2024年度からコースを改編し『SOARグローバルサイエンス(GS)』『SOAR探究』の2コース体制となった武庫川女子大学附属。私立の女子校として初のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定を受け、以来、3期十数年にわたってSSHとしての実績を積み上げ“理数教育に強い女子校”としての地位を不動のものにしてきました。
そこで、一定の成果や知の蓄積も残せたことからあえて4期目の指定を受けず、さらに独自の教育を追求するために整備されたのが今回の新コースです。従来のコースでは、中学入学時にある程度「超理系」「文理系」に分かれる編成となっていました。
その効果は着実に出ていましたが、入学時に文理選択をしなければいけないという側面があります。そこで、まずは「文理ともにしっかり学ぶなかで、自分の進む道や探究したいことを見つけ、広げる」というコンセプトで、新コースを船出させたのです。
その理念に基づき、探究学習や校外研修などは両コース共通のものが多くなっています。ここに、『SOAR GS』は+αとして「グローバル」「サイエンス」に関心が持てるようなツアーが盛り込まれていることが特徴です。
①中学修学旅行(九州)
①中学修学旅行(九州)
中学の修学旅行は九州へ。修学旅行を含めた宿泊研修は、全学年で必ず組まれており、学年が進むごとに泊数が増えたり、遠方になったりといった設定になっている。探究心を養うにあたり、少しずつ“世界”を広げていくというねらいがある。
②高校修学旅行(北海道)
北海道への高校修学旅行は高3で実施されることが特徴。生徒の8割が武庫川女子大学に進学するという、中高大一貫校ならではの強みだと言える。
③校外研修
関西圏各地でフィールドワークに挑戦する『校外研修』。ただし高2のみ行き先が決まっておらず、生徒が自分たちで企画・プレゼンをして場所や活動内容を決める。移動距離や所要時間、費用などのファクターも念頭に、学びとして意義高く、かつ実現可能なプランを考案しなければならない。
②高校修学旅行(北海道)
③校外研修
コース独自のカリキュラムが目立つようになるのは主に高2から。『SOAR GS』はこのあたりから文理が明確になり、模擬国連や英語ディベート大会などに挑戦する「グローバル探究」と、SSH事業で培った学習環境を活かし、生徒が独自に(サイエンス系の)研究テーマを設定して深める「課題研究」に分かれます。
一方の『SOAR探究』は、武庫川女子大学の経営学部・教育学部と連携し、ゼミ形式で社会問題やサスティナビリティ分野への考究を深められることが魅力です。
いずれも、探究を中心にしながら「社会との密な関わり」を大切にしており、自分がどう生きていきたいのか、それを社会や仕事とどう結びつけていくのかを見つける学びを目指しています。コース名に冠した“SOAR”とは「舞い上がる」という意味。生徒たちが自分で自分の学びをデザインし、将来に羽ばたいていけるように、という願いが込められているのです。
⑦短期留学(中2~高3)
④グローバル研修(中2・中3)
中2・中3の希望者が参加できる『グローバル研修』。隔年でタイとアメリカを訪れているため、両方参加することも可能。タイではホームステイ、アメリカではMUSC(武庫川女子大学の分校)で学生用シェアハウス(寮)に滞在し、同地の学校で学ぶ。タイでホームステイができるのは、中高の海外研修プログラムとしてもめずらしいケース。
⑤グローバル研修(高1・高2)
高校の『グローバル研修』(高1・高2)は、中学と同じく隔年で、北欧(デンマーク・スウェーデン・フィンランド)またはオーストラリアに滞在する。北欧ではウェルビーイングな好循環型社会のあり方を学ぶほか、オーストラリアでは英語学習や文化学習、海洋環境学習などが中心となる。
⑥MUSC研修(SOAR GS/中3)
『MUSC研修』は、『SOAR GS』中3対象の必修プログラムで、アメリカのMUSCの寮に寄宿する。近郊にあるボーイング社の見学など、航空工学や宇宙工学を念頭にした、よりコースらしいプログラムが組まれていることが特徴。
⑦短期留学(中2~高3)
中2~高3の希望者対象に設定された短期留学。2~3週間の滞在期間で、行き先はアイルランド・フィンランド・ニュージーランド・アメリカ・オーストラリア・タイから選択可能。
④グローバル研修(中2・中3)
⑤グローバル研修(高1・高2)
⑥MUSC研修(SOAR GS/中3)
⑧ゼミ活動(SOAR探究/高2)
⑧ゼミ活動(SOAR探究/高2)
武庫川女子大学経営学部・教育学部と連携する高2ゼミ活動は、『SOAR探究』独自の取り組み。経営学部はコンビニエンスストア、FCチェーン、飲料メーカー、ソフトウェアメーカーなどと連携、教育学部は特別支援教育、保育、生活とアート、食とSDGsなどのテーマで、共にサスティナビリティ推進や社会問題の解決に取り組む。
⑨イチゴ・サツマイモ栽培(中1・中2)
中1~中2では、地元の農作物であるイチゴやサツマイモの栽培に挑戦。最初は農作業に抵抗を示していた生徒もだんだん慣れてきて、土まみれになって楽しみながら汗を流すようになる姿が見られるという。
⑩探究発表
探究の成果は、10月の「中間発表会」と1月の「探究発表会」でお披露目(プレゼン)される。以前はSSHの生徒だけが研究発表の場を持っていたが、それをコース改編に伴って拡大。留学やグローバル研修など、他の学びの経験にも発表の機会を開放するようになった。そうした発表が刺激になり「私もその活動に参加してみたい!」という生徒も増えるのだそう。
⑨イチゴ・サツマイモ栽培(中1・中2)
⑩探究発表