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私立中高進学通信

2020年4・5月合併号

私学の英語最前線

女子美術大学付属中学校

アートを題材に英語を学ぶ
教科横断型『Art English』

新たな改革に取り組む同校では、2019年度から英語×美術の新授業を導入しました。
美術系私学ならではの『Art English』で、英語力とプレゼン力を育てています。
この日の授業では、「fine」「bold」など筆遣いを表現する英単語を習得。プロジェクターで絵画を見ながら、どんな筆遣いで描かれているかの表現方法を学びます。

この日の授業では、「fine」「bold」など筆遣いを表現する英単語を習得。
プロジェクターで絵画を見ながら、どんな筆遣いで描かれているかの表現方法を学びます。

美術と英語を融合させた
オールイングリッシュの授業

 100年以上にわたり「芸術による女性の自立」を推進してきた同校が、2019年度から新たな改革に乗り出しました。その一つが、「美術教育」「英語教育」「ICT教育」を柱とする新カリキュラムの導入です。なかでも、英語と美術を融合した授業『Art English』は、同校ならではの取り組みとして注目を集めています。英語科の横江和子先生は、導入の背景について次のように話します。

「グローバル化が進む社会では、今後ますますコミュニケーション力やクリエイティビティが求められるでしょう。豊かな創造性を持つ本校の生徒が語学力を身につけたら、さらに成長できるはず。
 そこで、生徒たちが好きなアートを題材に、美術に関する英語表現を学んだり、自分の作品を英語でプレゼンテーションしたりする『Art English』を導入しました。これまでにも教員それぞれが英語の授業にアートを取り入れていましたが、2019年度からは個々の取り組みを体系化し、より実践的な内容にアップグレードしています」

 初年度は中1・高1で『Art English』を実施し、徐々に全学年に拡大していく予定です。中1の英語授業は週5コマあり、3コマは教科書中心、1コマが英会話、1コマが『Art English』となっています。『Art English』の授業はオールイングリッシュ。美術教員の経験があり、アーティストでもあるネイティブ教員と日本の英語科教員の2人体制で指導しています。

文法や単語の学習定着と
プレゼン力の向上をめざす

『Art English』の授業は、2つの軸で成り立っています。1つは、教科書で学んだ文法や単語を定着させるために、アートと関連させて理解を深める授業。ゴッホとゴーギャンの会話形式で英語を学んだり、ムンクへのインタビューを考えたりというユニークな内容です。もう一つはプレゼンテーションなどを通じて、コミュニケーションを行う授業です。プレゼンではiPadを使うこともあり、美術、英語、ICTが密接に絡み合った授業を行っています。この2つを両輪に、美術と語学双方の力を伸ばしています。

 中1を担当する三浦淳先生は、生徒たちの反応について次のように述べます。

「教科書で文法や単語を教えると無味乾燥になりがちですが、『Art English』は生徒たちの好きなアートを題材にしているので反応も良いですね。有名な画家の名前が挙がると、『あ、知ってる!』と生徒たちの目が輝き、英語に興味を持つきっかけにもなっているようです。
 1学期には草間彌生さんの作品を題材に『Art English』の授業を行いました。その後のスケッチ旅行で訪れた美術館に草間さんの作品があり、実物を見ることができて生徒たちは大喜び。こうした経験も、英語学習へのモチベーションを高めていると思います。本校ならではの美術を絡めた英語教育であり、教科横断型授業にもなっていると実感しました」

 中2以降は、さらに学びの幅を広げ、英語力を高めていきます。

「中2ではテーマを決めてリサーチし、英語で発表する授業を行う予定です。信頼できる情報の探し方など、メディアリテラシーも身につくのではないかと思います。ほかにも、子どもの頃の作品についてプレゼンする授業も実施。習得した単語数が増えると表現の幅も広がるので、インプットとアウトプットをバランス良く取り入れるように心掛けています」(横江先生)

アートに特化した英語表現が
世界へつながる扉を開ける

 中学3年間の到達目標は、自分の作品を英語でプレゼンすること。言語を介さずにメッセージを伝えられるのがアートの魅力ですが、自分の作品を言葉で説明することも重要です。

