高校でのコース選びに悩むシーズンが到来

　日本経済団体連合会（経団連）の第4代会長を務めた実業家・土光敏夫氏の母・土光登美氏によって1942年に女子校として創立された同校。2004年から段階的に共学化を行い、2006年には完全共学化しました。

「正しきものは強くあれ」という創立者の信念に基づく教育を続ける同校では、中3の2学期に高校進学後のコースを選択します。

　全員が1年間留学する国際コース、国公立・難関私立大学を目標とする文理コース特別進学クラス、一人ひとりの個性に応じたカリキュラムで私立大学をめざす文理コース総合進学クラス、表現力と想像力を伸ばして美術系大学をめざすデザイン美術コースの4つの中から、志望と適性に合わせて進路選択を行いますが、中3生にとっては進路を決める大事な時期であると同時に悩ましい時期でもあるようです。今回はそのような悩める中3生女子2人に、高校の先輩女子3人がアドバイスします。

「先生方からは特別進学クラスを勧められているのですが、特進は授業量が多くて部活動の時間が削られてしまうので悩んでいます」

　そう語るのは、幼少時からテニスに打ちこみ、中学3年間はテニス部で活躍してきたS・Sさん。同じ中3のH・Kさんは、高校での授業に不安を感じているようです。

「私は国際か総合進学かで悩んでいます。アメリカに親戚が住んでいることもあって英語に興味があるのですが、授業についていけるか自信がなくて……」

コース選びの理由と各コースの楽しさ

　中3生の2人に、高校の先輩が各コースの魅力について話してくれました。

「私はもともと英語が好きで、留学したいと思っていたので国際コースを選びました。ネイティブの先生と毎日話せるので、自分の英語力の上達が実感しやすくていいと思います。高2で10カ月間ニュージーランドへ留学に行ったのですが、一生の財産になる経験をたくさんすることができました」（高3／R・Hさん）

「どんな進路にも対応できるように、どの教科も勉強できる文理コース特別進学クラスを選びました。先生方が1対1で勉強を見てくださるほか、進路についても貴重なアドバイスをいただけるのはうれしいですね。授業数が多く、毎回テストでランキングが出てしまうといった厳しい面もありますが、充実しています」（高2／A・Hさん）

「絵が好きでデザイン美術コースを選びました。美術の時間が多く、同じように絵が好きな人が集まっていて毎日が楽しいです。最初は美大志望者ばかりかと思って緊張していましたが、中には一般大学への進学を決めている先輩もいて、いろいろな人がいることがわかって安心しました」（高1／N・Sさん）

橘学苑生らしさを生み出す
内部進学生の雰囲気

高校生の教室や図書室、情報室、理科室などがある2号館。

　進路選びにあたっては、高校の授業見学なども行われます。

「私は勉強が得意なほうではないので、授業を見学できてとても参考になりました。楽しそうな雰囲気だったのがよかったです」（H・Kさん）

「中学に比べると1クラスの人数が多いのに、皆さん授業に集中していてすごいなと思いました」（S・Sさん）

　コース選択時期の中3生について、入試広報部長の高畠とも子先生はこう話します。

「中学と高校で普段使っている校舎棟が違うため、比較的行き来が少なく、高校から人数が増えることに不安を抱く生徒もいるようです。ですが高校生になると、いろいろな個性の人がいて楽しかったと言います。どのコースの生徒も、最後にはみんな橘学苑生らしくなっていくと言った卒業生もいました。そうした橘学苑生らしさは、中入生がもつ雰囲気が伝わることで作られていくものだと思いますので、今後も大事にしていきたいですね」

　中3生にとっては不安と悩みを抱えた進路選びですが、その先には充実した未来が待っているのです。

（この記事は『私立中高進学通信2021年神奈川版』に掲載しました。）