左からOさん、Kさん、Mさん。全員がストリートダンスは初心者だったが、そのかっこよさに憧れて入部、WAACKを選んだ。
ダンスチーム名の「Fleur」(フルール)とはフランス語で「花」という意味を持つ。花のように美しく凛としたパフォーマンスが強み。
上宮学園ストリートダンス部は、部員数約100名の大所帯で、チームごとの絆の深さが自慢。同部でWAACK(ワック)と呼ばれるジャンルのダンスに夢中になっている、チーム「Fleur」の3人が、その魅力を思いのままに語り尽くします!
ストリートダンス部に入部した理由やきっかけは?
Mさん
実は、もともとダンスには興味がなかったんですよ。経験もなかったし。でも、ダンス部の校内発表を見て「かっこいい!」と感激したんです。
Kさん
私は逆に、中学生のころからダンス部に興味がありました。当時は他のクラブに入っていたんですが、やっぱり私もダンス部の卒業公演を見て、やってみたいなと。
Oさん
私もみんなと一緒です! 最初は書道部かテニス部に入ろうと思っていました。でも私も、入部説明会で先輩たちのダンスを見て「かっこいいな」と思い、入部を決めました。
ストリートダンスの魅力を教えてください。
練習は、ほぼ毎日。部員が自分たちでメニューやスケジュールを組んで、楽しみながら主体的に取り組んでいる。高校生のみのクラブのため、中学生は部員ではなく練習生としての扱いだが「それでもダンスをやってみたい!」という熱心な生徒が、毎年数名参加している。今回登場してくれたOさんもその一人だ。
Mさん
踊っている本人も、見ている人(観客)も、みんなが楽しめるところだと思います。一緒に盛り上がれる感じが大好きです!
Kさん
同じダンスをしていても、人それぞれスタイルというか強みがあって、自由にそれを発揮できるところです。パワフルさがウリの人とか、しなやかさが魅力の人とか。
Oさん
他のダンスのように、みんなが同じ振り付けで同じ衣装で……というのと違って、どこでも、誰とでも、どんなふうにでも踊れる自由さが好きです。言葉を交わさなくてもダンスを通してつながれる感覚があります。
人それぞれにスタイルや強みがあるという話でしたが、仲間たちのパフォーマンスはどのような部分が魅力だと思いますか?
Kさん・Oさん
Mさんはバレエの経験者だからか、体幹が強くて姿勢がすごくいいんです! ターンのキレとか手先とか、ほんとにビシッとしているんです。
Mさん・Oさん
Kさんはオールマイティーに何でもできるイメージです。あと、シルエットがキレイですね。
Mさん・Kさん
Oさんは、何と言っても表現力が魅力ですね。表情とか「見せ方」がすごく上手いんですよ。
上宮学園ストリートダンス部の強みは何ですか?
普段はニコニコと朗らかな部員たちも、いざ練習が始まると表情は一変。みんなが真剣に取り組んでいる証だ。現在の部員は9割が女子だが、もちろん男子も自由に入部できる。
Mさん
チームのメンバーで、同じ目標(大会など)に向けてみんなで協力し合えるところですね。お互いにアドバイスを送り合ったり、練習でのダンスを動画で撮影して、改善点を一緒に探したり。そのおかげか、仲間同士の絆はとっても深いです。
Kさん
ダンスを楽しむだけではなくて、人生で大切なことを学べていると思います。たとえば練習でも、みんなで「これをやろう!」と決めたことがあるのなら、自分の都合や気分でそれを曲げないとか。
Oさん
3つのダンスジャンルがあって、その中からやりたいものを選べるのは、他校のダンス部とは少し違うかもしれません。それがいい意味でのライバル関係にもなっていて、「(別ジャンルの)あの子の動き、すごい!私らも負けてられへんな!」なんてことがよくあります。
活動の中で、苦労したことや大変だったことはありますか?
ストリートダンス部内で複数のダンスチームが組まれており、大会にはこのチーム単位で参加するのが一般的。学校を代表して、1チームのみが選抜されて出場するケースもある。部全体としての結束力も強いが、チームがそれぞれ良いライバル関係を築いており、切磋琢磨できる環境になっている。
Mさん
より良いパフォーマンスを創るため、チーム内で意見がぶつかることだってあります。気が緩んでいるなと感じたら「もっとやる気を出していこうよ!」と厳しい言葉をかけることもありました。でも、それで人間関係が悪くなるようなことはありません! みんな、ダンスとその他の学校生活は切り分けて考えることができるから、普段はすごく仲良しです。
Kさん
大会では、3つのジャンルにそれぞれのチームがエントリーするんですけど、自分たちのチーム(ジャンル)だけが受賞を逃すこともありました。もう、本当に悔しくて悔しくて! でも、それをバネにできるのが私たちストリートダンス部だと思います。みんなで改善を加えて、「もっと頑張ろう!」という雰囲気になれるんです。
Oさん
ダンスには「これが正解」という表現がないんです。他の採点競技にも言えることだと思いますが、自分たちとしてはめちゃくちゃ頑張ったし、良いパフォーマンスができたと思ったのに、あと一歩で大会での受賞を逃したりとか。そこに難しさと、奥深さを感じますね。
チームで演じるからこその難しさや楽しさは何ですか?
Mさん
自分だけがスキルアップすればいいというわけではない点です。そのためにも、チーム内で遠慮なく意見を言い合える空気を作ることは、大変だけど楽しいです。
Kさん
チーム内で目標や気持ちにずれが出ないようにすることです。いつもそれを確認し合うように気をつけています。
Oさん
「熱量」の測り方かなあ。「私の『頑張る』と、あの子の『頑張る』は基準が違う」ということを忘れずに、一方的な押し付けをしないようにすることです。
ストリートダンス部での経験を、今後にどう生かしたいですか?
Mさん
ダンスは「自分を表現する」ことだと思うんです。だからこれからの人生でも、ダンスに限らずちゃんと「自分を出して」いきたいなと思います。
Kさん
いい人間関係を作ることです。人とのつながりや絆を大事にできる人間になりたいです。
Oさん
チームでの活動を通して、「こんな言い方したら傷つくかな?」とか、人の気持ちをより深く考えられるようになりました。自分の考えや意見の「伝え方」にはすごく生かせると思います。ダンスは高校を卒業してからもずっと続けていきたいです!
ストリートダンスは、アメリカ都市部の路上で生まれたダンスカルチャー。いくつかのジャンルがあり、それぞれに動きの特徴と、発祥となる地域文化を持っています。
上宮学園ストリートダンス部は高校生のみのクラブですが、希望すれば中学生も練習生として参加が可能。同部で取り組んでいるジャンルは「HIP HOP」「LOCK(ロック)」「WAACK(ワック)」の3種類。部員たちは好きなジャンルを選び、その中で10人前後のダンスチームを結成し、イベントでのパフォーマンスや大会での入賞を目指して毎日練習を重ねています。過去には全国大会で優勝したこともある強豪です。
指導は3名のプロダンサーを招いて専門的に技術が学べるほか、顧問の白坂之稔先生もダンス経験者です。白坂先生は「ダンスはとても楽しいものだが、人生の教材の一つとして捉えている。ダンスを通して、問題解決能力や協働力を磨いてほしい」と生徒たちの成長に期待を寄せています。