進学通信

2023年3月

NEWS & TOPICS
第5回『ビブリオバトル』開催!
自らの表現力を磨くとともに
他者の意見・価値観を知り視野が広がる

公開日2023/4/20
ビブリオバトル探究ゼミ担当・岩瀬亮介先生。

ビブリオバトル探究ゼミ担当・岩瀬亮介先生。

創立以来、“確かな学力”“豊かな人間性”“健康な体力”を備えた、人生を切り拓く勇気と実行力を持つ「自立型人間の育成」のための教育を実践する雲雀丘学園。受け継がれる「やってみなはれ」というチャレンジ精神のもと、これらの「生きる力」を高めるために、多彩な探究学習に取り組んでいます。
知識を習得・活用する『探究』の授業のほか、大学や企業など学外と連携した『探究プロジェクト』、有志の教員が校内で行う『探究ゼミ』など、学びの場は多彩。参加自由のため、生徒たちは自分の興味・関心に沿って主体的に取り組み、学びを追求しています。

2022 年10月27日の放課後、図書館で『2022 年度・第5回ビブリオバトル』が開催されました。『ビブリオバトル』は探究ゼミの一つで、「プレゼンテーション力の向上」「本と出会い、人と出会う」ことを目的に開講されています。 
『ビブリオバトル』とは、本を通じたコミュニケーションゲームのこと。自分が面白いと感じた本を持って集まったバトラー(参加者)たちが、発表(5分)・ディスカッション(3分)を行い、「どの本が一番読みたくなったか」を基準に一人一票投票し、最多票を集めたチャンプ本を決めるというルールで行われます。

この日の“チャンプ本”は、中3・Nくんが紹介した『インスタ映えする戦国時代』。戦国時代の史実にSNSを絡めて人気が出たツイッターのコンテンツを一冊にまとめたものです。

この日の“チャンプ本”は、中3・Nくんが紹介した『インスタ映えする戦国時代』。戦国時代の史実にSNSを絡めて人気が出たツイッターのコンテンツを一冊にまとめたものです。

放課後、2022 年3月に完成した新文化館『道しるべ』の図書館に生徒が集まってきました。この日はなんと8人ものバトラーが参戦。参加者はゼミ生からの立候補となり、毎回、参加者数も学年も異なります。

ゼミ担当・岩瀬亮介先生の開会のあいさつの後、トップバッターの中3・K さんから発表がスタート。K さんは、岩瀬先生の国語の授業で論語を学んで興味を持ち、『超訳論語革命の言葉』を紹介。“好きな論語”と“納得できない論語”について熱く語りました。続く中3・J さんが紹介したのは『人間失格』。研修で青森県の太宰治の生家『斜陽館』を訪ねる予定があり、今から楽しみにしているそうです。中3・K さんは『図書館戦争』を手に、“表現の自由”がテーマとなっている同書の魅力を語りました。

次いで前回のチャンプ本を紹介した強者、高1・H さんの今回のおすすめは『超現代語訳 戦国時代』。「関ヶ原の戦いを知っていますか?」という語りかけから始まり、参加者の関心を引きつけました。中1・O さんは、古道具屋を舞台に、主人公が古道具にまつわる不思議なエピソードを客に話して聞かせる『不思議を売る男』の魅力を最年少とは思えない落ち着いた口調で伝えます。同じく最年少の中1・A さんは、ちびまるこちゃんの作者・さくらももこさんのエッセイ『さくらえび』を紹介。大人になったまるちゃん(作者)や両親との関係などをちびまるこちゃんの登場人物と対比させながらその面白さを話します。
中3・N くんのおすすめ本は、『インスタ映えする戦国時代』。「本能寺の変の前日にYahoo !知恵袋で相談する明智光秀」など、歴史的な事実と現代のICT 技術や言い回しを絡めることで、何回読んでも新しい発見があるとアピールしていました。


今回のバトラーたちのオススメ本。「皆に紹介したいと思う本であれば、ジャンルを問わないのが『ビブリオバトル』の面白さでもあります。たとえば今回のチャンプ本『インスタ映えする戦国時代』はSNSと絡めることで、普段読書をあまりしない人たちの関心も引きそうですね」

図書館には、中高図書委員約60名による『本の推しの一行』『推したくなった理由』をはじめ、『貸し出しランキング』『新着図書』の情報を貼りだした掲示板もあり、活発な図書活動を行っているのがわかる。

ビブリオバトル』の発表のようす。台本は用意せず、皆の反応を見ながら話を進めていくので、その場での判断力・伝達力も重要になってくる。


兵庫県ビブリオバトル高校生大会に出場する高2・Yくん。<br />
「本を読むことが大好きで、分野を問わずに読んでいます。今日の発表で最初に歌ったのは、どうすれば出だしから皆の心をつかめるのか考えたからです。歌詞は、本の裏表紙に書いてあるあらすじの一部で、即興でメロディーをつけました。兵庫県ビブリオバトル高校生大会では、『死神の精度』か『屈辱の数学史』という本のどちらにするか迷っています」

兵庫県ビブリオバトル高校生大会に出場する高2・Yくん。
「本を読むことが大好きで、分野を問わずに読んでいます。今日の発表で最初に歌ったのは、どうすれば出だしから皆の心をつかめるのか考えたからです。歌詞は、本の裏表紙に書いてあるあらすじの一部で、即興でメロディーをつけました。兵庫県ビブリオバトル高校生大会では、『死神の精度』か『屈辱の数学史』という本のどちらにするか迷っています」

トリを務める高2・Yくんは、冒頭で歌い出し、皆を「?」と驚かせ、興味を引きつけました。紹介したのは『死神の精度』。死神が、生死を決める対象となる6人の人間と関わるストーリーです。「一人ひとりの結末はハッピーエンドとは限りません。人に興味がない死神が葛藤したり、何ごとも思うようにはいかないところに面白さを感じました」。
 
8名の発表が終わり、いよいよ投票の時間です。チャンプ本は、中3・N くんが紹介した『インスタ映えする戦国時代』に決定しました。ともに戦った仲間たちも、N くんに温かな拍手を送りました。ビブリオバトルは今後も定期的に開催される予定です。

「自分で本を選び、自分の言葉や独特な視点でその本の良さを自由に伝えるのがビブリオバトルの醍醐味です。発表のために生徒に本を勧めることはしません。このゼミ最大の目標は、毎年11月に開催される兵庫県ビブリオバトル高校生大会に出場して優勝をすること。今年は、今回のビブリオバトルで『死神の精度』を紹介したY くんが出場します!」 (岩瀬亮介先生)

 国公立大学へ多数の進学者を輩出し、なかでも総合型選抜・学校推薦型選抜の合格者が伸びている同校。これらの入試は、多角的な視点や主体的に考えて表現する力が重要になってきます。今回の『ビブリオバトル』を一例とする『探究ゼミ』『探
究授業』『探究プロジェクト』など、まさに同校が行う日常的な探究活動の成果だと言えるでしょう。


2022年春にオープンした新文化館『道しるべ』の2~3階が中高図書館。小学校も含めた図書館全館の蔵書数は約77,000冊にもなる。

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