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私立中高進学通信

2021年4・5月合併号

実践報告 私学の授業

国府台女子学院中学部

情報の活用を体系的に学ぶ
『情報リテラシー』の授業

大学でも社会でも役立つ!
本・新聞・ネットから正しく情報を引き出すスキル
2019年度中1の『情報リテラシー』の授業でのグループワークの様子。毎年、本の分類法を勉強したあとに、実際に自分たちで本を分類する実習を行っています。

2019年度中1の『情報リテラシー』の授業でのグループワークの様子。
毎年、本の分類法を勉強したあとに、実際に自分たちで本を分類する実習を行っています。

まずは本を使って情報収集
図書館の蔵書約5万冊を活用

 創立以来、「読書好きな生徒を育てたい」との思いから、「読書指導」を教育の柱としてきた同校。2011年に新校舎を竣工した際には、教室10室分の広さの図書館を設置し、2017年には、国語の授業の一環だった「読書指導」の授業を独自の教科『情報リテラシー』へと一新して、情報を調べたり、活用したりすることを体系的に学んでいます。中学3年間にわたって行われ、中学部図書館司書教諭の多田明子先生が、この授業を主に担当しています。

 “リテラシー”というと、インターネットを適切に使いこなす能力を意味する「ネットリテラシー」を思い浮かべがちですが、同校ではネット上の情報に触れる前に、まずは書籍から目的に合った情報を正確に引き出し、正しく活用するスキルを身につけるようカリキュラムを組んでいます。

「本で上手に調べられないと、生徒たちは調べものを面倒に思ってしまいます。中1の柔軟なうちから、図書館の検索端末の使い方や本の分類、奥付の見方、内容の要約や引用の仕方など、本から情報を得る方法をしっかりと学びます」

 学んだあとは、そのスキルを使った実習を行います。“ほうれん草の旬はいつか”など、明確な答えのある課題について、正解とそのエビデンスを本から探すのです。

 その際、情報の裏を取るため、「2冊以上の書籍を調べる」「出典を明記する」「著作権を侵害しない紹介の仕方をする」などの決まりを設けています。例年はグループでトライしますが、2020年度はコロナ禍のため密を避け、生徒一人ひとりに異なる問いが課せられました。

「インターネット検索の場合、“ほうれん草” “旬”と入力すれば、すぐに正解を調べられます。しかし、本で調べるためには、視野を広げて考え、必要な情報がどの本に載っているのかを探す必要があります。また、図書館にある新聞のオンライン記事データベースを利用する実習も行います。全国、どこの図書館に行っても、授業で学んだ方法で情報を探し出すことができます。
 ネットは便利ですが、間違った情報も流布しています。その点、本や新聞は情報の典拠が正確です。その真価を知ってほしいと思っています」

 図書館の使い方を学んだあと、生徒たちは積極的に図書館を活用するようになり、必要な本を自分で探せるようになるそうです。

中3ではレポート執筆
出典・引用のルールも学ぶ

 中2の授業では、さまざまな教科の教員が指導を担当し、クリティカルシンキング(※1)について専用のテキストを使って学びます。最後に中3では、新聞記事の読み方を学びます。新聞は、いま社会で起きていることを知るために、信頼できるツールです。見出しやリードの見方、各新聞社によって一面の記事や論調が異なることを学んでいきます。

 中3の終わりには、SDGsの17の目標の中から、各々が1テーマを選んでレポートを書きます。

「細かい引用や要約の説明をつけ、きちんとしたレポートに仕上げることが目標です。中3の時点では、レポートの半分が引用や要約になっても良いと思います。臆することなく、論文に近い形のレポートを書く経験をすることが大事なのです」

 こうしたスキルは、レポートや論文を書く時に必ず必要となり、一度身につければ、大学でも社会人になってからも活用できます。中学のうちから鍛え上げた情報活用能力は、生徒たちの将来に必ず役立つことでしょう。

※1 クリティカルシンキング…情報や他者の意見を鵜呑みにせず、本当に正しいのかどうか疑問を持ち、客観的に分析し、考察した上で最適解を出す思考法です。

中1~中3の『情報リテラシー』授業の流れ

中1

 学びの中心は、“知の宝庫”である同校の図書館。図書館を活用する取り組みで親近感がわき、本を借りる生徒も多いそう。

  • 簡単な図書館学
    本の分類法、奥付の読み方、検索端末の使い方など
  • 調べ学習の基礎知識を学ぼう
    資料の探し方、インターネット検索の注意点、著作権を侵害しない引用・要約の仕方など
  • 最終実習
    「ほうれん草の旬はいつか」など、1人に1題、課題を出題。本を使って調べ、エビデンスを基に発表する

中2

 情報を発信する際、多角的に物事を見て、自分の意見を述べられるようにトレーニングをします。この学びは中2の研修旅行の事前学習にもつなげています(※2)。

  • クリティカルシンキング
    さまざまな教科の教員が担当
  • 研修旅行事前学習
    観光地のサイトを正しく調べる

※2…2020年度は日帰り旅行だったため、事前学習は行いませんでした。

中3

 例年はグループワークで新聞の読み比べを行いますが、2020年度は4月の休校中から、多田先生がSDGsに関する新聞記事をPDFにして中1~中3の生徒に配信して読み比べを行いました。この取り組みは今も続いています。

中3ではレポートの書き方をていねいに指導。授業では、多田先生の手作りプリントを使います。中3ではレポートの書き方をていねいに指導。授業では、多田先生の手作りプリントを使います。
  • 新聞を読もう
    見出し・リードの読み取り方、新聞主要4紙の違いを知る、関連記事の読み方など
  • SDGsについて学ぶ
    17の目標と関連する社会の問題を意識する
  • 学習型報告レポート
    A4レポート用紙 序論から参考文献までで2枚以上を執筆
中3を指導する多田先生。中3の最後には、序論・本論・結論・参考文献までを記載した、論文に近い形のレポートを書きます。まずはその構成の説明からスタート。中3を指導する多田先生。中3の最後には、序論・本論・結論・参考文献までを記載した、論文に近い形のレポートを書きます。まずはその構成の説明からスタート。
新聞記事を読んで、自分で見出しを考える授業(中3)。例年はグループワークで互いに意見を述べ合いますが、2020年度は密を避けて全員の見出しをiPadに映し、投票を行いました。新聞記事を読んで、自分で見出しを考える授業(中3)。例年はグループワークで互いに意見を述べ合いますが、2020年度は密を避けて全員の見出しをiPadに映し、投票を行いました。
ココも注目!
発信できる人に
なるための必要な力

 生徒には情報を精査するだけでなく、それを使って発信できるようになってほしいと思っています。ブログやSNSで発信する機会も多いと思いますが、そうした時にも精査した情報に自分の意見を添えて、リテラシーにのっとった形で発信できる力を身につけてほしいですね。(中学部図書館司書教諭/多田明子先生)

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