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私立中高進学通信

2023年特別号

探究型学習

東京成徳大学中学校

自ら問いを立て深く探究し成果を発表する
「探究型学習」

ラムサール条約登録地でもある谷津干潟でのフィールドワーク。『Diversity seminar』の1テーマ「人と自然の関わり」の一環です。

“自分を拓く”ために
欠かせない探究型学習
お話を伺った木内雄太先生の写真です。お話を伺った木内雄太先生

 社会をめぐる状況や、価値観が目まぐるしく変化する今日。新しい時代を生きるために必要になるのは、「自ら問題を発見し、解決する力」と考える同校。伸ばしたい資質・能力として、「人間性」「創造性」「学力」「心身」「グローバルマインド」「社会の変化に対応できる力」の『6つの力』を掲げています。

「中高一貫教育だから実現できる充実したカリキュラムの中で、『6つの力』を段階的に獲得していくのが本校の教育です。中高6年間のすべての学びを未来につなげ、生徒一人ひとりの多様な可能性の中から目標を見つけ、自己実現していくのが真のゴールであると私たちは考えています」(社会科教諭の木内雄太先生)

 そんな同校の合言葉は、『夢が広がる、カタチになる。』というものです。6ヵ年のカリキュラムをフル活用しながら、大学進学に留まらず、「どのように自己実現していくのか」「どのようなカタチにしていくのか」を後押ししていくイメージです。

「本校の教育コンセプトをまとめたものが、①未来を見据える、②世界を知る、③自分を拓く、から成る3つの観点です。この3つの観点を背景に展開する多彩な教育プログラムの中でも、特にここ数年“自分を拓く”ためにと注目を集めているのが、自ら問いを立て、深く探究し、成果を発表する本校独自の主体的な学び『探究型学習』なのです」

 同校が実施するワンランク上の探究型学習は今、その活動内容を通して、最難関私立大学への合格につなげた卒業生を輩出するなど、進学実績とも直結しています。

 それでは、同校が誇る注目の探究型学習の概要を、2大プログラムである『Diversity seminar』(高1・総合探究)と『実地踏査型研修旅行』(高2・宿泊行事)を通してみていきましょう。

『実地踏査型研修旅行』での一場面の写真です。

『実地踏査型研修旅行』での一場面。

PROGRAM1
Diversity seminar
これまでの主な研究テーマ
  • 人と自然の関わり
  • アプリを開発
  • ビジネスで社会貢献しよう
  • 芸術の可能性を探ってみよう
  • 美味しい珈琲を淹れよう
  • ものづくりとSTEAM

 中学段階で多様な経験を積み、一気に視野が広がった生徒に用意されているプログラムが『Diversity seminar』です。

「特定の教科書が存在しないDiversity seminarにはカリキュラムがありません。各教員が、生徒たちがやりたいことを、趣向を凝らして見つけ出し、テーマとして設定。高1の生徒たちがその中から一つを選び、1年間かけて課題に取り組んでいきます。Diversity seminarを通して、新しい時代が求める6つのスキル(表現力、思考力、判断力、主体性、協働性、多様性)を伸ばすことができると考えています」

 そう語る木内先生自身も『ビジネスで社会貢献しよう』と題したゼミを主宰しています。

「例えば、荒川河川敷の清掃に取り組むこともゼミの一環です。河川敷のゴミの中にはマイクロプラスチックが存在します。注射針が落ちていることもあります。大量の産業廃棄物を確認することもあります。河川敷のゴミ問題は決して一つではなく、いろんな問題が複雑に絡み合っていることを知ることが重要なのです。そのようなフィールドワークから、自分たちの興味ある社会課題を模索し、その問題解決のためのビジネスを起案していくのです」

 Diversity seminarからはこれまで、複数のビジネスアイデアが生まれています。

「『ビジネスで社会貢献しよう』では、LGBTQに興味を持ったグループが、LGBTQの人を支援するアライ(Ally)の存在を知り、もっとその存在を社会に広めようと活動した結果、SAGE Japan Cup(高校生向けビジネスコンテスト)で3位に入賞しました。また、同ゼミの中でフードロスに取り組んだグループは、過剰除去のないフードロスの実現に取り組み、“レシピどおりに作ると過剰除去が削減できるミールキット”を開発しました。なおこの結果はSAGE Japan Cupでの優勝につながり、続く同世界大会でSDGs賞を受賞しています」

 未来につながる大きな手ごたえがここにありました。

荒川での河川清掃の様子を撮影した写真です。

荒川での河川清掃の様子。

PROGRAM2
実地踏査型研修旅行
実地踏査型研修旅行の拠点3ヵ所を示した日本地図のイラストです。拠点は3ヵ所。現地では仮説を検証するべく、グループに分かれて行動します。

 自ら問題を発見し、解決する力を養うために、同校では2021年度より修学旅行に替わる実地踏査型研修旅行を実施しています。

「導入のねらいは、自ら興味あるテーマを選び、自分で新しい課題を設定し、自分で解決方法を考えながら結論を導き出すことで、考える力や非認知能力を育成することにあります。札幌・大阪・福岡と、活動拠点だけは設定するものの、テーマや調査地域を生徒自ら決めることが、実地踏査型研修旅行の最大の特徴となっています」(木内先生)

 研修旅行とはいっても、「実地踏査」と命名されている以上、実地踏査内容は最終的に研究レポート(論文)としてまとめられます。

「北海道を実地踏査の場所としたある生徒は、北に行くほど塩分摂取量が多くなるというデータに興味を持ち、道内の郷土料理を味噌の違いによって調査することにしました。結果としては味噌でなく、他の食材からの影響によって左右されることを知るのですが、“やってみたけれどもうまくいかなかった”でも“自分の仮説がまちがっていた”でもいいのです。大事なことは“答えが出ないことも答えである”ということで、正解もなければも問題もないと指導しています」

 研究レポートの発表は任意ですが、昨年度は95名のうち9名が手を挙げて研究発表大会を開催。受賞者には学校より、近畿日本ツーリスト株式会社での職場体験の機会がプレゼントされました。

実地踏査型研修旅行での成果を発表する研究発表大会の様子の写真です。

実地踏査型研修旅行での成果を発表する研究発表大会の様子。

東京成徳大学中学校  

〒114-8526 東京都北区豊島8-26-9
TEL:03-3911-7109

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