「作品を通して何かを伝えるのがアートですが、受け取り方は人それぞれ。『私はこう見る』『こういう意図で制作した』と言葉で補完することで、より密度の濃いコミュニケーションになります。将来アーティストやデザイナーになれば、作品のコンセプト、力を注いだ点について説明が必要になるはずです。美術の授業でも日本語でプレゼンは行いますが、英語ならより多くの方に作品の魅力を伝えられます」(三浦先生)

 しかも、ただ英語力をつけるのではなく、アートに特化した英語を学ぶことが重要だと横江先生は話します。

「アートは感覚的で言語化しにくい分野なので、英語が得意な人でもどう表現したらよいのかわからないことも。卒業生とも話し、専門的な言葉、アートならではの英語表現を学ぶ必要があると感じていました。卒業後、アートを使って生きていく人にとっても意味があるよう、実践的な授業をめざしています」

 今はSNSで作品を発表し、国内外からメッセージが届く時代。世界で活躍するためにも、語学力は欠かせません。

「ネットで声がかかり、海外のアートギャラリーに呼ばれた卒業生もいます。チャンスをもらってから勉強を始める卒業生もいますが、仕事をしながらではなかなか勉強の時間も作れません。『Art English』が、世界に羽ばたくためのベースになればうれしいです」(横江先生)

POINT1
アートを題材にした授業で
文法や単語の理解を深める
アーティストであり美術教員経験もあるモーガン・シゲス先生が、中1生の『Art English』を担当。アーティストであり美術教員経験もあるモーガン・シゲス先生が、中1生の『Art English』を担当。

『Art English』の授業では、教科書で学んだ文法や単語がしっかり身につくよう、アートを絡めて理解を深めていきます。例えば、通常の授業で接続詞「because」の使い方を学んだら、『Art English』では「私はこの作品のここが好きです。なぜなら~」と自分の作品について英語で紹介をし、学習定着度を高めます。

 また、アートに特化した表現、専門用語を学び、自分の作品を説明するための語彙も増やしていきます。

POINT2
自分の作品を英語で解説し
プレゼンテーション能力を高める
動物園でのスケッチをもとに作品を制作し、どこが気に入っているか英語でプレゼン。アートと英語が密接に絡み合った授業で、感性と語学力を同時に引き上げます。動物園でのスケッチをもとに作品を制作し、どこが気に入っているか英語でプレゼン。アートと英語が密接に絡み合った授業で、感性と語学力を同時に引き上げます。

 アートやデザインの世界で活躍するには、自分の作品について制作意図やコンセプトを説明する力が求められます。美術の授業でも発表を行いますが、『Art English』ではグローバルでの活躍を視野に入れ、英語を使ってプレゼンします。

 中1では「自分の作品のどこが好きか」など簡単な紹介から始め、中3では自分の作品について英語でプレゼンを行うことを目標にしています。

担当の先生より
表現力と専門知識に語学力を加え
力を最大限に発揮してほしい
左から英語科の横江和子先生、三浦淳先生。左から英語科の横江和子先生、三浦淳先生。

「多くの卒業生は、アーティストやデザイナーとして仕事をするなど、アートを使って生きていきます。活躍の場は日本国内とは限らず、海外に広がるかもしれません。その際、言語が足かせになるようでは残念ですよね。せっかく素晴らしい才能を持っているのだから、活動の幅が制限されるのはもったいないと感じます。本校で培った表現力と専門知識に語学力が加われば、鬼に金棒。世界中どこにいても、その力を最大限に発揮してほしいと願っています」(横江和子先生)

「中学生は、まだ狭い世界しか知りません。でも、そこだけで満足し、閉じこもってほしくないのです。一歩外に出れば、大きな世界が広がっています。無限の可能性を信じ、自分の作品を世界に広めてほしい。そのために役立つのが英語です。自分の思いを英語で表現するのは難しいけれど、不可能ではありません。自分の力を信じて、可能性を広げてほしいと願っています」(三浦淳先生)

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