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私立中高進学通信

2020年4・5月合併号

私学だからできるオリジナル教育

帝京大学系属帝京中学校

思考力・表現力を鍛える
中3の卒業論文

生徒の人間力向上に力を注ぐ同校。中3生全員が取り組む卒業論文は、思考力・表現力を育み、生徒が将来を考えるきっかけにもなっています。
「総合の学習」の授業時間を卒業論文に当て、「話し言葉」と「書き言葉」の違い、資料の調べ方、テーマの探し方など、初歩的な部分から論文担当の教員がていねいに指導。一人ひとりの論文内容に細かく目を配ります。

「総合の学習」の授業時間を卒業論文に当て、「話し言葉」と「書き言葉」の違い、資料の調べ方、テーマの探し方など、
初歩的な部分から論文担当の教員がていねいに指導。一人ひとりの論文内容に細かく目を配ります。

少人数制でサポートする
学年全体のプロジェクト

 文武両道を掲げ、人間性豊かな生徒の育成をめざす同校。生徒それぞれが好きなことを自学自習する『自学ノート』や行事ごとに作成する振り返りの作文、中2では自己分析、職業調べ、企業訪問などを体験して社会と自分を見つめる機会を設けるなど、生徒自らが思考し、表現する力を高める取り組みを行っています。

 そうした取り組みの集大成が、中3の卒業論文です。総合の時間に半年間かけて全員が研究・執筆に打ち込みます。

「職業調べなどを通じて、生徒たちは自分の興味や社会とのつながりを意識し始めます。卒業論文は、それらをきちんと論文の形で表現することで、思考力と表現力を伸ばしていく取り組みです」
(卒業論文指導担当/坂本大志先生)

 論文のテーマは自由ですが、最低でも400字詰め原稿用紙10枚分の提出が義務づけられます。もちろん、中学生が急に長い論文を書けるわけではありません。中3生全体を約10名ずつのグループに分け、1グループに1名の教員が論文担当として付き、テーマ設定から資料の調べ方まで、さまざまな面で生徒をサポート。マンツーマンで何度も論文の内容や進め方について相談するなど、密な指導が行われます。

「作文や自由研究が苦手な生徒は、目次を立てるだけでも苦戦します。その場合は教員が、『こんなことに興味を持っていなかった?』『これを調べてみたら?』といった、かなり具体的なところまで踏み込んだアドバイスをすることもあります。テーマはアニメや音楽など、学習と関係ないことでも構いません。それぞれの個性や興味を引き出し、夢中になって調べ、書くことができるように促していきます」

論文として成り立つよう
教員が徹底して指導

 執筆に入ったあとも、教員から何度も添削を受け、生徒たちは論文を完成させていきます。

 作文とは違い、論文として成り立つように、論旨がきちんと展開できているかどうか、調査は十分かどうかなど、きめ細かに指導しているそうです。

 最初は調べたり文章を書いたりすることが苦手だった生徒も、半年間をかけて全員が原稿用紙10枚以上をしっかりと書き上げます。

「好きなテーマについて書いているので、楽しそうに取り組んでいますね。卒業論文を体験した一貫生は、自分の意見をしっかりと表現できるように成長します」

 と坂本先生。卒業論文のテーマを進路に反映させ、将来へとつないだ生徒も少なくないそうです。

「今後は、大学受験でも記述式の問題や教科横断的な問題が多くなります。論文を書くことで、自分の考えを論理的に表現し、展開する力がついていくことを実感しています」

卒業論文作成中の中3生に聞いてみました!
あなたの卒業論文は、どんなテーマ?
木村 駿さん

テーマ
「地球温暖化対策の再検討 土地活用に見る日本の未来」

テーマを選んだ理由
先生との雑談で、日本では今、空き家の増加が問題になっているが、そこを森林化したら見栄えも良くなり、温暖化対策もできるのではないかと話したことがきっかけです。

苦労した点
年代の古い資料が多く、最新の資料を集めるのが大変でした。先生にアドバイスされ、インターネットの資料はなるべく国土交通省や国が公式に出しているものを選びました。

取り組んだ感想
最初は難しくて堅苦しいテーマを選んでしまったと思いましたが、先生がやさしくアドバイスしてくれて、調べるのも楽しかったです。今後は図表を増やし、完成度を高めたいです。


