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進学通信

2023年9月

The Voice 校長インタビュー
聖徳太子の教えを土台に 「女子校だからできる教育」を実践

中川章治 校長先生
大阪府大阪市出身。1989年に四天王寺高等学校・四天王寺中学校の国語科教師となり、
2014年に入学対策部長、2020年から高校教頭を務め、四天王寺高等学校・四天王寺中学校での34年の教師歴を経て今春、現職に就いた。

公開日2023/11/13
「女子にも教育を」から「女子に合わせた教育」へ

 本校のアイデンティティを語るうえで、柱となるものが二つあります。「女子校」であること、そして「仏教校」であることです。これらはそれぞれに独立した概念ではありません。相互に影響を与え合っている関係性だと言えるでしょう。そのどちらも欠けてはならず、ともに存在してこその「四天王寺」なのです。

 そもそも女子校であることとは、女子教育とは何でしょうか。かつて、当初における女子教育は、「女子〝にも〟教育を」という考えに基づいていました。「女性は家庭に入るもの」「良妻賢母」などという価値観の時代において、当初の女子教育は裁縫などの家庭科教育が中心であったと思います。やがてそれが「男子と同じ教育を」という考えに発展していきました。
 現代に至り、女子教育は新たな段階に至っています。「女子にも」や「男子と同じように」ではなく、「女子だから」できる、つまり「女子の特性に合わせた教育」を大切にするようになったのです。

 たとえばそれは、リーダーシップのあり方にも表れています。従来の、ぐいぐいと皆を引っ張るカリスマ型リーダーのイメージではなく、仲間を支え励ましていく、民主的なリーダーシップが重視されるようになりました。これこそ典型的な女性の特性を活かしたリーダー像であり、それを育てるのもまた女子教育の意義。つまり「女子に合わせた教育」であり、本校が目指す「女子校だからこそできる」教育実践なのです。

 さらに、女子教育の良さは、ジェンダー的なフィルターがないことでしょう。たとえば文化祭の準備をするとしても、力仕事もすべて自分たちでこなすなど、女子校ではすべての体験が「自分ごと」になります。そのような環境下ですから、失敗し
ても恥ずかしくありません。たくさん挑戦して失敗しながら、自分のやりたいことを見つけていけばよいのです。その失敗経験こそ、社会で活きる力になっていくはず。ある意味、成功より大切な経験だと思います。何事も「とりあえずやってみよう」という精神が培われやすいのも、女子校の魅力ですね。

女子校ゆえの理系志望者の多さ

 理系学問を志す生徒が多いことも本校の特徴ですが、そこにも女子校であることの影響が表れていると感じます。実は全国的にも私立女子校は、理系志望者が多くなるというユニークな傾向が見られるのです。

 一般的に男子は、短距離的な学び方を好みます。合理的に手早く学んでいくスタイルです。それが理系学問との相性の良さを生み出しているのかもしれません。しかし共学校でそれと同じ学び方を女子に強いてしまうと、「やっぱり理系は男子向き」と考え、もともと理系科目が好きだった女子生徒が文系に転向してしまう、というケースも増えるのです。女子は一歩ずつ、着実に理解しながら学ぶ傾向にあります。そして、そうした学び方ができる環境であるのが女子校です。生徒たちは厳しい中学受験を乗り越え、もともと理系教科にも相応の学力の下地を持っているのですから、それをそのまま伸ばせばよいだけ。本校生徒の医師薬系学部への大学進学率の高さに注目をいただくことが多いですが、それこそ女子らしさをありのまま伸ばす、女子校教育の成果そのものだと思っています。

海外体験を豊富に設け共感力を活かして同世代に学ぶ

 また本校では、グローバル社会で活躍する女性の育成を目指し、英語力と国際的視野を養うため、豊富な英語教育プログラムを設けています。ALT や検定取得のための特別講座の充実、オンライン英会話などで語学力を磨きます。さらに海外研修として、修学旅行では中学で台湾、高校でシンガポール(北海道との選択制)、さらにオーストラリアでホームステイをしながらの語学研修、世界屈指の名門女子校「チェルトナム・レディース・カレッジ」(イギリス)の寮生活をしながら学ぶグローバル研修などを実施しています。

 いずれも現地の生徒たちと深く交流できることが魅力です。共感力が強いことは女性の特性ですから、海外で暮らしている、自分とは異なるバックグラウンドで生きる同年代の女子がどんなことを考え、どんなことを学んでいるのか知り、何かを感じ取ってもらいたいのです。

もう一度受けたい授業ナンバーワンは「仏教」

 最後に、仏教校として、やはり本校の根底にあるのは「心の教育」でしょう。聖徳太子の教えに基づき、慈愛の心で人や社会に貢献する人物を育てたいと考えています。仏教に対する一般的な先入観として、どこか地味で暗いイメージを持たれることがありますが、実はそんなことはありません。仏教とは生き方の教えであり、優しく元気に明るく生きていくことの尊さを説いています。その指針は生徒たちの心の中に、生きていくうえでの「お守り」を作るのです。

 そしてこのような慈しみの精神は、女性が本来持っている「母性」とも通ずるもの。授業や課外活動においても仏教的な行事や講話を取り入れていますが、実は大人になった卒業生たちの多くが「もう一度受けたい授業は『仏教』です」と口にする
ことが多いのです。中高時代には理解できなかったことも、社会に出て経験を積むことで、「あの教えは、こういうことだったのか」と改めて気づくようです。デジタル全盛時代になっても、いえ、そんな時代だからこそ、これからも人の心を大事にする教育を実践していきたいですね。