

企画室・谷垣諭志先生
創立50周年の学校改革から10年が経過し、「より生徒の自主性・コミュニケーション力・リーダーシップを高める教育」へと進化を遂げた金蘭千里の挑戦は、とどまるところを知りません。目指すのは、時代や社会に調和した、個別性と自律性、社会性を磨く教育。その核になるものとして、まずは2024年4月に『金蘭千里五則』と『アダプティブラーニング』を導入しました。
生活指導のあり方を示した『金蘭千里五則』は「他者を傷つけない」「公共のルールを守る」という根本を堅持しつつ、生徒自身の良識に基づいた判断力を尊重。従来の「登下校時の店舗への立ち寄り禁止」などの細かくストイックな生活指導とは一線を画します。
『アダプティブラーニング』は、ICT教材を使って一人ひとりのレベルに応じた復習課題を個別配信する仕組み。従来から定期考査の代わりに行っている毎日の『20分テスト』は、試行錯誤を重ねて自分に合った勉強方法を見つけていくという、個別最適化学習の要素を持つものですが、新たな仕組みをプラスすることで、自ら学ぶ力の確立と学力定着を強力に促します。
「いずれも順調に運用中で、模試では正答率が約20%アップした項目もあります」 (企画室・谷垣諭志先生)
そして2025年、創立60周年という節目を迎えるにあたり、今、さらなる学校改革を推し進めています。2024年度から選択制へと生まれ変わった『ウインターコース」は、従来は12月の4日間、実験や演習といった普段の教科学習とは異なる活動を行っていましたが、コマ数が少なく中途半端になりがちであることが課題だったそうです。そこで検討を重ね、①『スノー・キャンプ』(スキー・スノーボード合宿)②IT技術を学ぶ『プログラミング・キャンプ』③英語漬けの4日間を過ごす『イングリッシュ・インテンシブ・コース』④学校での登校自習⑤自宅で過ごす、といういずれかの選択制としました。
人気が高い中学生対象の『スノー・キャンプ』は、2025年度からは高1を含む4学年対象に変更。また新たな選択肢として、⑥『医療救急ワークショップ』の導入が決まりました。
宿泊プログラムを含む選択制の『ウインターコース』。インストラクターからスキー・スノーボードを教わる『スノー・キャンプ』(岐阜県白鳥高原)、ITスキルを磨く『プログラミングキャンプ』(長野県蓼科池の平)、英語漬けの4日間を過ごす『イングリッシュ・インテンシブ・コース』、『医療救急ワークショップ』といった多彩な体験の場に加えて、校内自習や家庭で過ごす時間も選べることが大きな特徴です。一番人気は、教育理念に掲げる「自然に親しむ」を体現するスノー・キャンプ。2025年度からは宿舎を増やし、対象学年の幅も広げるというフレキシブルな対応からは、学校改革への並々ならぬ熱意がうかがえます。
「どのような体験が成長につながるのかはわからないからこそ、多くの機会を与えたい。その思いから5つの選択肢を設置することになったのです。スノー・キャンプに中1~高1までの4年連続で参加してスキルアップしていくことも可能。そうした成長体験が自信につながればと考えています」(宮脇先生)

●スノー・キャンプ

●医療救急ワークショップ

企画室・宮脇直弥先生
新たにスタートした取り組みは高1・高2の希望者を対象とした課外探究活動『探究部』です。校長・教頭をはじめ有志教員による約25の研究室を設置し、数学や歴史の研究から、学校説明会での実践を視野に入れた広報活動の探究、国立大学と連携した環境DNA学まで、教員の専門性や興味、外部とのつながりなどを活かした多彩なテーマ・内容となっています。放課後や長期休暇などを利用して活動し、ポスターを制作。2月には中3~高2の全生徒が参加するポスターセッションに臨みます。
「大学の総合型選抜や学校推薦型選抜の自己アピールにも活かせることが大きなメリットの一つ。自分の興味・関心や進路に応じて選び、主体的に活動することで、進路実現につなげてほしいです」 (企画室・宮脇直弥先生)
そして2027年春には新たな体験・成長を得られる機会として、希望者対象の海外プログラム『春期フィンランド研修』がスタートします。
自ら調べ・考え・研究し・発表する、希望者対象の『探究部』。いずれの研究室もポスター制作は必須で、2月の『探究week』にはポスター掲示を、『探究day』にはポスターセッションを実施します。谷垣先生の研究室は、「昭和~平成特撮を社会学的に考察する」というユニークなテーマ。他の教員の研究室についても楽しそうに説明してくださいました。そのようなイキイキとした先生の姿こそが、生徒の好奇心や探究心、意欲を駆り立てるのでしょう。
2027年春から実施される『春期フィンランド研修』も、生徒の自主性を尊重する希望制。現地の企業や大学と連携したSDGs関連の探究、オーロラ観測や氷上アクティビティなどの自然体験、世界遺産を含む文化体験を盛り込んだ7泊8日のプログラムを検討中です。事前・事後学習と現地での活動を通して成果物を完成させ、総合型選抜や学校推薦型選抜にも活かすことができます。

●探究部

●フィンランド研修(イメージ)
さらにこの4月より、学校生活における不安や悩みの相談に対応する『学校生活アドバイザー教諭』を設置。クラスに関わる相談内容ではない場合や、「担任の先生以外の意見も聞きたい」と思ったときなどに気軽に相談できる存在です。
学校を「私塾」「道場」と捉える同校特有の“教員と生徒の距離の近さ”はそのままに、一人ひとりが興味や意欲、目標に応じて自ら選択し、可能性を広げられるように。「その主体性を尊重したい」という、生徒への信頼感を礎として金蘭千里の改革は、今後も続いていきます。

4月より、『学校生活アドバイザー』として着任した柿田大先生は職員室に常駐しており、その存在は徐々に浸透しています。着任後の約1カ月間で、クラスの仲間との関係性や委員会活動の活性化、食生活、家庭のルールなどに関する悩み・課題の解決に向けた相談のほか、子どもの学校生活に不安を感じている保護者との面談にも対応しており、「手探りながら、やりがいを感じています」と話します。さらに、全学年の会議に参加していることから、学校全体における情報共有の架け橋になる場面もあり、宮脇先生曰く「スーパーマンのような存在」だそう。生徒・保護者からの相談には担任が中心となって対応するものの、担任の要請に応じてサポートに入ることも重要な役割の一つ。
「担任は他の業務との兼ね合いで、すぐには対応できないことも。いつでもじっくり対応できる教員がいることは心強い限りです」(谷垣先生)
「まずは全校生徒や保護者の方に認知してもらう存在にならなければ。学校運営の原動力となり、多忙な日々を送る先生方の力になれるよう努めていきます」(柿田先生)