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私立中高進学通信

2023年4月号

THE 母校自慢!~うちの学校のココが好き~

東京家政学院中学校

卒業しても息づく
“KVA精神”
自分らしく人生を生きる

市野智絵さん(今戸神社神主・イラストレーター。1994年度卒業)

市野智絵さん(今戸神社神主・イラストレーター。1994年度卒業)
自らデザインした同校のキャラクター「カセリーヌちゃん」のグッズを手に微笑む市野さん。

創立百年の歴史を誇り、「社会や家庭で活躍できる自立した女性」を育む同校。
教育理念として掲げる“KVA精神”が今も心の中に息づく卒業生2名にお話を聞きました(※)。

※2名のうち、市野智絵さんの記事は『進学通信』2014年10月号掲載記事をもとに再構成しました。

建学の精神に集約された
母校の魅力

 中学・高校・短大と計8年間を東京家政学院で過ごした市野智絵さん。短大卒業後は玩具メーカーでぬいぐるみデザイナーなどを務め、現在はご実家である東京・浅草の今戸神社で神主を務めながらイラストレーターとして活動しています。さらに私生活では、2児の子育て中と多忙な日々を過ごしています。

「中高時代は友人にも恵まれ、授業も面白く、良い思い出がたくさんあります。 特に楽しかったのは、私が所属していた自然科学部の活動です。化学の知識を生かしてカルメ焼きやアロマキャンドルを作ったり、夏休みは天体観測をしたり、野鳥を観る合宿に参加して、生物や自然を大切にする心を学びました」 

 市野さんはこうした活動を通じて理科が大好きになり、次第に理科以外の成績も伸びていったそうです。また、美術の先生に時々絵を教えてもらっていた市野さんが手がけた作品がYMCAのコンクールで入賞したこともありました。母校の先生は生徒の興味を引き出すのが上手と話します。

 母校が大好きで、「語り出したら止まらない」という市野さん。その魅力は建学の精神に集約されていると話します。同校が教育理念として掲げるK(Knowledge=知)、V(Virtue=徳)、A(Art=技)の“KVA精神”は、今も市野さんの心の中に息づいています。

「創立者の大江スミ先生は『ベターではなくベストでやりなさい。何事も神様が与えてくれた試練、与えてくれたチャンスであり、自分を高め磨き上げるために、やれることは一生懸命やるべき 』と教えてくださいました。“KVA精神”はお金で買えるものではなく、先生方の温かい心に触れることで育まれるものだと実感しています。先生方は全然いかめしい雰囲気ではなく、一人ひとりの生徒を優しく大切に育ててくださいました。
 中高時代の友達とは今でも連絡を取り合い、時々集まって語り合う“ママ友”です。こうしたアットホームな校風で過ごしたからこそ、卒業後も一人ひとりが自分らしく生きられるのではないでしょうか」

 最後にこれからの目標をお聞きしました。

「子ども達に神話の世界に興味を持ってほしいので、いつか神話をテーマにした絵本を描きたいですね。また、参詣された方々に温かい言葉でお声がけをするなど、神社を身近に感じていただけるよう日々心がけています」

キュートなカセリーヌちゃんのごあいさつは、「ごきげんよう」キュートなカセリーヌちゃんのごあいさつは、「ごきげんよう」
神主姿の市野さん。今戸神社は縁結びのご利益があり、招き猫でも有名です。神主姿の市野さん。今戸神社は縁結びのご利益があり、招き猫でも有名です。
母校は第2の家
人前で話すことが得意に
間篠陽菜さん(東京家政学院大学 現代生活学部児童学科1年。2021年度卒業)

間篠陽菜さん(東京家政学院大学 現代生活学部児童学科1年。2021年度卒業)
高校では図書委員としても活動。
「文化祭で古本を販売するため、値付けして金額シールを貼ったことも楽しい思い出です」

 保育士になる夢を実現するため、併設大学に児童学科がある同校で中高6年間を過ごし、2022年春に東京家政学院大学 現代生活学部児童学科に進学した間篠陽菜さん。中高時代は何でも話せる友人や信頼できる先生に囲まれ、まるで学校が“第2の家”のようだったと言います。そんな間篠さんが学校生活で一番心に残っていることもまた、“KVA精神”でした。

「中学に入学するまで人前で話す経験は少なかったのですが、中学では論文発表、高校では後輩に『中学の時はどのように過ごしてきたか』などのテーマで話す機会が多くなりました。“KVA精神”のA=Art(技術)を通して話す力を磨いてからは、人前で話すことが得意になりました」

 日常の授業や総合の時間でも人前で話す機会が多く設けられている同校ですが、なかでも中1から高2まで、個人やグループで1つのテーマで論文を書き、全校生徒の前で発表するプレゼン大会には注目が集まります。

 お祖母ばあ様が幼稚園教諭、おかあ様が保育士と2世代が保育に携わるご家庭で育った間篠さん。自身も小さい頃から子どもが好きだったこともあり、論文では「子どもの言葉」というテーマを選びました。

「私が中1の時に1歳だった従姉妹の動画を3年間撮影し、子どもがどのように言葉を習得していくのか育児書と比較し、子どものお母さんである叔母さんをはじめとする周囲の人に協力してもらって研究しました。その研究内容やプレゼンテーションが評価されて、校長先生から奨励賞をいただいてとてもうれしかったです」

クラブ活動に熱中
コロナ禍でも創作展示
好きな作品を作ることができた美術部では、自分で撮影した写真をもとに油絵を描きました。好きな作品を作ることができた美術部では、自分で撮影した写真をもとに油絵を描きました。

 間篠さんは高校手芸被服部部長と高校美術部副部長を務めるなど、活発な学校生活を送りました。高2の時、新型コロナウイルスの影響で、それまで手芸被服部が文化祭で行っていた「物作り体験」ができなくなってしまいました。間篠さんら部員はそれでも創作・展示する道を模索し、その代わりに部員が協力して1枚のパッチワークを縫い上げて展示したことは忘れられない思い出として心に残っています。

 高校では家政・児童コースの1期生として学び、大学では希望の児童学科に推薦入学を果たした間篠さん。大学の授業で習った曲を家で復習していると、従姉妹がピアノに合わせて歌ってくれるので「早くも保育士さん気分です」とうれしそうに話します。

「私は母校の優しい雰囲気が自分に合っていて、毎日楽しく学校に通いました。みなさんも自分に合った学校を見つけて、楽しんで学校に通ってほしいと思います。中学受験は毎日の塾通いや週末の模試など大変だと思いますが、ぜひ体に気をつけて頑張ってください」

 受験生へ送る温かなメッセージからは、「自分の好き」を追求することの大切さが伝わってきました。

進学通信 2023年4月号
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