
関西大学中等部では、すべての学びのベースとなる〝思考力〟と〝高い人間力〟を育むために探究学習の一貫として、宿泊研修を実施しています。2022年度は、中1は『琵琶湖宿泊研修』(1泊2日)、中2は『日置川宿泊研修』(2泊3日)、中3は『沖縄宿泊研修』(3泊4日)を行いました。
学年ごとの宿泊研修には明確な目的が掲げられていますが、特筆すべきは、その内容を踏まえつつ、一人ひとりが自分の頑張りたいことや実践したいことを具体的に思い描き、意識しながら臨んでいる点にあります。学級委員を務めた生徒たちは次のように話します。
「皆の自由時間をできるだけ多く確保できるように、点呼や説明を素早くていねいにすることを心がけました」(中1・Yくん)
「〝ルールや礼儀を重んじる〟という目標を、民泊先で実践することができたと思います」(中2・Kくん)
「集団生活では、時間を守ること、皆の意見を聞くことが大切。宿泊研修を通して、それができるようになったと感じます」(中3・Tさん)
『宿泊研修』は、貴重な体験や多くの挑戦を通して視野を広げるとともに、自信を得て、次のステップへと進む 〝さらなる成長の起点〟となっているのです。

「いかだ作りでクラスが一致団結!」(中1・Yくん)

「何もかもが初めての経験」(中2・Kくん)

「沖縄の海を堪能。きれいで感動!」(中3・Tさん)

中1からサッカー部に所属。「未経験からのスタートなので、技術の向上を日々感じることができます」。目下の目標は、パスの精度アップ。

小学生の頃からリーダーシップを磨くことに力を注ぎ、学級委員長などを経験。中1では生徒会の総務を務め、中2の10月、生徒会長に就任した。

音楽が好きで、日々、歌やダンス、作詞・作曲に取り組む。現在の目標は「中等部での最後のクラスイベントを成功させること」。
『休暇村 近江八幡』で実施された宿泊研修では、チームでいろいろなことに取り組んだそうですね。
Yくん
最初に行ったのが、学年レクリエーションの「大縄跳び」です。上手くいかなくても「皆で頑張ろう」という雰囲気が漂っていて、チームワークの良さを実感しました。「チームビルディング」では、各クラス2チームに分かれて、鬼ごっこなど、さまざまな遊びに取り組みました。普段大勢で遊ぶことはなかなかないので楽しかったですし、身体を動かすことで心地よい充実感を得ることができました。
メインイベントとも言えるのが、2日目の「冒険いかだ作り体験」ですね。感想を教えてください。
Yくん
土台を固定する縄の結び方が難しく、とても大変だったのが印象に残っています。それでも皆で助け合いながら作り上げることができましたし、その後のクラス対抗いかだリレーでは、クラスメイトと「頑張ろう」と声をかけ合いました。いかだ作りで一致団結したことで仲良くなれたのだと思います。
クラス全体にとって有意義な時間になったのですね。Y くんにとっては、どのような2日間でしたか?
Yくん
積極性を発揮できたと感じています。宿泊研修は入学したばかりの5月だったので、あまり話したことのないクラスメイトもいたのですが、自ら話しかけることで仲を深めることができました。
健康チェックは保健美化委員、学年レクリエーションは体育委員など、役割分担もあったようですが、学級委員だったY くんは、どのようなことを心がけていましたか?
Yくん
皆がより楽しめるように行動することです。学級委員の仕事の一つに、出発時や食事の時に行う点呼があります。班長からの報告内容を覚えるのに苦心したものの、皆の楽しい時間を少しでも増やしたいと思い、スムーズに終わらせることに努めました。いろいろな活動をするなかで、クラスの雰囲気を良くするためには、まとめる力が大切だと気づいたのですが、その役割は果たせたかなと思っています。
今後、頑張りたいことはありますか?
Yくん
今回の宿泊研修で、自分には一歩下がって全体を見る力が少し足りないかなと感じました。これからは、その部分を磨いていきたいです。
学年レクリエーションの「大縄跳び」、開放感あふれる自然の中で行った「チームビルディング」。「自分たちで行事を作り上げる成功体験を得る」ことも『中1宿泊研修』の目的の一つ。
『冒険いかだ作り体験』は「自主的に行動する力を身につける」「対人関係のコミュニケーションを深める」などの目的で行われたこの研修のメインイベント。団結力が大きなポイント。
『日置川宿泊研修』では、民泊を実施していますよね。
Kくん
2日間とも数人ずつ、同じご家庭に泊まり、農作業などの家業や家事のお手伝いをしたり、一緒に食事をするなど、生活をともにします。僕は夕食の準備を手伝い、天ぷらを揚げました。現地で採れた山菜などが材料で、地産地消を肌で感じることができました。
民泊先のご家族とは楽しく過ごせましたか?
Kくん
今回の宿泊研修の目標の一つとして挙がっていたのが、「ルール・礼儀を意識し、自分で考えて行動すること」。僕は人見知りを克服しようと思い、民宿先のご家族に自分から積極的に話しかけるように心がけました。班長として、他の人のお手本になれるように意識して行動できたと思います。和やかな雰囲気で夕食を楽しむことができました。
2日目は丸一日、体験学習活動(5つのコースから選択)をされたのですよね。
Kくん
僕は備長炭に興味があったので、「紀州備長炭作業・紀州備長炭風鈴作り」を選びました。
午前中は生産者の方から説明を受けて、薪割りなどを体験。午後からは備長炭を使った風鈴作りに取り組みました。特に印象深かったのは薪割りです。上手く割るためには力だけではなく、斧の持ち方や、どこに当てるかということも重要なのだと知りました。実際にやってみなければ知ることができないことばかりでした。
体験学習活動は、2月に校内で実施予定の「日置川物産展」につながると聞いています。
Kくん
3日目には生産者の方々と「物産展ミーティング」を行い、日置川の活性化に向けて、どのような形で売ればよいかを話し合いました。備長炭には消臭効果や遠赤外線効果などがあります。ご飯を炊く時に入れたり、お風呂に浮かべたりと幅広い使い方ができるように、加工前の形で売ろうということになりました。今、準備を進めているところです。
K くんにとってどのような2泊3日となりましたか?
Kくん
民泊先のご家族、班のメンバー同士の関係性を良くするために自主的に行動することで、自分なりに人間力が向上したと感じます。僕自身の「皆の意見をまとめ、一緒に実現していく、リーダー的存在になる」という目標が達成できました。中3の研修旅行に向けて、これからも積極的に行動する姿勢を大切にしたいと思います。

