興味・関心が生まれる空間「ポート」
2019年竣工のキャンパス『スマートパレット』は、「いつでもどこでも学べる」がコンセプト。「本は図書室に」「授業中は静かに」といった従来の“当たり前”を打ち破る、開放的な空間となっています。その根底にあるのは、絵の具が混じり合い、さまざまな色が生まれる、パレットのような場でありたいという思い。個性を認め合い、活かし合い、新たな価値を創造する教育へ。斬新な発想が散りばめられた校舎は、一人ひとりの確かな成長と“もう一歩先の多様性”の実現を願う同校の、あくなき挑戦の象徴です。
船を思わせる、ゆるやかな曲線を描く外観が特徴的。白を基調とした空間は、自由な発想で自分の色を増やしていく“キャンバス”であり、絵の具のようにカラフルな個性が混じり合い、新しい価値を生み出していく“パレット”でもある。
学校全体を図書室に、という試みとして設置された「ポート」は、興味の幅を広げるきっかけを創出する場。グローバル、サイエンスなどフロアごとにテーマが異なり、新刊の書籍や雑誌はもちろん、話題の分野や学習テーマに関わる本も、自然と目に触れるように工夫されている。友だちを待ちながら立ち読み感覚で手に取ったり、昼休みに読書を楽しんだりと、それぞれのスタイルで本に触れるフリースペースとして定着。
教室は単に話を聞いたりノートを写したりする場ではなく、“活動する場”と位置づける同校。最大の特徴は、その“明るさ”。グループワークを想定し、机をどのように配置しても手元が暗くならないように計算された照明となっている。ドアは開けたままが基本スタイル。これにより徐々に隣の教室の声や音が気にならなくなり、目の前のことに集中する力が養われる。
教室と教室を結ぶ役割を果たす「キャナル」。教室と同じ床材にすることで一体感を持たせ、もう一つの教室として活用しているため、授業中もグループワークなどに取り組む生徒で賑わう。
教員による説明や解説と板書の時間を減らし、生徒が考えたり、グループでディスカッションする時間を確保すべく、あえて小さなサイズのホワイトボードを設置。教員によるICTの活用を促し、“活動する場”にふさわしい授業を追求している。
階段には、自由に書き込めるホワイトボードを設置。生徒がクラブの試合の案内を書いたり、数学の教員が“生徒への挑戦状”として問題を書いたり、未来の自分に宛てた手紙や美術の作品、学びの成果を掲示したりと、発信の場として幅広く活用されている。
各フロアに設置されている「ティーチャーステーション」は、教員が授業の準備などを行うオープンな空間。「生徒と教員がコミュニケーションを取りやすく、わからないことは教え合い、間違っていたら素直に謝れるような、対等な関係を築けるように」という思いが込められている。生徒が教員に気軽に話しかけることができ、自然と距離が近くなるので、相談や質問をしやすいと好評。
天井が高く開放感のある、前面が鏡張りの「アトリエゼロ」は、自己表現の場。体育のダンスの授業や、学年全員が集まる中学の「フォーラム」、高校の『表現コミュニケーション』の授業のほか、プレゼンテーション会場としても使用される。
広い空と心地良い風に包まれる、まるで船のデッキのような開放的なスペース。ランチやおしゃべりを楽しむ生徒も多い。