清々しい秋晴れに恵まれた2023年10月、StageⅡ(小5~中2)の体育祭が開催されました。
体育祭は3年前から、小・中・高の12学年をStageⅠ・Ⅱ・Ⅲの三つに分け、それぞれのStageで実施するという形をとっています。もちろん、伝統の「生徒主体で運営する」スタイルは健在。各Stageの体育祭実行委員が中心となって、招集・誘導、アナウンス、審判、得点などの部署を設け、各部署をまとめるヘッドを選出し、4学年が連携して創り上げていきます。
「皆をリードする人、それをサポートする人、応援する人など、一人ひとりが自分の使命・役割を考えて、行動するようになります。さらに、学年の枠を超え一丸となって目標に向かうので、皆で大きな達成感を得られます」 (保健体育科・藤本由希先生)
体育祭実行委員長による選手宣誓。「学院創立100周年にふさわしく、悔いの残らないように、最後まで全力で戦い抜くことを誓います」。各学年のスローガンは、5年生は個性ある皆が力を合わせることを目指す「十紫万紅」、6年生は勇気を出して戦う決意を込めた「力戦奮橙」、7年生は世界一強い意志で取り組むという思いを表す「海内冠冕」、8年生はさらに強い力が加わることを意味する「虎に翼」を掲げた。
さらに、Stageの枠を超えた交流も盛んです。StageⅡ(小5~中2)の児童・生徒たちは本番に先駆け、StageⅢ(中3~高3)の体育祭を見学しました。これは先輩たちの姿を目の当たりにすることで、「StageⅡの体育祭がゴールではない」という、児童・生徒の心の成長を願う教員からのメッセージなのです。
また、StageⅡの体育祭当日は、StageⅢの実行委員長や各部署のヘッドがサポートに入ります。ここぞというときに指示を出したり、困っている後輩のそばに駆け寄って支えてくれる姿は頼もしい限り。StageⅡの児童・生徒からは、「先輩のようになりたいという目標が見つかりました」「StageⅢの先輩が見えないところでさりげなく支えてくださり、感謝しています」といった言葉が聞かれ、異学年交流の意義の深さを実感しました。
重いマットや平均台も生徒自身が運び準備を整えた[障害物競走] 。「エントリーしている生徒が、競技運営の担当で出場できない!」というハプニングがあったものの、サポートの12年生が教員に相談して適切に対応。
この日一番の盛り上がりを見せたのが、予選と決勝が行われた[ スウェーデンリレー]。
当日は各部署において、「これは私がやるね」「この仕事はお願いしていい?」など声をかけ合い協力しなが
ら、スムーズな進行のために力を尽くす光景が見られました。特に印象深かったのは、学年対抗でありながらも、他学年にも声援と拍手を送る生徒たちの姿です。棚瀬佐知子校長が開会のあいさつで語った、「互いに称え合い、高め合える、今までとは違う自分自身へ成長してほしい」という思いが生徒たちに伝わったのか、自然と行動に反映されていました。
自分も他者もかけがえのない存在として大切にする。100年変わらず連綿と受け継がれるその精神を、肌で感じられる一日となりました。
皆が競技の行方に注目する傍らで、アナウンスを担当する児童が小さな声で練習していたり、次の競技のために器具を運んだり、得点係が連携して計算をしたり。それぞれの役割に力を尽くし、主体的に行動する姿が印象的だった。体育祭実行委員長を中心としたミーティングは夏休み前からスタート。
「自分たちでやりと遂げたという達成感を味わえるように、教員は必要に応じて助言をしながら、見守るスタンスに徹しています。」(藤本先生)
7年生(中1)・Aさん/第2期StageⅡ体育委員長(左)
体育祭実行委員長を支える存在として、自分にできることを考えて務めました。予行演習は時間のロスが多く、進行に苦労しました。その反省を生かして、当日は「見に来てくださっている方々を待たせることのないように」ということを心がけて行動。スムーズに進めることができました。
8年生(中2)・Fさん/StageⅡ体育祭実行委員長(中央)
第1期StageⅡ体育委員長で、体育祭の運営に携わったのは2年目。昨年は周囲を頼れずに何でも一人で背負ってしまいましたが、今年は“一人じゃない”という安心感を持って行動できました。何事も皆と一緒に考え、各部署の業務もヘッドに任せて、自分はいざというときに動けるようにという意識で行動できたと思います。12年の先輩方が小学生の招集・誘導をサポートしてくださり、とても助かりました。
12年生(高3)・Hさん/StageⅢ体育委員長(右)
StageⅢのヘッドを中心とした約10名でStageⅡ体育祭をサポート。何が起きても対応できるように進行を頭に入れ、助けすぎないように、予行演習で大変だったという小学生の招集・誘導に力を入れました。後輩たち一人ひとりが学年のために一生けんめいに取り組む姿が印象的でした。競技と運営、両方に携わることで2倍の達成感を得られたのではないでしょうか。役割をきちんとこなすことで、小林聖心の生徒の特徴でもある主体性・積極性と、責任感が育まれることを、改めて実感する機会となりました。