グループに分かれて現地のご家庭にお世話になる民泊を実施。

2日目の体験学習活動「小鷹網漁・藍染め」。
2日目の体験学習活動は、「紀州備長炭作業・紀州備長炭風鈴作り」「森林間伐・木工品製作体験」「梅剪定、ジュース作り・梅ジャム作り」「小鷹網漁・藍染め」「みそ作り体験・波止場釣り」から選択。現地の方々にていねいにレクチャーしていただきながら挑戦!
一番印象に残っていることを教えてください。
Tさん
1日目の平和学習です。ひめゆり平和祈念資料館を訪れた後、沖縄県営平和祈念公園を訪れました。平和祈念公園
は、穏やかさと温かさに満ちた場所だったので、この地で資料館の映像で見た悲惨な出来事があったということが、信じられないくらいでした。その悲惨さは、遺されたものを通してしか知ることができません。「平和を守っていかなければならない」と強く思う、貴重な機会となりました。
沖縄の自然を満喫する機会も多かったようですね
Tさん
2日目のマリン体験は、海がとてもきれいで、アクティビティを存分に楽しめました。『美ら海水族館』では、海洋ゴミに関する展示が印象に残っています。『北谷アメリカンビレッジ』ではアメリカ人の方に英語でインタビューを行い沖縄の良さを話してもらいました。現在の探究学習では、沖縄の魅力を伝えるCM 作りに取り組んでいます。
学級委員としての役割は大変でしたか?
Tさん
集合時や、就寝前の点呼・体調確認を行ったり、夜には翌日のスケジュール確認などをする学級委員会議に参加し
ました。学級委員という仕事の魅力は、「クラスのために何かしたい」という思いを、行動に移せるところ。私は中2から学級委員を務めているのですが、宿泊研修のような大きな行事があるたびに、より良いものにするために試行錯誤を重ねていく過程や、クラスメイトが協力してついてきてくれるところに、やりがいを感じています。宿泊研修でも、クラスメイトがねぎらいの声をかけてくれたりしたので、気持ちよく仕事ができました。
T さんにとってどのような3泊4日でしたか?
Tさん
以前は自分を優先してしまうところがあったのですが、学級委員を務めるようになってからは、まずクラスのこと
を考える時間が多くなりました。学級委員は各クラスに2名いるので、たとえば宿泊研修に向けては、皆の自由時間を少しでも増やせるように、「点呼を早く済ませよう」と2人で相談していました。人のために行動できるようになったなと実感する機会になったと思います。

平和学習からスタートした『沖縄宿泊研修』は、「太平洋戦争で激戦地となった場所で、戦争の悲惨さ、非人間性を知るとともに、人権尊重の心を持つ」ことを目的としている。

ホテルのプライベートビーチで、カヌー・ペダルボート、シュノーケリング、ロケットボートを体験。

『体験王国 むら咲むら』では、「Tシャツプリント」「シーサーの色つけ」「ジェルキャンドル作り」「フォトフレーム作り」からいずれか一つを選んで参加。「私はフォトフレーム作りに参加。フレームを貝やシーグラスでデコレーションしました」(T さん)

最終日は、航空機の機体整備工場見学ツアーへ。想像以上の旅客機の大きさに圧倒された。