1957年に創部し60余年の歴史を持ち、京都府で唯一、男子のみで構成されている東山の吹奏楽部には、現在中高生約50名が所属しています。たびたび他校とのコラボレーションを行っており、2024年9月15日(日)に開催された第16回フォーラム『挑戦する私学』では、かねてより交流のある同法人の華頂女子高等学校と合同で、京都駅ビル・室町小路広場のステージに立ち演奏を披露しました。今回はその前日に行われた合同練習を見学。部員たちに、吹奏楽部の魅力についてお話をうかがいました。
お話を聞かせてくれた3人。左より、
高1・Aさん(部長/トロンボーン担当)、中2・Iさん(クラリネット担当)、高2・Yさん(パーカッション担当)
京都駅ビルの大階段にて開催された第16回フォーラム『挑戦する私学』で演奏する生徒たち。華頂女子高等学校とのコラボレーションで、世代を超えて愛されるアニメの主題歌をはじめ4曲を披露。
●吹奏楽部に入部した理由は?
Yさん 中学では野球をしていたのですが、高校では違うことに取り組みたいと思っていました。小さい頃にピアノを習っていたこともあり、「音楽がいいな」と思って体験入部。先輩方がいい人ばかりだったことが決め手でした。
Iさん いろいろなクラブに体験入部して、特に魅力を感じたのが吹奏楽部の雰囲気でした。普段は和気あいあいとしていて、ここぞという時にはぴりっとした空気で取り組めるところがいいなと思います。
Aさん 音楽に興味があり、Yさんと同じで先輩方の人柄に惹かれて入部しました。皆がイキイキと演奏を楽しんでいる雰囲気が好き。部長として、厳しすぎず、でもダラダラしない、メリハリのある雰囲気を大切にしたいです。
●他校とコラボレーションする魅力は?
Aさん 隣にいつもと違う人がいて、新鮮な気持ちで演奏できるところです。コンクールの練習や予選の録音などもあり、『挑戦する私学』のステージに向けた合同練習は、今日が最初で最後の1回のみ。各自で練習を重ねていますし、東山では1カ月前から合奏もしてきたので、音を合わせるのが楽しみです。
Yさん 同じ曲でも、指導される先生によって仕上がりが変わるところが面白いなと思います。合同演奏は人数が増えて、普段よりも迫力が増すので気持ちがいいです。
華頂女子高等学校吹奏楽部との合同練習は、両校部長のあいさつからスタート。Aさんが手を叩いて合図をするとピタッと音がやみ、全員が正面に注目。
合奏前に、1時間のパート練習を実施。どのパートも、最初に自己紹介と雑談のアイスブレイクを取り入れ、雰囲気づくりからスタート。東山の高校生が積極的に、「じゃあ次は、好きな食べ物を言いましょう」など、リードして場をあたためる。「明日が本番」という焦りから、早く練習に移ろうとする後輩に、「この時間が大切なんだよ」
とやさしく声をかける先輩の姿が印象的。ほどよくリラックスした雰囲気に包まれての演奏は、初めての合同練習とは思えないほど息がぴったり!
クラリネットのパート練習では、中2のIさんがまとめ役に。メトロノームを用意したり、「この曲からでいいですか?」と皆に聞いたりしながら、落ち着いて進めていく。
●勉強と吹奏楽部の両立で工夫は?
Iさん しっかり考え定着させることを意識して課題に取り組むことで、効率化を図っています。中1の頃に比べるとスムーズに両立できるようになりました。苦手な英語をもっと頑張りたいです。
Aさん 音楽が好きで、音楽を学びたいという思いもあるので、時間が足りないというのが正直なところです(笑)。日々、学校で完結させることを目標に、授業を大切にしています。
Yさん 吹奏楽部では平日2時間に加え、土曜も練習がありますが、これまで成績をキープしてきました。高1の冬からは日々の勉強時間を増やしてさらなる成績アップを目指しています。
●吹奏楽を通して得たものは?
Yさん 心地よい上下関係のもと活動する経験ができたことで、音楽が大好きになりました。心から楽しめるるものがあることは、人生における一つの財産になると思っています。
Iさん 入部するまでは興味のなかった音楽が、大学でも、社会人になっても関わっていくかもと感じられる存在になったこと。音楽に関わる仕事に就くことも視野に入れるまでになりました。
Aさん 想像以上にトロンボーンに夢中になっている自分がいます。これまでは何事にも中途半端で、ここまで一つのことに本気になれたのは初めて。吹奏楽部に入ったからこそだと思います。
自由な雰囲気に満ちていたのが、リズムの核となるパーカッションの練習。
Yさんがドラムを叩き始めると、合わせて周りも音を出し始め、たちまち躍動感とライブ感があふれるサウンドに包まれる!
●今後の目標を聞かせてください。
Yさん 高3の7月にある『京都府吹奏楽コンクール』で金賞を獲ること。活動の集大成として、悔いが残らないように頑張りたいです。
Aさん 団体ではもちろん、個人のコンクールでも結果を残したいという思いがあります。
Iさん 入部してから高校生の先輩には、音楽について教えてもらったり、いろいろな相談に乗ってもらったりと、本当にお世話になっています。『京都府吹奏楽コンクール』は、そんな先輩方の最後のステージ。最高の思い出となるように、金賞を目指します!
担当の楽器を持って撮影。「ポーズはこんな感じでいいですか?」とひざまずく2人の先輩を見て、中2のIさんも満面の笑みで対応。
ちょっとしたやりとりからも、先輩・後輩の仲の良さが伝わってくる。「これがうちの吹奏楽部です!」( 高2 ・Aさん)