私立中高進学通信
2023年特別号
私学だからできるオリジナル教育
開智未来中学校
高いデジタルリテラシーを活かして
生徒自らが学びへの活用法を生み出すことに期待

ICT を使った発信力育成プログラムとして、毎年2月に行われる『未来TED』の様子。
開智未来中学・高等学校は2011年の開校当初から、教育における ICTの活用を最先端で進めてきた学校の一つです。ICTを活用した取り組みやこれからの展開について、教頭補佐の 新居良太先生にお話を伺いました。
いち早く環境を整備し
デジタルリテラシーを強化

開智未来は、「知性と人間を育てる」をモットーに、「Inquiry(探究)」「Internationalization(世界水準)」「ICT(つなげる知能としてのICT活用)」の3つの力を高めることによって「国際社会に貢献する心ゆたかな “創造型・発信型” リーダーの育成」をめざしています。
3つの柱の一つであるICTでは、2017年度から1人1台のタブレット端末導入を実現するなど、他校に先駆けて最先端の整備を進めてきました。2019年度には全ての生徒がタブレット端末を所有し、これからの時代に必要とされるリテラシーを日々高めています。こうした取り組みが功を奏し、コロナ禍による休校期間中も2400本の授業動画を配信したり、オンラインで双方向性の高い授業を実現したりと、充実した学びを継続。生徒が率先してオンライン文化祭を企画するなど、生徒と教員のICTスキルが飛躍的向上を見せる結果につながりました。
「加藤友信・前校長がICTを専門分野としていたこともあり、タブレット端末を利用した授業に早い段階から取り組んでいます。授業によってさまざまな使い方をしていますが、資料の配布や意見の共有を迅速に行える仕組みがあるので、ディスカッションや発表の時間が増えました。
中学生に対しては著作権にまつわるトラブルやSNSの注意点についてもしっかりと指導したうえで、ICTを学習のために活用することを推奨しており、本校が大切にしている学び合いに、ICTが非常に役立っています。
2021年にはGoogle Workspace for Education Plus に切り替えたことで、生徒・教職員・保護者が安全かつ便利に利用できる共有環境が整いました。それにより、教材配布や課題提出、コロナ禍におけるオンライン授業はもちろん、保護者との連絡など、学校生活のあらゆる場面でICTが活用されています。
本校では8割の生徒がスクールバスで通学するため、遅延などの運行状況や保護者との情報共有を円滑に行うことも求められます。セルラータイプ(Wi-Fiのない場所でも通信可能な機体)のタブレット端末を導入し、生徒・教職員・保護者が安全かつ便利に利用できる環境を構築して、いつでもどこでもスムーズに情報共有ができるようにしています。自宅や授業中以外に、休み時間や部活動、委員会活動、登下校中でも端末を利用する時間が大きく増えています」

早くから1人1台のタブレット端末導入を実現し、ICTを学習のために活用することを推奨。
ディスカッションや発表の時間が増えました。
発信力を高めるツールとしても
最大限に活用
アプリケーションの基礎的な活用はもちろんのこと、同校ではインターネットによる情報収集力を高める指導にも力を入れています。
「探究では、ICTを活用した情報収集についても学びます。インターネット上の膨大な情報の中から有益な情報を集める力、集めた情報を分析する力、さまざまな情報を組み合わせて活用する力など、これからの時代に必要なリテラシーを高めるために、タブレット端末が役立っているのです」
ICTは発信力を高めるためのツールとしても最大限に活用されています。ICT を使った発信力育成プログラムとして、学んだことをプレゼンテーションする『未来 TED』を展開しているのも特色の一つです。
「本校には普段からICTを活用したプレゼンテーションの場がたくさんあり、生徒たちは高い発信力と表現力を併せもっています。『未来TED』では中1から高2までの各学年代表者がICT機器を用いて、会場で日本語や英語のプレゼンテーションを行います。一人ひとりの個性が光る非常に見応えのある内容となっていて、後に続く生徒たちの刺激になっています。ICTを使った表現力や発信力は、私たち教員が指導して身につけさせるものではありません。『未来TED』などで目にする先輩たちの姿に感化され、自ずと下級生たちのモチベーションが高まり、身についていくものだと感じています」
生徒が各自で研究テーマを決定し、教員がメンターとしてその研究をサポートする高1の『才能発見プログラム』では、2学期の中間発表を経て、3学期に探究成果をプレゼンテーションし、そこから学園全体で行う『未来TED』に出場する生徒もいます。さらに探究を継続し、将来や進路選択に結びつけるケースも少なくありません。それに加え、近年では外部コンクールに出場したり、研究成果を実社会に活かしたりするケースも増えています。ICT を使った高い発信力で、「学校から地域、そして世界」に活躍の場が広がりを見せています。

高1『才能発見プログラム』で使用する『才能発見 探究ガイドブック』。
探究を通してインターネットによる情報収集力など、これからの時代に必要なスキルも高めていきます。
ICTの活用法を
生徒が考え出すことに期待
効果的なICT教育を確立し、その最先端を担ってきた同校。今後はどのような進化を想定しているのでしょうか。
「本校の生徒たちはタブレット端末を日常的に使いこなし、ICTの活用には非常に長けています。コロナ禍も経てユーザーとしてますます熟達した生徒たちに期待したいのは、『より学びやすく、より便利にするにはどうしたら良いか』『こんなアプリケーションがあれば社会の役に立つのではないか』といったアイデアを生み出すことです」
革新的なアイデアが生まれる社風を肌で感じてもらおうと、2022年度末には中3の希望者を募り、東京・渋谷のGoogle社を訪問。今後も生徒にとって良い刺激となる機会を設けていく予定だそうです。これからのICT活用にどのような新展開が生まれるのか、目が離せません。

東京・渋谷のGoogle社訪問の様子。
開智未来中学校
〒349-1212 埼玉県加須市麦倉1238
TEL:0280-61-2021
進学通信掲載情報