石毛 結さん

テーマ
「安楽死について」

テーマを選んだ理由
日本ではどうして安楽死がタブー視されているのかに興味がありました。パラリンピックの選手が安楽死を選択したというニュースを聞き、深く調べてみたいと思ったことがきっかけです。

苦労した点
外国に比べ、日本では安楽死がなぜ論じられないのかということと、安楽死が認められていない理由について調べました。日本語で書かれている資料がとても少なくて、調べるのに苦労しました。

取り組んだ感想
死生観は人それぞれ違うと思うのですが、高齢化問題などにも関わるので、日本でも、もっと安楽死についての議論をしたほうが良いのではと感じました。


加藤拓美さん

テーマ
「未来を見据えた医療をめざして クローンは必要か」

テーマを選んだ理由
京都大学の山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことでiPS細胞に興味を持ち、調べるうちに、クローンも必要となる時代が来たということがわかったからです。

苦労した点
日本では「クローンは作っちゃダメだ」という意見が多い中で、少数ですが肯定的な意見が出ていることや、成功率を上げるための方法を資料で調べたりするのが難しかったです。

取り組んだ感想
将来、医療関係へ進むことを希望しているので、高校生や大学生になった時に、中3の卒業論文を読み返してみて、その時の自分の現状につながっているかを確認できたらいいかなと思います。

左から木村さん、石毛さん、加藤さん。

左から木村さん、石毛さん、加藤さん。

卒論が将来の進路につながることも
調べ学習+文章作成が
未来への力をつける

 生徒たちの積極性を引き出すため、中3の卒業論文のテーマは自由に選べるようにしています。そのため、毎年、多種多様な卒業論文が作成されています。

 大手メーカーが発売するお菓子について調べた生徒は、メーカーへの取材を行ったことで広告戦略の大切さに気付き、それも盛り込んだ論文を完成させました。タバコの害について調べ始めた生徒は、実際にニコチン液に浸したカイワレダイコンの生育状態を調べ、記録とともに論文を提出しました。

 論文と将来の進路がリンクした例も少なくありません。過去には日本のラグビー界についての論文を書いた生徒が名門帝京大学のラグビー部に所属し、学生コーチとして活躍した例も。

 また、日本の英語教育の問題点についてまとめた生徒が、その後英語の教員をめざして大学を決めたこともあるそうです。

過去の論文。中学生とは思えない批判的精神に富んだテーマも多く、教員たちがハッとさせられることも。また、生徒の意外な能力を発見することにもつながるそうです。過去の論文。中学生とは思えない批判的精神に富んだテーマも多く、教員たちがハッとさせられることも。また、生徒の意外な能力を発見することにもつながるそうです。
論文作成期間中は、職員室まで論文の相談に行く生徒も多いそうです。「この本も読んでみたら?」「反対の意見もしっかりと調べてね」といった会話が盛んに交わされます。論文作成期間中は、職員室まで論文の相談に行く生徒も多いそうです。「この本も読んでみたら?」「反対の意見もしっかりと調べてね」といった会話が盛んに交わされます。

論文作成の手順

STEP0
自学ノート、自己分析、企業調べ、日頃の授業など

STEP1
関心の高いキーワードのリストアップ

STEP2
分野の見極め(キーワードに関する本、資料を読む、テーマが研究に耐えられるか検討)

STEP3
論文テーマを組み立てる

STEP4
卒論の構成を整理する目次を作る(序論、本論、結論を組み立て)

STEP5
資料を整理し、抜き出し、要約してリストアップする

STEP6
執筆開始(書く→教員による添削を繰り返す)

先生から一言
全員が探究的な活動に
参加できることが大事
卒業論文指導担当 坂本大志先生卒業論文指導担当 坂本大志先生

 探究活動はどうしても得意な生徒だけが積極的に取り組むという形になりがちですが、卒業論文は全員が取り組みますので、最初はとまどっていた生徒も教員と会話をする中で、考えがまとまっていくケースも多いですね。

 冬休み前に行き詰まっていた生徒が、冬休み明けにびっしり書き込んだ論文を仕上げてくることもあります。生徒が苦しみを乗り越えた瞬間に出会えるうれしさもあります。

進学通信 2020年4・5月合併号
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