞かれました。

「中2ではキャリア教育、中3では卒業論文に絡めた相談を実施するなど、学年に合わせてやる気を引き出す仕かけを随所に用意しています。今後は、より個別最適化したアドバイスができるよう、学習環境を整えたいですね」(武田先生)

「この問題がわからない」と相談する生徒には、一緒に問題を解いて指導します。普段の授業とは別の教員から教わることで、緊張感をもって取り組めるメリットも。""「この問題がわからない」と相談する生徒には、一緒に問題を解いて指導します。普段の授業とは別の教員から教わることで、緊張感をもって取り組めるメリットも。
教務主任の武田先生も生徒たちにアドバイス。具体的な助言を得て、学習へのモチベーションを高めます。教務主任の武田先生も生徒たちにアドバイス。具体的な助言を得て、学習へのモチベーションを高めます。
『学習ガイダンス』で
中学の学習にスムーズに移行

 毎年4月、中1生を対象に実施される『学習ガイダンス』では、一貫特進コース・一貫進学コースに分かれ、授業の受け方、家庭学習・定期試験への取り組み方などを教員がレクチャーします。

「学習でのつまずきをなくすことが狙いです。生徒が中学での学習を具体的にイメージしたうえで主体的に取り組めるよう、入学後、1週間授業を受けた後にガイダンスを実施しています。
 ガイダンスには希望する保護者にも参加してもらい、学習の進め方などを共有することで、教員と保護者が連携して生徒をサポートする態勢を築いています」(教務主任/武田先生)

生徒インタビュー
期末では学年1位をめざします
Iさん(中1)Iさん(中1)

 改めてどうしたら勉強を頑張れるのかを考えて、モチベーションの高め方について質問しました。先生から、「ゴールを決め、そこに到達するために小さな目標を設定する」「自分に適度なプレッシャーを与える」「毎日制限時間を設けて問題を解く」「学習が終わるまでは携帯電話を見ないなどルールを作る」など、さまざまなアドバイスをもらえたので、具体的にどうすれば良いかがわかり、やる気が自然とわいてきました。

 2学期の期末試験では、学年1位をめざして頑張ろうと思います。どの先生も、「いつでも質問に来ていいよ」と言ってくれるので心強いですね。やる気を引き出してくれる学校だと思います。


改めて気持ちが引き締まりました
Cさん(中1)Cさん(中1)

 定期試験の点数がなかなか上がらないので、勉強方法をどのように改善すればよいかと、苦手教科である数学の効果的な学習方法について質問しました。「時間を区切る」「さまざまなアプローチを試みて学習する」「授業で習った問題はすぐにやり直してみる」など、いろいろなアドバイスもらいました。今日帰宅したら早速、数学の問題を解き直してみます。

 入学直後の『学習ガイダンス』では勉強の方法や計画の立て方などを教えてもらい、とてもためになりました。わからないことがあれば、どの先生も補習で理解できるまでていねいに教えてくれます。とても面倒見の良い学校だと思います。

先生から一言
全教員が全生徒をサポート
教務主任/武田浩秀先生教務主任/武田浩秀先生

『教科相談』は、教頭も含め中高の教員が総動員で担当します。担任以外の教員が相談を担当することで、新たな出会いが生徒のやる気を奮い起こすことも少なくありません。教員側もフラットな視点で臨むことができます。

『全ての先生を活用しよう』と、常日頃から生徒には伝えています。学年の枠を越えて全教員が生徒のサポートをする体制や『どの先生であってもいつでも質問できる』という校風は、生徒の安心感につながっていると思います。

『教科相談』を通じて結びつく教員とのつながりを活用して、気軽にいつでも相談・質問をしてほしいですね。

進学通信 2023年4月号
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