中高6年間を満喫しよう!~学校生活~


芝国際中学校・高等学校 校長
吉野 明 先生
一橋大学卒業後、鷗友学園女子中学高等学校へ社会科教員として赴任。女子の発達段階に合わせたプログラムなど、自己肯定感を高める女子教育に邁進。校長として学校改革を進め、同校を一躍人気校へ。2024年4月より現職。

森上教育研究所アソシエイト
高橋 真実 さん
慶應義塾大学卒業後、メーカー、外資系コンサルティング会社を経て独立。学校向け広報セミナーや教育シンポジウムの企画・運営に携わる。保護者として娘の中学受験を経験。
時代に合わせた
学校改革を進めやすい
柔軟性や迅速性が「私学の強み」
高橋昨今、私立中高一貫校の改革がよく話題になりますが、その背景にはどんな理由があるのでしょうか。
吉野改革の背景には、急速に変化する時代に対応するため、新しい教育を先導して取り入れていこうという「私学の使命」があります。一方、一定数の生徒を集める必要があるという現実もあります。当然のことながら、後者をメインに改革を推し進めようとしても共感はなかなか得られません。現代の改革には、両者のバランスが取れていることが不可欠でしょう。
高橋私学には、社会の変化に迅速に対応して改革に舵を切る柔軟性があります。そして、一度アクセルを踏んだことは、ブレーキをかけずに継続します。こうした「私学の強み」が、昨今の中学受験人気の大きな理由になっていると感じます。
実際、中学受験者数を示すグラフ(下図)を見てみると、文部科学省の出した政策が節目となっていることがわかります。ゆとり教育、SGH制度のスタート、高大接続改革、大学入試改革など、そのタイミングごとに中学受験の人気が増しています。公立校の教育に対する不安と、私学の教育に対する期待が表裏一体となって、中学受験のマーケットを広げ続けているのです。
過去40年間の首都圏私立・国立中学受験 実受験生数 推移(数字は全て推定)
- 実受験生数とは、小6生のうち中学受験に挑んだ生徒の人数。各校の各入試の出願者数・受験者数とは異なります。
中学受験率(小6生数全体に占める中学実受験生数の割合)=小学6年生数÷実受験生数×100
吉野公立の学校は、各校が自由に改革を進めることに難しい面があるでしょう。反面、私学各校はそれぞれが時代に合った教育を自由に構築していくことができます。こうした強みが、人を集めている理由ですね。
高橋改革を進める際には、学校が伝統的に掲げる教育理念と改革の意義、それぞれのバランスが非常に重要だと感じます。改革には困難がつきものですから、何かあった時には、常に理念に立ち返る必要があるからです。吉野先生の前任校である鷗友学園女子では、どのような理念をもって改革を進められていたのでしょうか。
吉野鷗友には、前身の東京府立第一高等女学校の時代から「日本の女子教育を変える」という大きな目標・理念がありました。日本社会での女性の立ち位置を変えたい、つまり、家のなかではなく、社会や世界に出て活躍する女性を育てるという目標があったのです。鷗友の学校改革は、この明確な理念に基づいて進めていきました。
高橋鷗友の大改革がスタートした1980年代後半には、男女雇用機会均等法の制定などもあり、女性の社会進出が加速しています。
吉野時代は変化していますが、残念ながら「ガラスの天井」は、今もまだ残っています。これが完全になくなるまでは、鷗友も「アイデンティティの確立の援助」をモットーに、女子校として女子教育を続けていく必要があるという信念をもっていました。
高橋鷗友は大きな成功例ですが、改革がうまくいかない学校と、成功する学校の違いはどこにあるのでしょう。
吉野「6年間を通した生徒の成長」を見通し、改革の全体像と長期的な目標をもって進めることでしょうか。あれをします、これをしますという細部の取り組みだけにとらわれないことが重要です。
私も鷗友在職時には、「鷗友ではどんなことをしていますか?」とよく聞かれました。例えば創立当時から続く「園芸の授業」を充実させ、さらに「3日に1回の席替え」など、さまざまな取り組みをしてきましたが、こうした個々のパーツだけを取り入れても、改革は成功しないでしょう。
学校の目標は、生徒が幸せになる力をつけることです。学校が6年間を通して生徒にどう成長してほしいのか、長期的なビジョンを描いて改革を行い、6年後に生徒の成長を実際に示すことができて初めて、改革に効果があったといえるのです。









