私立中高進学通信
2022年特別号
生徒の主体的な活動にフォーカス
東京成徳大学中学校
「創造性」と「自律」を意識しながら
自発的に奮闘する生徒会

お話を伺った生徒会長のT・Оさん(右)と、副会長のR・Wさん(左)。
2人とも6年生(高3)です。
自ら問題を発見し、その課題解決に向けて突き進んでいく同校の生徒会。誰かに指示されてから動くのではなく、自分たちから行動を起こすことで見えてくる世界があることを彼らは知っています。その原動力になっているのは、「創造性」と「自律」でした。
創造性と自律を意識
日々成長する生徒会
同校の生徒会は、「中学生徒会」と「高校生徒会」の2つの組織に分かれていますが、近年の傾向として、その“垣根”は低くなってきていると話します。
「高校生徒会のスタッフ一人ひとりが、後輩を育てようという思いを抱いて活動していて、一緒に活動することが増えてきています。僕自身が実際に1年生(中1)の頃に感じたことでもあるのですが、イキイキと活動する先輩たちの背中を見て、『格好いいな』と憧れました。今は自分が一番上の学年となり、自分の経験したことを伝えていきたいと考えています」(T・Оさん)

中高6年間を通して、上級生と下級生が互いの存在をリスペクトしながら、心身ともに成長していく生徒会スタッフ。そんな生徒会には『創造性と自律』というテーマがあり、スタッフ一人ひとりの思いに浸透しているとT・Оさんは強調します。
「『創造性』という点では、自分たちがやりたいこと、自分たちに求められていることに対して、自分たちで何をするべきなのかを考え、それをどうやって実行するのかを意識して活動しています。特にコロナ禍では、前例がないなかで対応・行動することが求められ、より強く創造性を感じました。
『自律』という点については、先生方から指示があり動くのではなく、あくまでも自分たちで考え、議論し合うことを通じて、行動に移していくことを意識しています。社会をめぐる状況が目覚ましく変化し、個人の価値観が多様化した今日、自ら問題を発見し、課題を解決する力が重要になります。創造性と自律が備わってこそ、生徒からも先生方からも信頼される生徒会になることができると思っています」(T・Оさん)
自らドローンの免許を取り
後輩に技術指導するスタッフも
同校は、まだ日本国内でも10校ほどしかないApple Distinguished Schoolの認定を受けた学校でもあります。これは、Apple社が、iPadを効果的に活用し教育効果の高さを認定するもので、同校が国際標準のICT先進校であることがうかがえます。入学時から1人1台のiPadを日常的に使いしている生徒たちにとって、ICTを抜きにした生徒会活動はあり得ません。
「例えば、Zoomによるミーティングは、コロナ禍以前から生徒会の会議でも使っていました。生徒会スタッフの生活リズムは、一人ひとり微妙に異なるため、帰宅してからの夕食後、部活がオフの休日など、都合に合わせてZoomによる会議を設定しています。
また、スタッフの中には、自ら進んでドローンの免許を取得し、体育祭や文化祭での空中ビデオ撮影を担当した生徒もいます。そのスタッフもまた生徒会の後輩に、ドローンの操縦の仕方や撮影ノウハウなどをアドバイスしています」(R・Wさん)

体育祭の様子をドローンで撮影する生徒会スタッフ。
こうした高度な撮影ノウハウや技術も後輩に伝えていきます。
このような行動はすべて他人事ではなく、スタッフ各自が自分事として生徒会活動と向き合っているからに他なりません。
「中学の生徒会と、高校の生徒会とで分かれて活動していますが、体育祭や文化祭のように、高校生徒会が主体となり、中学生徒会がそれに協力して行う行事もたくさんあります。そのような活動を経験する中で、中学生も高校生もそれぞれが自分の役割を意識し、最近では学校の広報活動を中高合同で活動する機会も増えています。学年を越えて仲が良いという雰囲気はこれからも大切にしたいと思っていますし、受験生にもアピールしていきたいです」(R・Wさん)
生徒会顧問の先生から
生徒会活動を見守り
生徒の成長をサポートします

「生徒会と一言でいっても、『学校行事が盛り上がるように運営をメインで頑張りたい』『広報活動に力を入れたい』などのように、生徒会スタッフ一人ひとりの思いは異なります。また、『校内環境の改善に一役買いたい』という生徒もいます。そんな愛校心あふれる生徒会の生徒たちと日々接していて、私が大切にしていることは、生徒側と大人側のちょうど中間くらいのところを自分の立ち位置とし、生徒を見守ることです。生徒会活動を通して、一回りも二回りも人間としての幅が広がった生徒が大勢います。これからも丁度良い距離感を保ちながら、生徒一人ひとりの成長を見守っていきたいと思っています」(安田一平先生)
主体的ポイント①~学校行事編
中高の生徒会が合同で企画・運営しているのが、『体育祭』と『文化祭』です。単独では、中学生徒会が『スポーツ大会』と『合唱祭』、高校生徒会が『球技大会』を主体的に運営しています。
「2020年と2021年度の体育祭は、コロナ禍で若干規模を縮小した校内開催に。校内での開催となると、どうしても観戦用スペースに限界があります。そこで、競技の様子をリアルタイムで動画配信したり、競技結果をSNSに投稿したりして、どの場所からでも観戦できるよう工夫しました。そして2022年度の体育祭は、例年通り外部グラウンドを借りて開催することができました」(T・Оさん)



――文化祭の運営はどうでしょうか。
「例えば、コロナ禍で開催自体が危ぶまれた2021年度の文化祭は、各スタッフが知恵を絞り、ICTをフル活用したオンライン文化祭として実施しました。各学年・クラスで製作したドキュメンタリー番組や映画のパロディ作品などを学校のHPに掲載し、広報活動の一環として楽しめるよう工夫しました」(R・Wさん)


主体的ポイント②~環境改善編 その1
軽食を購入できる自動販売機の設置を実現!
「校内には学生食堂がありますが、混雑時や朝練の後、日曜日の部活の合間に“何か食べられるものを買えるようにしてほしい”との要望が出ていました。私は生徒会選挙の際、その声に応えることを公約に掲げ、当選しました。当選後、この公約を形にするために活動を始めました。軽食の自動販売機設置にあたって、業者さんと学校との契約的なことは先生にお願いしないといけません。私たちは、Google Formsを活用したアンケートを生徒に実施し、販売して欲しい品物などを調査しました。また、すでに導入している他校の事例も探りつつ、生徒の考えを要望書の形にしていきました。何度も先生方とその要望書についてキャッチボールをしながら進めていき、パンなどの軽食を購入できる自動販売機を校内に設置することが実現しました。コロナ禍で現金に直接触れずに済むことを配慮し、現金のほかICカードも使える自動販売機としました。公約をすぐに実行に移す生徒会でありたいと思っているので、有言実行できて良かったです!」(R・Wさん)


主体的ポイント③~環境改善編 その2
女子の制服にスラックスを導入!
「動きやすく、夏は日焼け対策に、冬は防寒対策にもなる、女子の制服でのスラックス導入は、かねてから女子生徒を中心に上がっていた要望でした。そこで生徒会では、Google Formsを活用したアンケートを全生徒に実施し、あがった集計結果をもとに生徒会内外で様々な話し合いを重ねました。その結果女子の制服にスラックスが導入されることが決まったのです。
私は女子の制服にスラックス導入の活動をきっかけに、LGBTQに関わることに興味を持ちました。そのテーマを探究した研究が外部のコンテストで高く評価され、3位入賞しました」(R・Wさん)


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