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進学通信

2026年3月

The Voice 校長インタビュー
自由の中にある責任を通して、人生を自分で選び取る力を

公開日2026/4/15

生田 耕三 校長先生

P r o f i l e

東大阪市出身。1991年に同校入職。自治会指導部長、高校教頭、中学教頭などを経て、2024年より現職。趣味はゴルフと大型バイクでのツーリング。好きな言葉は「学ぶとは、誠を心に刻むこと。教えるとは、共に未来を語ること」。特に“共に”という部分に強く共感しており、教育者としての土台になっている。

●自由と責任は表裏一体 生徒を信じ、任せる

 本校の最大の特徴は、建学以来大切にしてきた「自由な校風」です。しかし、この“自由”は決して「何でもあり」という放任主義を意味するものではありません。本校が掲げるのは、「責任を伴う自由」であり、この“責任”と“自由”は、教育における表裏一体のテーマだと捉えています。

 生徒には“自由”があるからこそ、自らの行動に“責任”を取る力が育まれます。そして、その“責任”を果たしてくれるという信頼があるからこそ、私たちは生徒により幅広い“自由”を与えることができるのです。
 ただ、生徒を放っておいたままでは責任感が芽生えるわけでも、自由が得られるわけでもありません。勉強にせよ生活指導にせよ、そこにどのように教員が関わっていくのか。生徒を尊重して同じ立場や目線に立ち接しながらも、教員がイニシアチブを発揮する。この距離感やバランスが難しいわけですが、私たちはそこにこだわりたいです。

●「自主・自律」の精神を育む長い歴史

 よく「桃山学院は、なぜこれほどまでに自由を重視するのですか」と尋ねられます。その根本には、土台とするキリスト教の「自由と愛の精神」があるのは確かですが、やはり子どもたちが「権利を持つ主体」であると捉えていることが大きいでしょう。一定のルールは必要ですが、その中で主体的に自分の将来を考える権利、自分のことは自分で決める権利を子どもたちは持っています。“自治”と表現してもよいかもしれません。このような伝統は、私が本校に入職した約30年前からすでに根づいていました。実は私の母校も自由な校風で、私自身がその素晴らしさ、居心地のよさを身をもって体験していたこともあり、すぐに本校のことが大好きになりましたね(笑)。

 学校は、大きく分けて2種類あると思います。自由や自治を大事にするタイプと、勉強や生活を徹底的に管理するタイプです。学力や進学実績の向上において短期間で成果を出すなら、おそらく後者のほうが効率的でしょう。もちろん、学力の伸長は本校にとっても最重要事項の一つですから、管理タイプのメリットも理解していますが、本校はその道を選びません。目先の成績や実績だけを追うのではなく、やはり生徒たちが自分の人生を主体的に生き抜く力、社会に出てからも自ら学び、考え、行動できる力を育むことこそが重要だと信じているからです。

●自分たちで作る『修学旅行』

 本校の「責任を伴う自由」の校風を象徴する取り組みの一つに、生徒自身が企画する、中学校の『修学旅行』が挙げられます。決められているのは予算だけ。チームに分かれて行き先からホテル、観光やアクティビティまでを一から企画して発表し、クラスでの予選を勝ち抜いたチームが、全中2生徒と教員、旅行会社の担当者の前でプレゼンテーションを行い、行き先が決まるのです。
 これまで「120人が乗れる屋形船」「受け入れ先がない離島」などを候補に挙げ、実現不可能だったプランもありました。しかし、そこから企画を練り直すなど、失敗も含めたプロセスすべてが教育であり、学びの機会なのです。
 そして何より、自分たちで決めたプログラムだからこそ「成功させたい」という強い責任感と主体性が生まれます。旅行後には、生徒たちから「楽しかった、ありがとう」という言葉が寄せられ、企画した生徒たちは、他者を喜ばせるという大きな達成感と自信を得るのです。

 また、修学旅行以外にも学校行事を多く設定し、生徒たちが自分たちで決める場を意図的に多く設けています。

●生徒への信頼を表す「服装の自由」

 生徒たちからの要望を受け、約半世紀前から取り入れている、高校における「服装の自由」も、生徒への深い信頼を示す象徴的な例ではないでしょうか。「華美に流れない」「品位を傷つけない」という生徒の判断に委ねる最低限のルールのもと、私服での登校を認めています。
 修学旅行の企画にも言えることですが、生徒たちは、一方的に指示されるよりも、任されたほうがその期待に応えようとします。教員があれこれ口を出さなくても、「華美とはどういう状態か?」「品位とは何か?」を自分たち自身で考え、判断して、自分を律するのです。

 実は、こんなエピソードがあります。私服化が実現した当時、心配したPTA会長が学校近くの喫茶店にこっそり潜んで、登校する生徒のようすを見に来ていました。しかし、そこで見たのは、ジーンズにT シャツといった、高校生らしい節度ある服装で通う生徒たちの姿。それを見て、PTA会長もすっかり安心し、生徒への信頼感が高まったようです。

●生徒を信じて、成長を見守る

 先ほどのPTA会長の話ではありませんが、教員にとって生徒を管理することを手放すのは、ある意味で勇気が必要だと思います。そもそも教育の成果はすぐには表れないことを理解することが重要です。即効性を重視するなら、管理してしまうほうが早いですからね。それをグッと飲み込んで、いかに生徒を信じて待てるかが大事
でしょう。

 ただ、そうだとしても、生徒が主体的に行動できるようになり、成長していく姿は、日々の学校生活の中で目の当たりにすることができます。勉強面においてもそうです。実際に生徒は、受験学年になる頃には、こちらから何も言わなくても
自分で勉強するようになりますしね。
 見方によっては、生徒たちも管理されていたほうがラクな部分はあるでしょう。自分で考えたり、決めたりしなくていいですから。でもそれでは、目先の成果は出せても、本質的に生徒の成長にはつながらないのです。だからこそ、本校ではこれからも「責任を伴う自由」の校風を貫きたいですね。