中高6年間を満喫しよう!~学校生活~
中高6年間という長期的な視点で
「非認知能力」の基盤をつくる
吉野鷗友での改革で懐かしく思い出されるのが、「総合社会」の授業を立ち上げた時のことです。現在の「現代社会」の授業ができる10年以上前に、鷗友では、現代社会と似通った内容を教える「総合社会」の授業を開始しました。周囲から「教科書を使わない授業をしていていいのですか」という声が上がったのは事実です。ただ、鷗友では当時から教科書を絶対視せず、今ここにいる生徒に最も合った授業を行うことこそが、生徒を成長させるという強い信念をもっていました。
同時に、各教科で培う学力「認知能力」にとどまらず、「非認知能力」の育成も重視した教育を取り入れていきました。「非認知能力」を築き、そのうえで「認知能力」を伸ばしていく教育は、6年間という時間的余裕のある中高一貫だからこそ実現できるカリキュラムです。
高橋「非認知能力」は、私学の改革においても昨今注目されているキーワードですね。「非認知能力」はどうすれば養うことができるのでしょうか。
吉野価値観の違う多様な相手と、互いの違いを認め、互いの人格を否定せずに議論し、一緒に問題を解決するために行動できるようなクラスづくりや、探究学習の場が大切です。振り返りを通して、失敗をしてもそれを次にどう活かすかを考えることも大事です。
高橋「非認知能力」の育成については、多くの学校がさまざまな取り組みを行っています。
吉野鷗友では、低くなりがちな女子の自己肯定感を高める取り組みを行い、また、心理学の専門家を講師に招いて、他者との関わり方や適切なコミュニケーション法を学ぶ「アサーション・トレーニング」の授業を導入しました。
中学生の場合、男子は体を動かすアクティビティで効果を上げる場合が多く、女子はコミュニケーション中心の活動が功を奏するようです。男子と女子では発達段階によって特性が異なりますから、それぞれに効果的なアプローチがあると思います。「非認知能力」の育成については、その学校の生徒に合った方法を、それぞれの学校が見極めながら工夫していくことが必要でしょう。芝国際でも、「非認知能力」と「認知能力」の教育をバランスよく両立できる環境を整えていきます。
高橋芝国際の改革についても教えてください。
吉野本校の前身である東京女子学園は、東京で初となる私立の高等女学校として1903年に開校しました。日本の近代化の中で、「人の中なる人となれ」という理念を掲げ、男女の枠を越え社会で活躍する女性を育てることを目標に創設されました。
私の最初の仕事は、この理念を共学校でどう受け継ぐかということでした。
芝国際の理念は「枠を越えよ」です。「問題を発見し、設定した課題に挑戦し、仲間と共に行動し、既存の枠を突破して乗り越え、国際社会に貢献する人となれ」と教えています。自分の殻を破り、文化の枠、文理の枠、国と国の垣根、時間の制約を越えて活躍する生徒を育てることが目標です。
「枠を越えよ」という理念を今後もレガシーとして受け継ぎ、学校としても、ケンブリッジ国際教育認定校の申請を出すなど、これまでの「日本標準の教育」の「良さ」を残しながらもその枠を越え、「国際標準の教育」を導入する準備を進めています。
また、多様な生徒が集まる環境を活かし、生徒の主体性を重んじた活動も多く取り入れています。例えば中3の修学旅行は、中1から生徒たちが話し合って行き先を決める形式です。体育祭やスポーツ大会などの行事も、生徒が企画してスタートしました。さらに、今年の4月には保護者後援会が発足し、保護者の方にも学校づくりに積極的に関わっていただいています。
新しい学校ならではのポテンシャルも本校の特徴の一つです。生徒や保護者、教員の一人ひとりがもつ「こんな学校にしたい」という思いをくみ、挑戦を後押しする環境を整えていきます。
高橋独自の教育が可能な私学だからこそ、伝統を受け継いでいくことが大切なのですね。同様のお話は、多くの私学の先生からも伺います。以前に実践女子学園を訪問した際に、同校の先生が「私学には蔵つきの酵母があり、それはずっと変わらない」というお話をされていたのが印象的でした。環境が変わっても変化しない校風や雰囲気のことを酵母に例えているわけですが、言い得て妙だと納得しました。時代に合わせた改革が行われても、学校の土台や軸を変えないことが、教育の礎をつくっているんですね。
また、品川女子学院の先生も、「私たちには、卒業生の母校を守るミッションがある」とおっしゃっていました。卒業生にとって帰ることができる「ふるさと」があるという安心感は、何物にも代えがたい価値でしょう。
首都圏私立中高一貫校の主な“改革”









